衛隊中東派遣 海上自衛隊
哨戒機の部隊が日本出発

中東地域への自衛隊派遣で第1陣となる海上自衛隊の哨戒機の部隊が11日、日本を出発しました。今月20日から現地で情報収集活動を始めることにしています。

派遣されるのは海上自衛隊那覇航空基地のP3C哨戒機2機です。哨戒機はアフリカ・ソマリア沖で海賊対策の活動をしている部隊と交代するために派遣され、先月、閣議決定された中東地域への自衛隊派遣に基づき、今回から新たに日本に関係する船の安全確保に必要な情報収集が任務に加わります。

那覇航空基地で11日、出発式が行われ、派遣部隊の指揮官を務める稲生修一2等海佐が河野防衛大臣に対し出発を報告しました。そして派遣される隊員は見送りに来た家族とことばを交わしたあと、哨戒機に乗り込みました。

哨戒機の部隊は隊員約60人で編成され、アフリカ東部のジブチを拠点にソマリア沖のアデン湾などの上空で情報収集に当たります。

防衛省関係者によりますと、特に船の位置などを知らせるAISと呼ばれるシステムを切ったまま航行するなど、不審な動きをする船について、種類や進路などの情報を収集するということです。

哨戒機の部隊は今月20日から活動を始める予定で、来月2日には護衛艦1隻も現地に向けて出港し、来月下旬からオマーン湾などで活動を始める予定です。

部隊の指揮官「これまで以上に緊張感を持って」

派遣される哨戒機の部隊の指揮官を務める稲生修一2等海佐は「現地で予想されるあらゆる事態に対応するための教育訓練を実施してきた。中東情勢の変化については承知しているので、これまで以上に緊張感を持って情勢の把握に努めつつ、安全を確保しながら任務を完遂したい」と述べました。

また今回から情報収集活動が任務に加わることについて「いかなる任務を付与されようとも、与えられた権限をしっかりと理解しつつ、できること、できないことをしっかりと切り分けて、任務にあたる」と述べました。

防衛相「勇気と誇りを持ち 任務に精励を」

河野防衛大臣は「日本関係船舶の航行の安全確保は重要だ」と訓示し、現地に向かう哨戒機を見送りました。

中東情勢の緊張が続く中、自衛隊の護衛艦1隻と哨戒機2機の派遣を命令した河野防衛大臣は11日午前、沖縄県の海上自衛隊那覇航空基地で、現地に向けて出発するP3C哨戒機2機の出発に立ち会いました。

出発に先立って、河野大臣は派遣部隊の自衛隊員に対し、「主要なエネルギーの供給源である中東地域において、日本関係船舶の航行の安全を確保することは非常に重要だ。勇気と誇りを持って任務に精励してください」と訓示しました。

河野大臣は記者団に対し、「わが国独自の取り組みとして情報収集活動を実施する初めての部隊となる。関係各国から否定的な反応は全くなく、安心して送り出すことができる。立派に任務を完遂してくれると確信している」と述べました。

また部隊が海外で一定期間、活動することから、毎日、活動内容を報告するよう指示したことを明らかにしました。

護衛艦部隊も準備

哨戒機の部隊に続き、護衛艦の部隊も来月の出港に向けて詰めの準備を進めています。

派遣されるのは海上自衛隊横須賀基地に配備されている護衛艦「たかなみ」で、部隊は1等海佐の護衛隊司令を指揮官に、隊員約200人で編成されます。

来月2日の出港までの約3週間、今月8日と9日に幹部が参加して行われた図上演習を踏まえて、不測の事態に備えた状況判断や対応の手順の確認を繰り返すということです。

また海上自衛隊は、隊員の家族を対象とした説明会を開き、派遣中の連絡方法や相談の窓口など家族への支援体制を説明して不安を解消するとともに、派遣への理解を得たい考えです。