2022年12月23日 (金)
全国高校駅伝 取材記 小林祐梨子さんが語る見どころ ~1区から目が離せない!~
冬の京都で、高校生ランナーがたすきをつなぐ全国高校駅伝が12月25日に行われます。
レースの見どころを陸上長距離で北京オリンピックに出場した小林祐梨子さんに聞きました。
小林さんは、須磨学園(兵庫)の選手として、2006年の大会で、20人抜きを見せるなど、衝撃的な走りで沿道をわかせました。
ことしの大会は、男女ともに1区から目が離せないと期待しています。
●男子●
《超高校級の対決に期待》
男子は、マラソンと同じ42.195キロで争い、7人でたすきをつなぎます。
小林さんがポイントと見ているのが最長区間1区(10キロ)の攻防です。
最初に名前をあげたのは、小林さんの出身地、兵庫県の西脇工業のエース、長嶋幸宝(そなた)選手でした。
西脇工業 長嶋選手
(小林祐梨子さん)
「またとんでもない走りを見せてくれるんじゃないかと思います。チームとしても県大会で大会記録を更新して全国に乗り込んできていて伝統校復活の兆しが見られるので、非常に楽しみです」
「とんでもない」と小林さんが評価する長嶋選手。
去年の大会では、スタート直後の競技場内から先頭に立ち、みるみる後続を引き離していく走りを見せました。
去年先頭を走る長嶋選手
終盤に失速したものの、レースがハイレベルとなったきっかけをつくりました。
小林さんは、能力の高さを十分に感じたそうです。
雪辱を期して臨むことし、長嶋選手の仕掛けがレースの行方を大きく左右すると見ています。
そして、長嶋選手の最大のライバルにあげたのが、佐久長聖高校(長野)のエース、吉岡大翔(ひろと)選手です。
佐久長聖 吉岡選手
先月(11月)、5000メートルの日本高校記録を塗り替えました。
吉岡選手は去年1区を走り、終盤に長嶋選手を抜き、区間2位の好走を見せました。
ことしは留学生と争う3区での起用も検討されていますが、小林さんは再び1区で2人が相まみえることを期待しています。
(小林祐梨子さん)
「お互いに意識している存在で、私は2人の対決を高校最後の駅伝で見てみたいです。超高校級の2人が1区で走れば、区間記録は出ると断言してもいいですし、そんなハラハラするレースがスタート直後から見られると思います」
《男子の優勝争いは》
小林さんは、男子の優勝争いについては、西脇工業と佐久長聖の2校に加え、予選のタイムが全国トップだった倉敷(岡山)が絡む激しい展開になると予想しています。
●女子●
《1区で出遅れないことが鉄則》
去年の女子のレース
一方、マラソンの半分の距離を5人でたすきをつなぐ女子も、最長の6キロを走り、中盤以降に上りが続くタフな1区の攻防が勝負に大きな影響を及ぼすと見ています。
(小林祐梨子さん)
「ことしはどこが優勝してもおかしくないという混戦模様。“1区を制しなければ、レースを制することができない”と話す監督が多く、1区で出遅れないことが鉄則です」
混戦模様と言うなかで、小林さんが一歩リードしていると見ているのが、連覇を目指す仙台育英(宮城)と予選のタイムが全国トップだった出した神村学園(鹿児島)です。
この2校は、いずれもエースを1区に起用する見込みです。
仙台育英は、去年1区から3区まで、区間トップの走りでたすきをつなぎ、鮮やかな先行逃げ切りで史上最多5回目の優勝を果たしました。そのレースで2区を走った杉森心音選手が、ことしは1区で起用される見込みで、再び、同じような展開に持ち込むのか注目しています。
仙台育英 杉森選手
一方、神村学園はここ数年1区での出遅れが響き、涙を流してきました。
ことしは万全を期して、1年生のときから都大路のメンバーに入り、経験豊富な田島愛梨選手が1区を務める見通しで、熱い戦いになると予想していました。
神村学園 田島選手
そして、関西勢では、去年準優勝の大阪薫英女学院のエース、水本佳菜選手が1区を走ることに意欲を見せています。
大阪薫英女学院 水本選手
小林さんは各校のエースが流れを呼び込めるかが、その後の勝負を分けるポイントになると指摘しました。
(小林祐梨子さん)
「駅伝では1区の相乗効果がつながっていくというのがよく見られる光景で、2区以降の選手は思っていたより前の順位でたすきをもらえたときは、伸び伸び自分らしくレースを展開できます。1区がキーポイントだと思います」
小林さんは、今大会に出場する選手たちにある思いを持っています。
今の選手たちは、全員が入学当初から新型コロナウイルスの影響を受け続けてきました。
トラックを周回してタイムで競うことになったり、時に駅伝の象徴でもあるたすきをつなぐことができなかったりした大会もありました。
そうした困難を乗り越えて、たどり着いたことしの大会は、3年ぶりに沿道やフィニッシュ地点の競技場での応援が認められます。
(小林祐梨子さん)
「特に3年生は誰よりも走る喜びをかみしめている学年だと思います。集大成なので、伸び伸びと楽しんで、力を存分に発揮してほしいですし、ゴールで最高の笑顔を見届けられたらと思います。それぞれの目標って違うんですよね。学校最高タイム、20番台、いろんな目標に向かって、47都道府県それぞれのカラーがあるので、それを出し切ってほしいと思いますね」
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