国会最終盤 法案審議ヤマ場に 衆院解散にらみ与野党は

会期末まで残り1週間を切った国会では、防衛費増額のための財源確保法案などの審議がヤマ場を迎えます。一方、内閣不信任決議案が提出されれば、岸田総理大臣が衆議院の解散に踏み切る可能性があるという見方も与野党双方から出ていて、解散をにらんだ神経戦が続いています。

政府が今の国会の最重要法案と位置づける、防衛費増額に向けた財源を確保するための法案について、与党側は15日に参議院財政金融委員会で採決したいとしているのに対し、野党側は与党側の出方を見極めたうえで採決に応じるか判断する方針です。

与党側は、LGBTの人たちへの理解増進に向けた法案や、性犯罪の実態に合わせた刑法の改正案とともに、16日の参議院本会議での成立を目指していて、法案の審議はヤマ場を迎えます。

一方、立憲民主党は、岸田内閣に対する不信任決議案を提出するかどうか、15日に幹部が対応を協議することにしています。泉代表は不信任決議案を提出するかどうかについて「国民生活にとって出すことがよいのかを考えて判断し、しかるべきときに態度を表明する」と述べました。

与野党双方からは「内閣不信任決議案が提出されれば、岸田総理大臣が解散に踏み切る可能性がある」との見方の一方、「不信任決議案の提出だけでは、国民に信を問う大義にはならない」という指摘も出ています。

岸田総理大臣は、14日に自らに近い自民党の宮沢税制調査会長と会談したほか、政権幹部らと連日意見を交わしていて、法案の審議状況や野党側の動向などを見極めているものとみられます。

国会の会期末が来週21日に迫る中、衆議院の解散をにらんだ与野党の神経戦が続いています。

衆院選解散言及の岸田首相に与野党反応は

岸田総理大臣は13日夜の記者会見で、来週21日までの国会の会期中に衆議院を解散する考えがあるか問われたのに対し「会期末の間近になって、いろいろな動きがあることは見込まれ、情勢をよく見極めたい。現時点ではそれ以上のことを答えることは控えたい」と述べました。

これについて14日の与野党の反応です。

松野官房長官 “首相の『答えること控えたい』 それに尽きる”

松野官房長官は、14日午前の記者会見で「岸田総理大臣は『諸般の情勢を総合して判断していく。現時点ではそれ以上のことについて答えることは控えたい』と述べており、それに尽きる。私の立場からコメントすることは控えたい」と述べました。

自民 高木国対委員長「岸田首相が適切に判断する」

自民党の高木国会対策委員長は、記者団に対し「解散は岸田総理大臣が適切に判断されるものだ」と述べました。

また、野党側が内閣不信任決議案を提出した場合の対応について「出すか出さないかは野党がどう考えるかであり、それをどう判断するかは岸田総理大臣だ。衆議院を解散するか、与党として粛々と否決するかだ」と述べました。

自民 石破元幹事長「不信任決議案で『即解散』は趣旨が違う」

自民党の石破元幹事長は、記者団に対し「衆議院で示された意思と内閣の意思が異なる場合に、国民に聞いてみましょうというのが本来の解散の趣旨だ。内閣不信任決議案の提出を理由に『即解散だ』というのは趣旨が違う」と述べました。

一方で、「防衛力や子育て支援の強化の予算の規模や財源について、国民の判断を仰ぐということであれば、それは立派な解散の大義になりうる」と述べました。

公明 山口代表「これから準備したいと思う」

公明党の山口代表は14日朝、ラジオ日本の番組「岩瀬惠子のスマートNEWS」に出演し「岸田総理大臣は会期末で、いろいろ野党の動きもあるので、それをよく見極めたいと考えているのだろう」と述べました。

そのうえで、公明党としての対応を問われたのに対し「これから準備したいと思う」と述べ衆議院選挙がいつあっても対応できるよう、準備を進める考えを示しました。

一方、自民党との選挙協力に関連して「自民党は、公明党との選挙協力で得られている議席が相当数ある。衆議院でも参議院でも自民党単独で過半数を取れるだけの基盤は失われている」と指摘しました。

立民 安住国対委員長「何の大義でどう解散するのか見極めたい」

衆議院の解散について、岸田総理大臣が国会会期末にかけての情勢を見極める必要があるという認識を示したことに対し、立憲民主党の安住国会対策委員長は「こちらのほうが何の大義でどう解散するのか見極めたい」と述べました。

岸田総理大臣は13日夜の記者会見で、来週21日までの国会の会期中に衆議院を解散する考えがあるか問われたのに対し「会期末の間近になって、いろいろな動きがあることは見込まれ、情勢をよく見極めたい」と述べました。

これについて、立憲民主党の安住国会対策委員長は、記者団に対し「最後まで情勢を見極めたいのはこちらのほうだ。野党が内閣不信任決議案を出しても与党が簡単に否決できるので、何の大義でどういうふうに解散するのかを見極めたい」と述べました。

そのうえで「岸田総理大臣みずから解散風を吹かせていると言われてもしかたがない。内閣不信任決議案の提出が解散の大義になるというのはでまかせだ」と批判しました。

一方で、内閣不信任決議案を提出するかどうかについては「泉代表がいろいろな問題を総合的に判断する。マイナンバーをめぐる問題だけで出すような軽いものではない」と述べました。

維新 馬場代表「惑わされず 臨戦態勢を整える」

日本維新の会の馬場代表は、党の役員会で「岸田総理大臣がやるのかやらないのかは最後までわからない。立憲民主党が内閣不信任決議案を出すのか出さないのかもよくわからないが、惑わされることなく、臨戦態勢を整えて一歩ずつ選挙に向かって歩んでいきたい」と述べました。

共産 穀田国対委員長「解散権もてあそんではいけない」

共産党の穀田国会対策委員長は、記者会見で「岸田総理大臣は、今まで『解散は考えていない』と言ってきたが、今度はニュアンスが大きく違う。解散権をもてあそんではいけない。内閣不信任決議案の提出を引き金に、解散しようとしているのは透けて見えるが、提出が解散の大義になるという理屈は成り立たない。岸田内閣が信任に値しないことははっきりしており、内閣不信任決議案が提出された場合は賛成する」と述べました。

国民 玉木代表「何を国民に問うか 大義示すことが重要」

国民民主党の玉木代表は、党の会合で「神経戦が続いている。内閣不信任決議案を出すのであれば覚悟がいるし、解散を打つ側は、何を国民に問うのかという大義を示してやることが、民主主義にとっては極めて重要だ。解散がいつあってもおかしくないという緊張感を持ちながら、選挙の準備を怠りなく進めていく」と述べました。