人情報保護法改正案
閣議決定

巨大IT企業の個人情報の扱いに懸念が出る中、政府が企業側に情報の利用停止を求めることができるなどとした個人情報保護法の改正案を閣議決定しました。

10日閣議決定された個人情報保護法の改正案では、企業側に個人情報の利用停止や消去を求めることができる要件について、現在は情報の不正取得などの場合に限るとしているのを改め、広告や勧誘など個人の権利や利益が損なわれるおそれがある場合にも適用できるよう緩和するとしています。

また企業がインターネットの閲覧記録などのデータを別の企業に提供する際、提供先の企業が個人を特定する形で情報を利用することが明らかな場合、利用者の同意を得るよう義務づけるとしています。

さらに企業の個人情報の漏えいが一定数以上となった場合、政府の個人情報保護委員会に報告するとともに、本人に通知することを新たに義務づけるとしています。

このほか、個人情報保護委員会の命令に違反した場合などの罰則を強化し、法人に対する罰金の上限額を1億円に引き上げるとしています。

政府は今の国会で改正案の成立を目指す方針です。

クッキーの利用条件厳格化も

個人データをめぐっては、巨大IT企業がネットで検索されたことばや通信販売の購買履歴などの情報を、個人を識別できないよう統計データの形に加工して外部に販売するなど、ビッグデータとして活用するビジネスが急速に広がっています。

特にインターネット上のIDや閲覧履歴を記録する「クッキー(cookie)」と呼ばれる電子情報はウェブサイトで自動的に表示される広告などで活用が進んでいます。

一方、就職情報サイト「リクナビ」の運営会社が学生の内定辞退率を予測し、企業に販売していた問題では、学生が企業のサイトを見た時に残る「クッキー」の情報を学生に十分な説明をせずに集めていたことが明らかになりました。

また「クッキー」などの電子情報はIT技術の進展に伴って容易に個人の特定も可能となっている現状もあり、本人の同意を得ないまま企業側が活用することに懸念が出されていました。

こうしたことを踏まえ、今回の改正では「クッキー」などの電子情報を企業が利用する際の条件を厳格化しました。

具体的には企業がこうした電子情報を別の企業などに提供する際、提供先が持っているデータベースで照合すれば個人を特定できると想定される場合は、個人情報として取り扱うことを明確にし、本人の同意を得ることを義務づけるとしています。