国の公立高校 40%超
定員割れ 教育の質に影響も

少子化に伴って生徒の確保に悩む高校が増える中、ことし春に行われた入試で、全国の公立高校のうち、43%余りに当たるおよそ1400校の学科などで、募集人数を下回る「定員割れ」となっていたことが分かりました。このうち18の道と県では、半数以上の高校が「定員割れ」となる事態となっていて、専門家は「定員割れが続くと授業など教育の質に影響が出かねない」などと指摘しています。

少子化に伴って全国の公立高校では、入学者などが募集人数を下回る「定員割れ」となるケースが相次いでいて、今回、NHKは、ことし春に行われた入試について、全国の教育委員会に取材しました。

その結果、ことし募集のあった分校を含む全日制の公立高校のうち、43%余りに当たる1437校の学科やコースなどで「定員割れ」が生じていたことが分かりました。

さらに、18の道と県では半数以上の高校が「定員割れ」となる事態となっていました。

その割合が最も高かったのは高知県で、およそ91%と県内34校のうち31校が定員を満たしていませんでした。

次いで、島根県と鹿児島県がおよそ88%、熊本県や沖縄県でも70%を超えていました。

一方、全国で最も低かったのは東京の10%でした。

「定員割れ」が深刻化している背景には少子化が影響しているとみられ、文部科学省によりますと、ことし春の国公私立を含む中学の卒業生はおよそ111万人と、この30年で半数ちかくにまで減少しています。

専門家「安易な統廃合は解決策にならず」

高校の定員割れなどに詳しい大正大学の浦崎太郎教授は「定員割れで生徒数が減少すると、部活動が維持できなくなったり教員の数が減らされて授業など教育の質が下がったりするおそれがある」と指摘します。

そのうえで「一方で、定員割れしているからといって安易に学校の統廃合を進めても解決策にはならない。今の時代は同質の教育ではなく、子どもたち一人一人の個性を伸ばし、社会と豊かに関わる教育が求められている。定員割れした小規模校こそこうした教育には有利で、地域に応じて学びの多様性を提供できる。そのためには、学校だけで問題を抱えるのでなく、地域と一緒に特色ある学校作りをしていくことが大事で、結果的には将来、地元に人材を根付かせることにもつながると思う。定員割れの事態をチャンスと捉えて見直すことが必要ではないか」と話しています。