スポーツ

2022年03月20日 (日)

センバツ高校野球~先輩から託された初勝利~

センバツ高校野球で、21日に初戦に臨む金光大阪高校。甲子園には春夏合わせて3回出場してきましたが、いずれも初戦敗退。プロ野球で活躍した先輩からも悲願の初勝利を託されています。

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悲願の初勝利へ 先輩の力


金光大阪には、心強い先輩がいます。プロ野球・中日のエースとして、最多勝に2回輝いた吉見一起さんです。

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去年4月から月1回、投手陣を中心に指導を受けてきました。実は吉見さん、2002年のセンバツで、金光大阪が甲子園に初出場を果たしたときのエースで、涙をのんだ1人です。吉見さんは「指導者として携わり、選手の名前も覚えてきたので、甲子園出場はいつも以上にうれしい」と話しています。

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託されたエースのバトン


吉見さんが、“金光大阪の甲子園初勝利がその頑張りにかかっている”と期待するのがエースの古川温生投手です。去年秋の公式戦では10試合すべて登板し、キレのあるスライダーを持ち味に三振を奪うピッチングで近畿大会ベストフォーの原動力になりました。古川投手は、吉見さんから指導を受けてきたこの1年、技術的なことだけでなく、マウンドでの心の持ち方やエースとしてチームを引っ張る立ち振る舞いなどさまざまなことを学んだと言います。古川投手は「自分も背番号1に恥じないピッチングをしないといけないという使命感や責任感が出てきた」と吉見さんの思いを受け取っていました。

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課題の打撃強化にも一役


大会直前には、去年秋の公式戦でチーム打率が2割7分7厘にとどまった打力の強化にも吉見さんが一役買いました。吉見さんがバッティングピッチャーとして主力選手と試合形式で対戦したのです。現役時代、正確なコントロールから「精密機械」と言われた吉見さんは後輩たちに全力投球。「ストレートと変化球の見極めが全くつかない」と14イニングでヒット性のあたりは5、6本だったそうです。吉見さんは「みんな打席で引いているように見えた。もっと向かっていかないとピッチャーは怖くないよ」とアドバイスを送ったそうです。先輩のことばを胸に臨んだその後の練習試合では、序盤でふた桁得点するなど徐々に手応えをつかんでいます。

エールは楽しんだ者が勝つ


自分のときは届かなかった母校の悲願へ。吉見さんは「もちろん甲子園初勝利を達成してほしいですが、大いに楽しんだもの勝ちだと思います。野球ができることに対するそれぞれの気持ちをもって一瞬でもいいから楽しんでほしい」とエールを送りました。金光大阪はことしで創立40年を迎えます。OBから技術だけでなく、初勝利への思いも託された選手たちが新たな歴史を刻めるか注目です。

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(取材・甲子園取材班 並松康弘)