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新型コロナワクチン “3回目接種”めぐる国内外の対応は(2021/10/17)

2021.10.17

新型コロナウイルスのワクチンについて、2回の接種を終えた人は高齢者で90%、全人口でも3人に2人ほどとなっていて、岸田総理大臣は、11月の早い時期に2回のワクチン接種の完了を目指すとしています。
その一方で、接種が早い時期に進んだアメリカなどでは時間の経過とともに効果が下がるとして、「ブースター接種」と呼ばれる3回目、追加の接種が始まっています。
3回目の接種をめぐる動きなどについてまとめました。

WHO“3回目接種 標準化すべき”

WHO=世界保健機関の諮問委員会は、10月11日、ファイザーやモデルナ、アストラゼネカなどの新型コロナワクチンについて、中程度から重い免疫不全の人たちを対象に、3回の接種を標準化すべきだという見解を発表しました。

中程度から重い免疫不全の人たちは、これまでの2回の接種では十分な効果がえられず、重症化するリスクが高いとしています。

また、アメリカ政府は、新型コロナのワクチンの効果が時間がたつにつれて低下する可能性が高いとして、接種を終えてから一定の期間がたった人について、追加の接種を行う方針を示しています。

この中で、FDA=食品医薬品局は9月、ファイザーのワクチンについて、
▼65歳以上の人、
▼18歳以上で重症化リスクの高い人、
▼感染リスクの高い職場で働く医療従事者などに対しては、追加の接種を行うことを許可しました。

2回目の接種が終わってから少なくとも6か月たった人が受けるとしていて、すでに接種が始まっています。

さらに、10月14日には、FDAの専門家委員会がモデルナのワクチンについても、同様に65歳以上の人や、18歳以上で重症化リスクの高い人などに対しては3回目の接種を可能にすることを推奨しました。

日本でも、政府は次の感染拡大に備えた対策の全体像を11月の早いうちに取りまとめることにしていて、ワクチン接種については2021年内の3回目の追加接種の開始を想定し、体制や具体的なスケジュールを明らかにするとしています。

ワクチンメーカー 追加接種で中和抗体値は再上昇

各国で追加の接種が始まったり、検討されたりしている背景には、2回の接種が完了してから時間がたつと、ウイルスの働きを抑える中和抗体の値が下がり、感染を防ぐ効果が低下しているとする報告が出されてきたことがあります。

これに対して、ワクチンメーカー各社は、追加接種で中和抗体の値は再び上昇するとしています。

ファイザーは、追加接種から1か月後の中和抗体の値は、2回接種した1か月後に比べて
▽55歳以下で5倍以上、
▽65歳から85歳で11倍以上に上昇したと報告しています。

モデルナも、追加接種から2週間後の中和抗体の値が、2回接種した6か月後から8か月後までと比べておよそ42倍に増加したとしています。

アストラゼネカも、追加接種後に中和抗体価が増加したと報告していて、各社は3回目の接種によって中和抗体の値が上がり、より効果が高まるとしています。

“抗体減っても効果高い”とする研究も

一方で、抗体が減っても入院や重症化を予防する効果などは十分高いとする研究も出されてきています。

9月、全米各地の大学の研究者などのグループは、18の州の21か所の病院でのワクチンの効果を分析した結果をCDC=疾病対策センターの週報に発表しました。

それによりますと、入院を防ぐ効果は、
ファイザーのワクチンでは
▼2回の接種を終えた2週間後から120日後まででは91%、
▼121日目以降では77%、
モデルナのワクチンでは
▼2週間後から120日後まででは93%、
▼121日目以降では92%、
と高かったということです。

さらに、日本国内でも2回のワクチン接種のあと、2週間以上して感染が確認される「ブレイクスルー感染」も報告されていますが、重症化リスクは低いとされています。

国立国際医療研究センターが全国各地の600を超える医療機関に入院した3400人余りのデータを分析したところ、ブレイクスルー感染の場合、高齢者でも、
▼集中治療室で治療を受けた割合が未接種の人の8分の1、
▼死亡した割合が3分の1と、
重症化リスクは低い傾向があったとしています。

3回目の接種 どのワクチンを使うのか

3回目の接種をするときに、それまでと同じワクチンを使うのか、異なるワクチンを使うのか、その考え方は確立していません。

アメリカやイギリスでは、接種を完了した人がさらに接種する「ブースター接種」でどのワクチンを接種すれば免疫が高まるのか、さまざまな組み合わせで臨床試験が行われています。

アメリカの国立衛生研究所は、先週、ファイザーとモデルナ、それにジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンの接種が完了した458人の成人を対象に、同じワクチンか別のワクチンを接種して抗体の量などに違いが出るか調べた臨床試験の中間的な結果を示しました。

それによりますと、どのワクチンを受けていた人でもブースター接種でファイザーやモデルナのワクチンを受けた場合、従来のウイルスに対する中和抗体の値は、2週間後には10倍から30倍程度になっていて、どのワクチンでも免疫の反応が強化されることが示唆されるとしています。

また、臨床試験への参加人数は少ないながらも安全性への懸念は見られなかったとしていて、今後、デルタ株に対する中和抗体の値などについても明らかにするとしています。

3回目接種 実施は重症化リスクある人を先に

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は追加の接種について、重症化するリスクがある人の接種を優先させるべきで、若い世代などリスクが低い人たちの接種については今後の研究を待つべきだとしています。

東邦大学 舘田教授
「接種してから時間が経つと、ブレイクスルー感染が起きるが、重症化や死亡に関しては抑える効果が続いているという報告がある。ただ、高齢者や免疫不全のある人たちで、ブレイクスルー感染を起こしてしまうと、一定の割合で重症化し、亡くなることになる。また、医療従事者については、重症化のリスクは高くはないかもしれないが、患者に感染させないよう、3回目の接種を考える必要がある。優先順位をしっかりと考え、接種の状況や今後出される世界各国での研究結果を見ながら、接種をどう進めていくか考えるべきだ」