染拡大で介護サービス
事業所休業1週間で1.7倍

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、今月19日までの1週間に全国でおよそ900の介護サービス事業所が休業し、前の週の1.7倍に上りました。取りまとめを行った厚生労働省は、利用者や家族の生活を守るため、十分な感染症対策をしたうえで、必要な介護サービスは、継続するよう改めて求めました。

厚生労働省は、今月19日までの1週間に全国の都道府県で休業した介護サービス事業所について取りまとめ、24日公表しました。

それによりますと、知事が休業を要請できるデイサービスなどの「通所型」と、ショートステイなどの「短期入所」の施設では、岩手と和歌山を除く45の都道府県で合わせて858の事業所が休業し、前の週の1.7倍に上りました。

このうち、施設内で感染者が発生するなど都道府県の要請による休業は2つの施設にとどまり、大半にあたる843が感染予防のための自主的な休業、13は学校の休業などで職員が出勤できず人手不足となったためでした。

一方、休業を要請できる対象ではなく原則としてサービスの継続が求められている「訪問介護」でも、24の都道府県の51の事業所が休業していました。

厚生労働省は休業の広がりを受け、全国の介護事業所に対し、利用者や家族の生活を守るため、十分な感染症対策をしたうえで、必要な介護サービスは継続するよう、都道府県を通じて改めて求めました。

訪問介護「国の支援は不十分」

訪問介護事業所を運営する団体の代表が記者会見し、「訪問介護への国の支援が不十分で、安心して介護が続けられない」と訴えました。

この会見は、日本記者クラブの主催で24日、インターネットを通じて開かれ、訪問介護事業所などを運営する埼玉県のNPO法人「暮らしネット・えん」の小島美里代表が、訪問介護現場の現状を説明しました。

この中で小島代表は、今月上旬に他の事業所の代表者やヘルパーらとともに国に要望書を提出し、マスクや防護服などを優先的に支給するなどヘルパーへの感染予防対策を進めることや、感染者や濃厚接触者の訪問介護を行った際に特別手当を支給することなどを求めたが、新たな対策は示されなかったと述べました。

そのうえで、「デイサービスが休業したら訪問介護にお願いしろと軽く考えられていると思う。国の支援が不十分で、このままでは安心して介護を続けられない」と訴えました。

さらに、「濃厚接触者と疑われていたり発熱したりしている利用者のもとを訪問しなければならないケースもあり、ヘルパーは非常に緊張した状態でケアにあたっている。このままの状態が続けば事態が収束しても訪問介護事業所が軒並み閉鎖に追い込まれているおそれがあり、在宅介護は崩壊の危機にあると認識してほしい」と話しました。

小島代表たちは、改めて国に要望書を提出することにしています。