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「あまロス症候群」から、さかのぼること30年あまり…

NHKで1961年(昭和36年)から放送を続けている「連続テレビ小説」、通称”朝ドラ”。現在放送中の『まれ』は第92作目。大反響を呼んだ2013年(平成25年)4月から放送の『あまちゃん』は第88作目です。「じぇじぇじぇ!」のセリフにはまった視聴者の中には『あまちゃん』の放送終了後に深い喪失感を覚えた方も少なくなく「あまロス症候群」なんて言葉も生まれたようでしたが…。いま、BSプレミアムで再放送中! ふたたび人気が上がっているようです。

実は今から30年ほど前にも、日本だけでなく世界中にまで“症候群(シンドローム)”が広がった朝ドラがありました。それが『おしん』。1983年(昭和58年)4月から1年間放送された第31作目です。

最高視聴率62.9%!テレビドラマの金字塔

『おしん』は、1901年(明治34)年、山形の貧しい農家に生まれた主人公「おしん」が、明治・大正・昭和にかけて、貧困や家族の死別などの苦難を乗り越え生き抜く姿を描いたドラマです。どれほど苦しい状況でも必死に立ち向かう姿は、戦後の復興時期を生き抜いた人々の心にも深い共感を呼んで大ヒット。年間の平均視聴率は52.6%、最高視聴率は62.9%にものぼり、テレビドラマ史上最高視聴率を記録しました。

また、『おしん』は海外でも人気を集め、アジア、中近東、南米をはじめ、世界68の国と地域で放映。初めての海外放映は1984年(昭和59年)のシンガポールで、視聴率は80%に達したそうです。中国では1985年(昭和60年)に初めて放送され、北京での視聴率は75.9%を記録。地域によっては90%近い視聴率を得たといいます。

「おしん」は、辛抱や我慢の代名詞に

さて、『おしん』が呼び起こした症候群(シンドローム)に話を戻しましょう。『おしん』の大ブームで、各地に「おしん」の名がついた商品が次々と登場。当時の中曽根首相は、国会が空転するなかで法案成立を目指して辛抱する姿勢について「おしん国会」と表現しました。一方で、野党議員は国民に我慢を強いる緊縮財政を「おしん予算」と語るなど、ドラマに登場する「おしん」のように“いびられて”、辛抱させられている状況を「おしん」になぞらえる言い方が流行しました。

アメリカの雑誌『TIME』のフリー記者、ジェーン・コンドン氏は「全国民の感情が同一にシンドローム化している」と感じ、その状況を「おしんドローム」と紹介。この言葉が、1984年(昭和59年)の「新語・流行語大賞」で新語部門の金賞を受賞したことからも、当時の日本が「おしんドローム」の最中にあったことが伺えます。

新たな症候群が生まれるとしたら、次は?…

30余年の時を超えて『あまちゃん』で新たな症候群(シンドローム)が生まれました。そういえば、昨年度の朝ドラ『マッサン』の効果で、ウイスキーの売り上げが大幅アップしたという話もありました。朝ドラから、次に生まれるブームや症候群はなんでしょう。いまの『まれ』から生まれるとしたらパティシエを目指す人が増える「まれンドローム」でしょうか。それともお菓子のことが頭から離れなくなる現象かも…。どちらにせよ、新たな症候群になるほどの人気になるためには「おしん」の辛抱と忍耐が必要なのかもしれません。まずはNHKアーカイブスポータルで「おしん」のダイジェスト動画を見ながら「おしん力」を学びましょうか。