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2023年12月15日 (金)

全国高校駅伝 取材記 関大北陽男子(大阪)~エースに頼らない駅伝力を~

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4年ぶり8回目出場の関大北陽高校男子
8年前、先輩たちが作った2時間6分12秒の記録を塗りかえることを目標に都大路に挑みます。

 

 

エースの原点はトライアスロン


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(走る七枝直選手)

チームを引っ張るエースは3年生の七枝直選手。5000メートルのベストは13分52秒全国高校総体にも出場するなど、高校生トップクラスのランナーです。七枝選手の持ち味は大きなストライドを生かした伸びやかな走りと、後半になってもペースが落ちないスタミナ。原点となっているのが、中学生まで本格的に取り組んでいたというトライアスロンの経験です。中でも自転車で走る「バイク」が得意で、世代別の日本選手権では2年続けて2位に輝きました。しかし、中学生のときに新型コロナの感染が拡大。目標にしていた海外レースの出場を断念せざるをえない状況の中、高校から陸上の世界に飛び込みました。

 

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(バイクをこぐ七枝選手)

(七枝直選手)
「陸上という世界で自分がどれくらい通用するのかわからなかったですし、全国の舞台まで上り詰めたものを失ってしまうという恐怖心もありました。ただ、駅伝や陸上に挑戦してみたいという思いもあったので、覚悟を決めました」

 


チームを10年以上率いる米川和宏監督は、七枝選手の走りを最初に見たときに大きな衝撃を受けたといいます。

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(米川和宏監督)

(米川和宏監督)
「まるで自転車をこいでいるような走り方をするなと。普通は足が着地したあと、後ろにいったん流れてから前に持ってくる選手がほとんどなのですが、七枝の場合は、足が地面に着いたらすぐに、ひざを前に引きつけることができる。教えてもなかなかできることではない。トライアスロンで自然と身についたものではないか」

 

 

さらなる飛躍へ取り入れた鉄棒


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(鉄棒トレーニング)


素早い足の回転と大きなストライドを持ち味に、陸上でもメキメキと頭角を現した七枝選手。しかし、去年の春先、大きな壁にぶつかりました。冬場にどれだけ走り込みを続けても、タイムが思うように伸びなくなったのです。課題として感じていたのが、体が大きく上に跳ねてしまうことでした。地面を蹴った力を上に逃がさず、前への推進力につなげたるために、七枝選手は腹筋背筋といった体幹部分を重点的に鍛えようと考えました。このために取り入れたのが鉄棒を使ったトレーニング。空いた時間を見つけては懸垂や逆上がりを繰り返しました。すると、トレーニングを始めて数か月でタイムが大きく上昇。去年10月、5000メートルで13分台の記録をたたき出しました。当時の高校2年生の中では最も速いタイムでした。

 

 

エースに頼らない駅伝力を


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(集団走 先頭が七枝選手)

2年生エースとなった七枝選手を中心に臨んだ去年の大阪大会。1区の七枝選手がトップでたすきをつなぎましたが、そのほかの選手が思うような結果を残すことができず、都大路への出場はなりませんでした。

「エースに頼らない駅伝力を」

チームはこの1年間、選手一人一人が自覚を持って走力の底上げを図ってきました。七枝選手も練習で1人ペースを上げて単独走をするのではなく、集団の先頭に立って引っ張ることで、チームのレベルを引き上げようと努めてきました。

 

(米川和宏監督)
「エースのまわりを固める選手が育ってこないとエースが生きないんですよね。そのほかの選手が七枝のペースやリズムに合わせて走る練習を繰り返す中で相乗効果が出てきた」

 

 

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(糟谷源太選手)

(糟谷源太選手)
「七枝に追いつこう、抜かしたい、負けたくないという気持ちで練習しています。その結果、七枝だけではないチームというのができてきていると思います」


迎えたことしの大阪大会。関大北陽はスタートで出遅れ、一時、トップと1分以上の差が開きました。それでも、4区の七枝選手が区間賞の走りで勢いをつけると、続く5区でトップに立ちました。その後、たすきを受けた選手たちも流れを切らさず、最後は2位と1分以上の差をつけて優勝。エースに頼りきらない総合力の高さを証明しました。

 

都大路で七枝選手は、各校のエースが集まる「花の1区」を任される予定で、そこで力を発揮することで、「俺たちもやれる」と、チームに勇気を与えたいと意気込んでいます。 

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(七枝選手)

(七枝直選手)
「ことしのチームは平均タイムもかなり伸びていますし、一人一人がかなり力をつけていて、層が厚いチームになっています。自分がしっかり区間賞を取って流れを作り、チームの1桁台順位や、大阪高校記録の更新に貢献できる走りをしたいです」


(取材・山内司記者)

 

 

 

 

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