しあわせニュース

2024年04月02日 (火)

学びやに"別れ"と"感謝"を

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学びやに、“別れ”と“感謝”を伝えたい。

閉校が決まっている大阪・豊能町の中学校で、あるイベントが開かれました。

この日は、母校に入れる“最後のチャンス”。

在校生や卒業生が思い出をたどり、それぞれに見つけた“しあわせ”とは。

(大阪放送局 しあわせニュース取材班 小野田真由美)


校舎は同窓会の会場に

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大阪・豊能町にある「吉川中学校」。

再来年、閉校することが決まっています。

ことし3月、「メモリーズフェスティバル」というイベントが開かれ、卒業生や地域の人たちに学校が開放されました。

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校内に入れる最後のチャンスと、校門の前には行列が。

世代を超えて、卒業生やその家族600人以上が詰めかけました。

訪れた人たちは思い出の教室を訪れては、席に座るなどして当時をしのんでいました。

また、あちこちで「元気~?!」という歓声も。

思いがけない再会が相次ぎ、校舎は、まるで“同窓会”の会場のようでした。

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「卒業から45年ぶりに学校に入りました。懐かしい香りがいいですね、一気にその時代に戻ります」

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「学校に来るのは、14~5年ぶり。部活の顧問の先生に会えてうれし泣きしました」


マンモス校から 生徒は約5分の1

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「吉川中学校」が開校したのは、77年前の昭和22年。

大規模な宅地開発が続いた昭和40年代後半から、町の人口は増加していきます。

一時は全校生徒が1000人を超えるマンモス校に。

しかし、少子高齢化が進み、生徒数は5分の1のおよそ200人にまで減少しました。

そこで、町は小学校と中学校の統廃合を行うことを決めました。

「吉川中学校」の校舎では再来年、義務教育学校が開校する予定です。


楽しんでもらう仕掛け作り

最後にもう一度、卒業生や地域の人が集える場を設けたい。

生徒会を中心とした在校生たちが、学校の許可を得て、イベントを計画しました。

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実行委員 浦部七海さん
「親も兄弟も自分も通った学校なので、いろんな人の思い出に残る物を作るお手伝いができるのがすごくいいことだなと」

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どの世代にも楽しんでもらえるようにと考えたのが、写真用の顔出しパネルです。

パネルには、制服や体育祭など“青春の一コマ”を描きました。

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生徒会 阪本愛莉さん
「青春時代は心に刺激があって、みんなの記憶に深く残っていると思います。その時に戻った“うぶ”な気持ちを思い出してもらいたいなと思ってこうした場面を選びました」。

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もう一つ、生徒会のメンバーがこだわったものがあります。

それは、黒板に描いた「羽」です。

教室から、「未来に羽ばたいた先輩たちに続け!」との思いを込めました。


あふれるしあわせ

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当日、パネルから顔を出し、写真を撮る男性がいました。

この日のために、岡山から、子どもと一緒に20年ぶりに母校を訪れたといいます。

友達と写真を撮り合いながら、青春時代をかみしめていました。

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あの「羽」も、人気のフォトスポットになっていました。

41年ぶりに校舎に入り、写真を撮っていた女性は。

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「皆さん“しあわせ”そうにキャッキャしていて、豊能町は“過疎地”みたいになってるけど、まだまだ元気を戻せそうな気がして楽しかったです」

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中庭でも、卒業生の皆さんと当時の先生が盛り上がっていました。

掘り出していたのは、25年前に埋めたタイムカプセルです。

しかし、掘り出したカプセルを開けてみると…

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中は水がたまって、ぐちゃぐちゃに。

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それでも探ってみると、友達の姿がわずかに写った写真や制服のスカーフが出てきました。

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スカーフをよく見ると、「生きろ」の文字が。

その場にいた女性が言いました。

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「たぶん、書いたの私だと思います、書きそうな気がします。25年前の自分からのメッセージに答えるなら、“がんばって生きてます”」


ありがとう中学校

学校と最後のお別れができた。

訪れた人たちは口々に「感謝」の気持ちを話していました。

「こういう機会を作ってくれた在校生・先生がたにほんまに感謝です」

「こんなチャンスがなかったら懐かしい友達に会えなかったので、すごくありがたかったです」

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イベントを成功させた生徒たちからも、この校舎への感謝の思いがあふれます。

「最後の学校としてみんなをハッピーにできました。自分の運命、ここ豊能町で生まれてよかったな、学校も先生も生徒会のみんなも大好きです!すべてにありがとう」

「吉川中学校」の生徒たちは、再来年に新しい学校ができるまで、町内の小学校で学校生活を送ることになっています。

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