高校駅伝男子

2022年12月20日 (火)

全国高校駅伝 取材記 倉敷(岡山)~予選トップのタイムで4年ぶりの優勝へ~

予選トップのタイムで都大路へ

優勝候補として、真っ先に名前が挙がるのが倉敷高校です。

岡山県の予選は2時間3分14秒で優勝し、出場47チーム中でトップのタイム。もちろん選手たちも4年ぶりの優勝を意識しています。

去年は、新型コロナウイルスの影響で、学校のグラウンドや倉敷市内の陸上競技場が使えない時期が多く、河川敷などのロード練習が中心でした。
新雅弘監督は「去年はロード中心の練習で、たくましさやタフさがあり、それで本番も走れたと思います。ことしはトラックでの練習もできて、去年に比べるとスピードがあります。全国の強豪チームといかに競り合っていい順位を狙えるか、ベストの状態で選手を走らせたいと思います」と本番に向けて意気込みを話しました。

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去年の経験を活かして


去年1区で区間4位と好走を見せた南坂柚汰選手が、今年は3年生として最後の都大路に挑みます。練習でも、エースとして黙々とチームを引っ張る姿が印象的でした。

IMG_0474_1.jpg(写真・先頭を走るのが南坂選手)

南坂選手は、おととしは4区で区間3位。去年は1区で区間4位と、長距離区間で安定した走りを見せてきました。ことしも都大路の1区を想定して練習を積んでいます。

【南坂柚汰選手】
「去年の都大路は、具体的な細かいプランはなく、監督からついていけるところまでついて行けと言われていましたので、集団で我慢できるところまで我慢して走りました。去年は、最後の1キロで離されてしまったので、この1年、そこを頭に入れて走ってきました。きついところから、もう一度上げられるようになったところが、今年の成長したところだと思います。チームを流れに乗せるような走りをしたいと思います」

 

3区は留学生で順位を上げる 


倉敷は、毎年3区で順位を上げて、後半は粘りの走りで上位を維持してきました。その重要区間の3区は、今年もケニアからの留学生が走ります。1年生の時から3区を任されてきたイマヌエル・キプチルチル選手。おととしは7人抜き、去年も3人抜いてチームの入賞を支えてきました。夏の高校総体では5000mで、大分東明高校のダニエル選手と競り合っての2位。トラックでも安定した成績を残してきました。とても真面目な努力家で、日本語の習得も早く、「チルチル」という愛称でチームのメンバーに慕われています。

IMG_KIP01.jpg(キプチルチル選手)

 

ことしは10人の登録メンバーに、キプチルチル選手に加えて、もう一人留学生を入れました。2年生のサムエル・キバティ選手です。コロナの影響で来日が遅れましたが、ことしようやくメンバーと合流して練習を始めました。岡山県の予選では、Bチームで3区を走り、キプチルチル選手より速いタイムを出しました。中国大会ではAチームの3区に起用され、王者・世羅高校の留学生を抑えて区間賞を獲得、一気に3区の候補に名乗りを上げました。駅伝を走った経験は県予選と中国大会の2回だけですが、馬力のある走りを監督も評価しています。どちらが走っても3区で順位を上げる走りができるのが倉敷高校の強さです。

IMG_KIB01.jpg(キバティ選手)


守り続けてきた連続出場記録


倉敷はことしで45年連続45回目の出場。連続出場の記録を更新する重圧の中で選手たちは戦っています。監督や選手からは「県予選が一番緊張する大会。ことしもつなぐことができて、ほっとしています」という言葉が聞かれました。この連続記録をつないでいくために、倉敷高校の選手たちは、日頃から走るということに向き合ってきました。それを物語るものが長靴です。 

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倉敷の選手たちは通学や練習に向かう時に足を冷やさないようにこのように長靴を履いています。晴れていても長靴を履いている選手に「恥ずかしくないの?」と質問すると、「もう慣れました。恥ずかしさより、足が大事です」と笑顔で返ってきました。こうした小さな積み重ねが45年連続出場の伝統を築いてきたとのだと感じる光景でした。

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連続出場をつないでいくという重圧の中で今年も全国の切符をつかんだ倉敷高校の選手たち。
都大路の舞台では、のびのびとした走りで4年ぶりの優勝を狙います。

 

取材:三瓶宏志アナウンサー(男子ラジオ実況担当)

 

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