クチンない伝染病ASF
予防的な殺処分へ 農水省

アジアで感染が拡大し、有効なワクチンがない豚の伝染病ASF、いわゆるアフリカ豚コレラについて農林水産省は、国内で感染が確認された場合に、拡大を防ぐため感染していない豚でも予防的に殺処分できるよう法律を改正する方向で調整に入りました。

ASFは、国内で感染が拡大しているCSF、いわゆる豚コレラとは全く違う病気で、有効なワクチンがなく中国などアジア各国で感染が広がっています。

これまでのところ国内ではASFの感染は確認されていませんが、農林水産省は感染が見つかった場合、拡大を防ぐことが最も重要だとして、近くで飼育されている感染していない豚も予防的に殺処分できるようにするため、法律を改正する方向で調整に入りました。

これについて江藤農林水産大臣は記者会見で「ワクチンがないASFは国内に入った段階で最終ステージだという自覚を持つ必要がある」と述べ、予防的な殺処分をどこまでの範囲で行うかなど検討を急ぐ考えを示しました。

農林水産省は、早ければ来年の通常国会に家畜伝染病予防法の改正案を提出することにしています。

予防的殺処分とは

ブタやウシなどの家畜の間で伝染病が急速に広がった場合、感染のさらなる拡大を防ぐ目的で近隣で飼育されている感染していない家畜まで含めて、予防的に殺処分が行われることがあります。

この予防的殺処分は緊急的に行われる措置の1つで、国内では9年前の2010年に、ウシやブタなどに発熱や水ぶくれを引き起こし、肉質を低下させる口てい疫が宮崎県で広がったときに行われました。

当時、口てい疫への感染が確認された農家でウシの殺処分が行われましたが、感染の拡大は止まりませんでした。

このため、それ以上の感染の拡大を防ごうと半径10キロ圏内にある農場で感染していないウシやブタを含めてワクチンを接種して、感染拡大のスピードを抑えたあと殺処分して対応しました。

このときは、緊急的に特別措置法のもとで予防的殺処分が行われ、その後、口てい疫について予防的殺処分が可能になるよう「家畜伝染病予防法」が改正されました。

宮崎県全体で予防的に殺処分されたウシとブタの頭数は合わせておよそ8万7000頭に上り、農家への補償や死体の処理におよそ230億円かかりました。

農林水産省は、ASFいわゆるアフリカ豚コレラの感染が確認された際にも予防的殺処分を行うため、法律を改正する方針ですが、ASFは、ワクチンがない一方、野生イノシシがウイルスを運ぶことで広がるという特性から、どのタイミングでどれくらいの範囲のブタについて殺処分を行うかの判断が難しいのではないかと、専門家は指摘しています。

このため、農林水産省では今後、予防的殺処分の具体的な方法や範囲、それに実施するかどうかの判断の基準などについて専門家の意見なども踏まえて決めていくことにしています。