2021年11月19日 (金)
梨田が斬る日本シリーズ～オリックスＶＳヤクルト 因縁の対決
四半世紀ぶりに日本シリーズに進出したオリックス。対戦するのはセ・リーグの覇者、ヤクルトです。
見どころや勝負のポイント、そして悲願の日本一の可能性は？
ＮＨＫプロ野球解説の梨田昌孝さんに聞きました。
【２６年前のリベンジ】
梨田さんが、掲げたキーワードは「中嶋監督、２６年前のリベンジなるか！！」
オリックスが最後に日本一になったのは平成８年。
その前の年の平成７年、１月には、阪神・淡路大震災が発生しました。
オリックスはこの年、「がんばろうＫＯＢＥ」を合言葉に日本シリーズに進出し、野村克也監督率いるヤクルトと対戦しました。
中嶋監督もオリックスのキャッチャーとして出場しましたが、１勝４敗でヤクルトに日本一を奪われました。
このときの胴上げ投手がヤクルトの抑えだった高津監督でした。
〈梨田さん〉
「中嶋監督が、みんなの悔しさを晴らしてくれるのか、リベンジなるかに興味があります。それは燃えるでしょうね。あのときやられたから今度は絶対と。選手でやられて今度は監督になってやり返すなんて、こんなのなかなか無い。最高の舞台ではないか」
中嶋監督自身も、今回、日本シリーズ進出を決め、ヤクルトとの対戦が決まったとき、短いことばに決意を示しました。
〈中嶋監督〉
「負けているので、何とかやり返したい」
【投手力のオリックス】
ヤクルトへのリベンジを果たすために、梨田さんがキーマンにあげたのはエースの山本由伸投手です。
今シーズンは１８勝をあげ、投手部門の４冠を達成。
クライマックスシリーズでもロッテとの初戦で完封勝利をあげました。
〈梨田さん〉
「縦のカーブをうまく使いながら、引き出しが多く、何でもカウントを稼げる。ベンチ、監督、ファン、みんなに安心感を持たせる、これが大きい。完封してくれたら、『あ、俺もひょっとしたら０点でいけるかな』と他のピッチャーにプラスに働いていくような気がする」
また、梨田さんはシリーズを通しては中嶋監督の継投策が鍵を握ると見ています。
ファイナルステージの第２戦、中嶋監督は７回から継投に。先発の田嶋大樹投手は６回まで無失点、７７球しか投げていませんでした。
〈梨田さん〉
「ちょっとびっくりしました。僕は多少早いと思ったが迷ったら早く代えるという中嶋監督らしい決断。シーズン中ではありえない継投だと思うが、本当に腹が据わっている。勝負師だなと感じたし、中嶋監督の順応性、対応力は、１年目の監督という感じではない」
【打力のヤクルト】
一方、対戦相手のヤクルトは打線が強力です。
４番の村上宗隆選手はホームラン王のタイトルを獲得。リーグ２位の１１２打点を挙げました。
３番の山田哲人選手もリーグ３位の１０１打点。日本代表の常連です。
梨田さんがあげたヤクルト打線のキーマンは、主に１番を打つ、塩見泰隆選手です。
クライマックスシリーズでも内野フライでタッチアップし、１点をもぎ取る積極的な走塁が光りました。
〈梨田さん〉
「いちばん気をつけないといけないのは塩見。本当にすごい走塁をする。シングルヒットをツーベースにしたり、とんでもない身体能力を持っているのと、打球判断。絶対にホームには行かないだろうという所で相手の捕球体勢を見ながら、そこからスタートする。
常に次の塁を狙っている選手だということをオリックスの内野手と外野手は徹底的にたたき込んでもらいたい」
【果たしてオリックスの日本一は？】
中嶋監督が２６年前の雪辱を果たし、オリックスが日本一に輝くのか？
オリックスと合併する前の近鉄の監督も務めた梨田さんは、最後に期待も込めて次のように日本シリーズを展望しました。
〈梨田さん〉
「盛り上がる意味でも７戦まで行って、４勝３敗でオリックスが勝つ。これで日本の野球ファンの興味が湧いてくるし、全国のファンにオリックスバファローズを見てほしい。僕は根拠は無いが、４勝３敗でもつれてオリックスが、最後はヤクルトにリベンジをして、中嶋監督が胴上げをされるというのを想像している」