2023年01月18日 (水)
全国男子駅伝 取材記~安芸路で輝け!高校生ランナー【前編】~
都大路の経験を糧に 綾一輝選手(千葉)
1月5日に千葉チームの中学生と高校生の練習会が地元で行われました。
12月の全国高校駅伝で3位入賞を果たした八千代松陰のエース、3年生の綾一輝選手が軽快に練習をしていました。
高校駅伝では2年連続で1区を任された綾選手。西脇工業(兵庫)の長嶋選手が飛び出す展開のなか、ある戦略を練って、レースに臨んでいました。
綾一輝選手
「2年生の時に先輩から『道路の端はガタガタしているので真ん中の方が走りやすい』とアドバイスを受けて、その通りに走ったが、ペースを上げようとしたとき、集団に埋もれて走りづらかった。そこで今回は、集団の右端を走ることにした」
綾選手は3キロ手前まで予定通り集団の右端を走っていましたが、この日は向かい風が強く、いったん集団に入って風をさけようとしたとき思わぬにアクシデントが襲われました。後ろの選手と足が交錯して転倒してしまったのです。綾選手はすぐに立ち上がりましたが、胸のナンバーカードが外れてしまうほど衝撃がありました。
綾一輝選手
「不思議と焦りはなく、痛みも感じなかったので、その後の走りにも影響はなかった。結果的に区間3位と、最低限の走りはできたのではないか。ただ、走り終わった後から右膝と脇腹に強烈な痛みが襲ってきた。アドレナリンって凄い」
綾選手は、右ひざに打撲と擦り傷、右脇腹にえぐるような深い擦り傷を負いました。取材した1月5日の時点では、まだ脇腹に痛みがあり、ガーゼを貼っていました。全国男子駅伝では、この経験を糧に走ろうとしています。
「飛び出した長嶋選手についていく攻めの走りをすれば転倒もしなかった。もし男子駅伝でも長嶋選手と一緒に1区を走るならついていきたい。区間記録の19分46秒を目指して1キロ2分50秒のペースで押していく走りをしたい」
駅伝全国デビュー! 前田和摩選手(兵庫)
10年ぶりの優勝を目指すのが兵庫。1月7日、兵庫県三木市で行われた中学生と高校生の練習会にはこの冬の駅伝で活躍した豪華なメンバーが顔をそろえました。
全国高校駅伝1区で区間賞を獲得した西脇工業3年生の長嶋幸宝選手。
西脇工業の3年生で、高校駅伝の4区で、区間6位と好走した新妻玲旺選手と、同じ12月に行われた全国中学校駅伝でともに区間賞を獲得した双子の弟、遼己選手と昴己選手の新妻3兄弟です。
その中で、駅伝の全国大会が初出場となる報徳学園3年生の前田和摩選手がいました。
前田選手は、中学校ではサッカーに打ち込み、報徳学園に進学してから本格的に陸上を始めました。5000mのタイムは高校1年生の時、15分34秒でしたが、3年生になると13分56秒まで縮め、夏の全国高校総体では日本選手トップの4位入賞を果たしました。
左の列の後ろが前田選手
しかし、高校駅伝の県大会では3年間、勝つことができず、去年の全国男子駅伝ではメンバー入りしたものの、大会が中止となりました。今回が待ちに待った駅伝での全国デビューとなります。
前田和摩選手
「自分は、長嶋選手のようにスピードはないが、持久力とスタミナには自信がある。リズムよく速いタイムで押していくこともできる。8.5キロで争う5区で持ち味を発揮できると考えている。タイムよりも力を出し切った走りをしたい」
たすきをかけると進化できるところに駅伝の魅力を感じているという前田選手。2年生の時、県大会の1区で長嶋選手に勝ち、地区大会でも2年連続区間賞を獲得するなど勝負強さを発揮してきました。高校入学からコロナの影響を受けながら、兵庫の陸上界を長嶋選手とともに引っ張ってきた前田選手にとって、全国男子駅伝は、いわば高校最後のご褒美の大会とも言えそうです。
前田和摩選手
「トラックでも駅伝でも、長野の吉岡大翔選手と一緒に走ったことがないので、競ってみたい。テレビを見ていて凄い選手だと思うが、気持ちだけは負けないように走りたい」
【後編に続く】
(取材:佐藤洋之アナウンサー/広島放送局 テレビ実況担当)
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