2022年12月24日 (土)
全国高校駅伝 取材記 旭川龍谷(北海道)~たった1人の男子選手 僕にできること~
北海道の女子代表、旭川龍谷高校の話題をもう1つ。実は、女子チームの中に、たった1人の男子の選手がいます。なぜか?どういう思いで一緒に競技を続けているのか?取材を進めてみると、そこには“熱い思い”がありました。
やっぱり、走るのは楽しい
女子選手に囲まれながら走るたった1人の男子選手、青柳敬太選手です。15人の部員の中で、男子は1年生の青柳選手だけです。
青柳選手が男子の駅伝チームがない旭川龍谷に入学したのは、ことし4月。もともと男子のチームがある別の高校進学を目指していましたが、残念ながら不合格。当初は陸上部に入部するつもりはありませんでしたが、中学時代の先輩や阿部文仁監督に誘われ、練習に参加したことが、入部のきっかけでした。
「1回体験で入ってみたら、やっぱり走るの楽しいなと思って。もう一回頑張ってみようと思って入りました」
チームを引っ張る存在になりたい
当初は戸惑いがありましたが、先輩や同級生たちは優しく迎え入れてくれました。特に先輩たちからは“いじられキャラ”としてかわいがられていて、チームの雰囲気を明るくすることに一役買っています。
阿部監督は、男子の青柳選手の存在がいい刺激になっていると話してくれました。
「彼がいることで他の女子選手がいい緊張感を持って練習に取り組めている」
雪の積もり始める初冬、チームは農業用ハウスを応用して作った屋内練習場で走り込みをしていました。。個人の持ちタイムごとに2つのグループに分かれて、一定のラップタイムで走り続ける練習です。青柳選手は持ちタイムが速いグループに入り、他の4人の女子選手と一緒に汗を流しました。入学して半年あまり、チームトップの女子選手には、まだ、勝てませんが、刺激を受けています。
「やっぱり女子に負けるっていうのは悔しい。ここからタイムを伸ばせるだけ伸ばして、チームを引っ張っていけるぐらいまで速くなりたい」
仲間のために“できることを”
女子駅伝チームは10月に行われた北海道大会で5区間すべてで区間賞を獲得し7連覇。ことしの全国大会では学校として初めての8位入賞を目指しています。
青柳選手は全国大会には出場できませんが、8位入賞が達成できるように、チームの一員として自分が出来ることを模索してきたと話してくれました。
「笑顔で全力で楽しめるのが一番だと思うので、なるべく笑顔でいたり空気を和ませたり雰囲気づくりは、けっこう意識してきました。練習では団結力が大事になってくると思うので、走りでも負けないように男子として出来ることを考えてきました」
仲間のために。そして、チームの目標達成ために。
男子でも女子でも、今の自分が置かれた立場で、できることに専念する。彼の発言からは、強い思いが感じられました。そんな青柳選手に、彼自身の高校での競技生活の目標を聞いてみました。
「ぼくは中距離が専門なので、800メートルや1500メートルで個人で全国高校総体に出場したい。これからも、ほかの女子選手と一緒に練習を頑張っていきたいです」
チームへの密着取材の中で、こっそり語ってくれた、確かな目標。男子も女子も関係ない。仲間と切磋琢磨して、その目標も、ぜひ、達成してほしいと思いました。
(取材:旭川放送局 カメラマン・伊勢谷剛史)
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