2024年03月05日 (火)
"心を動かす一杯を" コーヒーにかける思い
コーヒーの新たな魅力を発見しようと、日々、挑戦を続ける大阪の男性。
“心を動かす一杯”を提供したい。その原動力は。
(大阪放送局ニュースリポーター 小川真由)
大阪市内で店を構える野里史昭さん(43)は大学を卒業後、コーヒーをいれるバリスタとして働いてきました。
野里さん
「時には疲れを癒やす一杯であったり、時には目覚めの一杯だったり、たくさんの楽しみ方があるのがコーヒーの魅力」
コーヒーに関する数々の賞を受賞してきた野里さん。
味を追求していくなかで、リキュールなどと組み合わせるカクテルによって、新たな可能性を表現できないか考えるようになったといいます。
モットーは“人の心を動かす一杯”
カフェでもバーでもない、コーヒーの魅力をあますところなく楽しめる店を目指しています。
客
「みんなが思っているコーヒーとは違うコーヒーの色々な表情を引き出して、表現して、新しいコーヒーの世界をのぞかせてくれる」
コーヒーとカクテルを融合させる技術などを評価された野里さん。
去年9月には、世界のおよそ60の国や地域から2万5千人もがしのぎを削るバーテンダーの世界大会に日本代表として出場しました。
野里さん
「自分を追い込む意味でもコンテストに挑戦して、よりこの一杯にしっかりと向き合っておいしいものを作っていく」
コーヒーに造詣が深い野里さんならではの作品が“メイキングストーリー”と名付けられたカクテルです。
このカクテルの特徴は一杯のコーヒーが出来上がるまでの過程を、何種類ものリキュールなどで表現しています。
野里さん自身がストーリーを語りながら作っていきます。
焙煎の香りを表現するためにブランデーを使用。
実の味わいを再現するために梅のリキュールなどを入れます。
赤い氷はコーヒーの実を表しています。
野里さん
「コーヒーをもっと好きになってもらうためには、コーヒーがどうやってできているのかという過程を知ってもらうことがすごく大事かなと思います」
野里さんは、世界大会に出たことをきっかけに仲間と新たな取り組みを始めました。
そのひとつがコーヒーをいれた時に出る“抽出かす”をただ捨てるのではなく再利用することです。
コーヒー関係の友人
「コーヒーの当事者であるぼくたちが、コーヒーかすを捨てることにそもそも違和感を持てないというのが、ひとつ最初の課題なのかなと思っていて」
野里さん
「捨てるというよりは、ここに溜めておく。いろんな業界での活用方法が見いだせればいいかな」
コーヒーかすを再利用してできた紙を使って作った野里さんの名刺。
名刺を渡す時のちょっとした会話から、環境を考えるきっかけになればと考えています。
友人
「将来自分のお店を開業する時にショップカードとかに使ってみたいです」
さらに野里さんが提案したのは、余ったコーヒーを凍らせて作ったカクテルです。
フローズンのドリンクなど、凍らせた方がいいと思うメニューで、このコーヒーを使用しているということです
野里さん
「学んでいかないといけないこととか、習得していかないといけない技術とか、磨かないといけないことはたくさんありますが、お客様にはシンプルに空間、時間を楽しんでもらいたい。いつも来てくれる方が来てくれて、楽しんでいってもらえるという日常がすごく幸せを感じます」