最低賃金 都道府県ごとの
引き上げ目安額一覧

今年度の最低賃金の引き上げを議論してきた厚生労働省の審議会は、全国の平均で、27円引き上げて時給901円とする目安を示しました。最低賃金が時給で示されるようになって以降、最も大きい引き上げで、目安通りになると東京と神奈川は時給1000円を超える計算です。
目安どおりに引き上げた場合

・北海道861円
・青森県788円 ・岩手県788円 ・宮城県824円
・秋田県788円 ・山形県789円 ・福島県798円
・茨城県849円 ・栃木県853円 ・群馬県835円
・埼玉県926円 ・千葉県923円 ・東京都1013円
・神奈川県1011円・新潟県829円
・富山県848円 ・石川県832円 ・福井県829円
・山梨県837円 ・長野県848円 ・岐阜県851円
・静岡県885円 ・愛知県926円 ・三重県873円
・滋賀県866円 ・京都府909円 ・大阪府964円
・兵庫県898円 ・奈良県837円 ・和歌山県829円
・鳥取県788円 ・島根県790円 ・岡山県833円
・広島県871円 ・山口県828円
・徳島県792円 ・香川県818円 ・愛媛県790円
・高知県788円
・福岡県840円 ・佐賀県788円 ・長崎県788円
・熊本県788円 ・大分県788円 ・宮崎県788円
・鹿児島県787円・沖縄県788円
目安額は、今後の都道府県ごとの労使の話し合いで金額が変わる可能性があります。
専門家「大都市と地方との格差が拡大」
最低賃金の引き上げについて、労働問題に詳しい日本総合研究所の山田久主席研究員は「人口が減り労働力不足になる中、賃金を底上げして消費を喚起したり、生産性を上げるために最低賃金を上げることは大変重要だ」と話しています。
一方で、ここ数年、およそ3%の大幅な引き上げが続いていることを踏まえ、「持続的に引き上げていくことは妥当だと思うが、あまり強引に引き上げると、特に中小企業ではかえって雇用を減らすことになりかねない」として、中小企業に対しきめ細かい支援が必要だと指摘しています。
また「過去10年間、大都市部を中心に最低賃金を上げてきた結果、地方との格差が拡大している」としたうえで、「あまりにも格差が大きすぎると地方から人が出て行くことが懸念される。地域間の格差を一定水準に抑えて、均等になるよう引き上げていくことが必要な局面に入っているのではないか」と指摘しています。

連合「地域間格差 一定の歯止めかかった」
今回示された目安について労働側の委員で連合の冨田珠代総合労働局長は「東京と神奈川が初めて1000円に到達するなど高い水準となったことは主張が反映されたと受け止め、一定の評価はできると思う。しかし、800円以下の地域をすべてなくすことを目指していたもののこの部分は確保できず残念に思っている」と話しています。
また、地域間の格差を是正するため今回の議論の中で、労働側は初めて、DランクについてAランクを上回る引き上げ額となるように要求したと言うことで、「AランクとDランクの引き上げ額の差は2円と過去の目安に比べて縮まっており、地域間の格差には一定の歯止めがかかったと考えているが、今後も格差是正を目指していきたい」と話しています。
菅官房長官「早期に平均千円の実現を目指す」
菅官房長官は、31日午前の記者会見で、「安倍政権が目指す成長と分配の好循環の継続と拡大を実現するためには、最低賃金を含めた賃金の引き上げを通じた可処分所得の継続的な拡大と消費の活性化をつなげていくことが極めて重要だ」と述べました。
そのうえで菅官房長官は、「政府としてはことしの骨太方針でも記載されているように、中小企業・小規模事業者に思い切った支援策を講じるなど、賃上げをしやすい環境を整備することと相まって、最低賃金をより早期に全国加重平均1000円になることを目指したい」と述べました。