やまとの季節

2020年01月08日 (水)

やまとの季節 七十二候「春待ちの梅ほのか」

「ならナビ」1月8日放送 

映像作家・保山耕一さんが、NHK奈良放送局「ならナビ」に、「やまとの季節 七十二候」をテーマとした極上の映像詩を届けてくれています。音楽は、スペインで活躍するピアニスト・川上ミネさんが、奈良で100年近くの時を刻んできたピアノで、オリジナル楽曲を奏でています。 


やまと七十二候「春待ちの梅ほのか」 小寒


保山耕一

世界遺産などの撮影で活躍してきたフリーTVカメラマン。「奈良には365の季節がある」をテーマに奈良県各地で、日々、奈良の空や光、花、月、社寺、などを撮影し、SNS発表・上映会を続けている。

川上ミネ

スペインと京都を拠点に活動しているピアニスト・作曲家。「ラジオ深夜便・ピアノが奏でる七十二候」、Eテレ「やまと尼寺精進日記」などの音楽を手がけている。昨年、春日大社奉納演奏会を機に保山氏と出会い、「こころの時代」でコラボレーション。この秋、「やまとの季節 七十二候」の新たな作曲・演奏をスタート。

奈良女子大学・百年ピアノ

創立110年を経た奈良女子大学記念館(重要文化財)の2階・講堂で静かな時を刻み続けいる「百年ピアノ」。大学の前身である奈良女子高等師範学校の創立当時(明治42(1909)年授業開始)に購入され、戦後永らく倉庫に眠っていたもので、平成15(2003)年に学内で再発見されました。平成17年11月に無事修復を終えたピアノは、かつて置かれていた講堂に戻され、ふたたび美しい音色を奏でるようになりました。

 



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やまと七十二候

「春待ちの梅ほのか」

保山耕一

新年1回目の放送に選んだのは、東大寺二月堂の裏山に立ち、毎年必ずお正月に一輪か二輪、花を咲かせる梅の古木です。東大寺、興福寺、春日さんも含めた奈良公園一帯で、私が知る限り一番最初に咲く梅の花です。それが二月堂の裏にあるというのが意味深いなと、ずっと思っていて。

 お水取りの正式名称は「十一面悔過(けか)」といい、人々による日常の様々な過ちを、二月堂の本尊である十一面観音の前で懺悔することを意味します。

 東大寺に上司永照(かみつかさえいしょう)さんという僧侶がおられます。今年のお水取りでは、練行衆の役割の一つである大導師(だいどうし)を務められます。その上司さんが「お水取りは悔過法要ですが、じつはもう一つ大切な役割をになっている。それは『春迎えの行』なのではないか」と。

 「春を迎えるための行」と言われても最初はピンとこなかった。上司さんは「奈良が一番寒い時、お水取りで二月堂に籠っていると、こんなに寒いのに本当に春が来るのだろうかと、ちょっと疑いを感じる時がある」と。つまり「辛い行の只中にいると、この寒さが永遠に続きそうな気がして、本当に春が来るのか!?」と思ってしまうのだと。2週間続く過酷な行を幾度も乗り越えてきた上司さんの言葉からわかるのは、春が来ることはこんなにもありがたいことなのだということです。

 冬の次に春が来て、雨が降る時に雨が降り、風が吹く時に風が吹いて、花が咲く時に花が咲く。四季が順番にやってくるとありがたみ。それが春迎えの行の考え方なのかなと。そのように捉えると、二月堂の裏山に、奈良公園で一番最初に咲く梅の古木があるということが、意味のあることのような気がして。

 今回の映像は昨年14日に撮影したもので、朝の2時間か3時間かけて撮った映像を1分半にまとめたわけですが。夜明けの月の輝き、朝日、池に張る氷が溶ける様、日が差し、梅が咲く、という当たり前といえば当たり前の風景を丹念に編集することで、風景の奥にある意味を伝えられないかと。早咲きの梅ということだけではなく、一輪の梅、二月堂、お水取りの精神、春を迎えるための懺悔の法要、すべてがつながってそこにあることに感動を覚えます。

 (聞き書き 伊藤享子)

 


七十二候 について

七十二候(しちじゅうにこう)は、古代の中国で生まれました。立春、夏至、秋分…などで知られる二十四節気(にじゅうしせっき)を、さらに約5日ずつの3つに分けて、季節の移り変わりを感じる名前がつけられています。日本では、江戸時代の「本朝七十二候」、明治時代の「略本歴」など、いくつかの異なる七十二候が作られてきました。

「やまとの季節 七十二候」では、保山さんが記録してきた奈良県各地の映像から、いまの「やまと」の暮らしの中で、季節のうつろいを実感できる映像を選び出し、オリジナルの名前を添えて紹介しています。奈良を愛する方々に…これから奈良に出会うであろうすべての方々に…こころを込めてお届けしています。

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■ コメント(16)
  • 安藤憲一郎

    2020年01月08日 13時29分

    今日も夫婦揃って息を止めて見入ってしまいました。まさにこの季節を表す風景ですね。氷、月、春待つ梅、見ているだけで寒に入ってこれから本格的に寒さがくるのが想像できます。。春が待ち遠しい。この季節感を奈良と関西ブログでしか見られないのはもったいないです。ぜひ全国放送をして下さい。

  • たえこ

    2020年01月08日 14時37分

    初春のお慶びを申し上げます。桃色の梅がそう言っているようにも思えます。凍てつく二月堂…懐かしい眺めでした。新月

  • 武田和子

    2020年01月08日 16時14分

    今年も「やまとの季節 七十二候」の放送をありがとうございます。

    令和初めての放送はしんしんと空気が冷えた「小寒」の東大寺。
    ピーンと張った寒さが伝わってきました。
    古からひとつも変わらない奈良の風景。
    保山さんの映像には心の底から美しいと感動します。

    今年は東大寺のお水取りを見学してみたいと思っています。

    「やまとの季節 七十二候」のお陰で奈良がとても近くなりました。
    今年もたくさんの感動をよろしくお願いいたします。

  • 青井三保子

    2020年01月08日 19時51分

    今日も素敵な映像をありがとうございました。
    あっという間の2分間。
    いいなぁ・・と思った途端に終わってしまう。
    もう少しだけ、じっくり味わいたい!!
    伊藤享子さんの保山さんの聞き書きも楽しみの一つです。
    よろしくお願いします。

  • 田中弘子

    2020年01月08日 19時56分

    夜明け前の墨絵の様な…濃い藍色の様な…空に 綺麗なお月様が輝いて
    鹿のなき声が 響いて
    この映像の中に 引き込まれていく様です
    薄氷が 少しずつとけてくる 水と氷の模様 その映像から 冬の冷たさを心で感じていました…
    そして
    春を一番に教えてくれる梅の花の なんと優しい可愛い姿でしょう…梅の花の香りまでする様です
    寒い辛い 冬のあと 春がそこまで来ているのですね
    今年も 三重から関西ブログを見せて頂く事が出来ました
    いつも 楽しみに しております
    保山さんの素晴らしい映像に心癒され 励まされています
    いつか 三重でもテレビで見れたらと願っております
    どうか 今年も…
    これからもずっと この素晴らしい命煌めく映像が見られます事を願っています

  • 島岡和代

    2020年01月08日 21時23分

    お正月が過ぎ、一日一日日の入りの時間が遅くなって寒さの中にも春のような太陽の柔らかな日射しを感じています。保山さんが撮られた細い綺麗な月。そして、春を告げるかのような気品ある香りの梅の花。ミネさんのピアノの調べに乗ってその香りが漂ってきそうです。奈良を代表とする東大寺の春待ち。是非、全国の皆様にもご覧になってほしいと…全国放送を希望します。

  • 坂井 節子

    2020年01月08日 22時49分

    『春待ちの 梅ほのか』タイトルまでもが素敵ですね。
    今回は2週ぶり。次回はどんなかと待っていました。
    東大寺様の鴟尾を擦るかのような繊細な月。研ぎ澄まされた闇に輝く鋭い月の輝き。キーンと寒さが伝わります。
    しかし春を待つ梅はなんと優しい色合いでしょうか。
    もうすぐ寒さの底。春は必ずすべての人 平等にやってきますね。

  • 2020年01月09日 01時32分

    『春待ちの梅ほのか』やまとの季節七十二候
    毎週の放映楽しみにしております。鹿が恋人を呼んでいる声だろうか。東大寺二月堂の春は、まだまだ遠い、お水取りを終えるまでは。早咲きの梅は待ちきれずほころぶ。
    ミネさんのピアノは力強く、また優しくて好きです。関西圏すべて、テレビで放映を見られるようにお願いいたします。

  • 松元智恵子

    2020年01月09日 08時50分

    有明月、鹿の鳴き声、水に映る細い月が揺れる。
    暖かさが伝わり、可憐な梅の花が・・・
    保山さんの映像癒されてます♥️
    川上ミネさんの調べとともに春を感じます♥️
    県外に在住しているので関西ブログで毎回楽しみにしています。
    是非全国ネットで放送される事を望みます‼️

  • 堀尾岳行

    2020年01月09日 15時49分

    鹿鳴き有明月残る早朝、東大寺が凛とした空気に包まれ、薄氷が張る
    冷えた空気を推して寒梅が一輪また一輪、まさに百花の魁
    やがて日が登り、月は消え、奈良の一日が始まる
    梅の香が伝わってきそうな保山耕一さんの映像、
    川上ミネさんのピアノ演奏は梅が咲くかのような旋律です。
    今回も素晴らしい映像詩をありがとうございます。次回も期待しています。
    できれば関西全域で視聴ができますようご配慮をお願い致します。

  • 荒木礼子

    2020年01月09日 18時46分

    令和初めてのお正月を迎え、『やまとの季節七十二侯』も梅の花で幕開け。画面から清らかな香りが漂ってきそう。
    見上げれば刀剣のように鋭く細い月。凍れる月影とはまさにこんなお月様のことなんでしょうか。東大寺のしびをかすめて輝くその美しさ、どこまでも澄みきった余韻が心に残り、平和な気持ちに満たされます。
    毎日流される世界の不穏なニュースになんとも言えない不安を覚える昨今ですが、この映像を見て今日は本当に癒されました。
    なんとか大きなテレビで奈良以外の人間もこの映像が見られるようにして頂けたらと切に願っています。

  • J hunter

    2020年01月10日 01時44分

    I took a view at the NHK Channel and that is when I became acquainted with the story of Koichi Hozan. I was intrigued by his visual artistry. I have enjoyed many of his video's including this one. Koichi Hozan captivates his audience by showing the rich culture, history and landscape of Japan through his honorable heart and talented vision. His pieces of work shine as bright as the sun and the moon to which he exquisitely captures time after time. In final thought, I sincerely hope that NHK World will broadcast Koichi Hozan on a return trip in the spring to the Cherry Blossom tree.

  • 佐々木美保子

    2020年01月10日 08時14分

    新しい年に春を感じる素晴らしい作品を見せていただきまして、ありがとうございます。今年も保山さんの美しい映像を川上ミネさんの心に響くメロディーとともに楽しませていただくことができ、嬉しいです。
    研ぎ澄まされた美しい光のお月様、そこからだんだん夜が明け光が差したところにあらわれる可憐な梅の花、気づかなければ見過ごしそうな当たり前の景色が、こんなにも美しく愛に溢れている、それを教えていただいたのは保山さんの映像です。
    一人一人の力は小さくても、この日常に溢れる美しさや優しさに感動する人が増えたらきっと温かい平和な世界が広がっていく、それを祈り、全国での放送をお願いします。

  • 長尾 美和子

    2020年01月11日 07時34分

    令和二年 おめでとうございます!
    『春待ちの梅ほのか』今回も素敵な映像をありがとうございます。
    鹿の鳴き声から凛とした空気を感じ、有明の月から日の出までで時の流れを感じ、薄氷から二月堂の梅で季節の流れを感じました。
    【冬は必ず春となる】ですね、
    早咲きの梅を見たとき、「小さい春見つけた」と嬉しくなりました。
    当たり前にやってくる季節に…感謝

  • 井元路子

    2020年01月14日 13時42分

    梅一輪 一輪ほどの暖かさ の歌を昔父が教えてくれたのを思い出しました。毎週すてきな映像とピアノありがとうございます。

  • ふく

    2020年01月14日 13時56分

    紅梅の映像を見たとき、鼻の奥で梅の花の甘い香りを感じました。翌日映像を見ても確かに感じました。
    あまりにも世界の本質を現す映像なので、こころが、脳が、錯覚を起こしたのか?
    今回も極上の映像と音楽をありがとうございました。