空港の保安検査員の仕事が大幅減 新型コロナ影響

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って航空機の運休や減便が相次ぎ、空港で手荷物検査などにあたる保安検査員の仕事が大幅に減少しています。国は将来的な人材確保にも影響が出かねないとして対策の検討を進めています。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各地の空港で航空機の運休や減便が相次ぎ、成田空港では今月1日から25日までに出国した人が去年の同じ時期の2%足らずにとどまっています。

保安検査会社の関係者によりますと、こうした影響で保安検査場の運用が次々に取りやめとなり、手荷物検査などを行う保安検査員の仕事が大幅に減少しているということです。

ツイッターには、保安検査の仕事に携わっているという人から「休みが日に日に増え生活のことが頭から離れず泣くレベル」、「今の仕事を続けるのに不安を感じて退職することにしました」といった声が寄せられています。

保安検査員の30代の女性はNHKの取材に対し、「新型コロナウイルスの影響で保安検査員の離職率が上がったと感じています。空の安全を守る仕事に誇りを持っていましたが、生活に必要なお金もなく、みんな参っている状況です」と話していました。

保安検査員をめぐっては、厳しい労働環境などから感染が拡大する前から人材の確保が大きな課題になっていました。

国土交通省は保安検査員を取り巻く状況が厳しさを増し、来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックなどに向けて将来的な人材確保にも影響が出かねないとして対策の検討を進めています。

減便や運休で保安検査員も休業

保安検査員をめぐっては勤務時間が不規則で賃金が少ないことなどから一時、離職が相次ぎ、検査会社の間で働き方改革が進められました。

東京オリンピック・パラリンピックを控えて保安検査員の需要は増えると見込まれ、成田空港では空港会社が中心となって待遇改善に乗り出し人材の確保に取り組んできました。

しかし新型コロナウイルスの影響で航空機の減便や運休が相次ぎ、検査会社はせっかく確保した人材を休ませざるをえない深刻な状況となっています。

国内の空港で勤務する30代の保安検査員の女性は、NHKの取材に対し休業の影響で3月分の給与が10万円余り減ってしまったうえ支給されるマスクが3日に1枚ほどになり、感染の心配もあることから仕事への意欲が失われかねないと話しました。

そして、危険物を見分けるための資格を持っている人が退職し、保安検査を担える人材が減ってしまうことに危機感を抱いていると訴えました。

女性は「保安検査には最低限、必要な資格が決められていますが、新たな教育や研修はほぼストップしています。オリンピックやパラリンピックを来年に控えているものの、間に合わないのではないかと危機感を感じています」と話していました。