2023年10月31日 (火)
秋の夜空に輝く"幸せ"の星 プラネタリウム誕生から100年
満天の星を、ドームいっぱいに映し出すプラネタリウム。
ドイツで誕生してから、ことしでちょうど100年になります。
そのプラネタリウムが日本に初めて登場したのは大阪。
「大阪市立科学館」で投影されている秋の夜空の中には、“幸せ”と名のつく星が輝いています。
みなさん、“幸せ”を探しにプラネタリウムを訪れてみませんか?
(大阪放送局 しあわせニュース取材班 小野田真由美)
日本初のプラネタリウム
大阪・四ツ橋に、昭和12年に開館した「大阪市立電気科学館」。
ここに、日本で初めてのプラネタリウムが登場しました。
投影機はドイツで発明されたもので、地球上のいつ・どこから見た星空も再現できるという、当時の最新技術が詰め込まれていました。
両端にある直径1メートル程の球体が、それぞれ北半球・南半球の星を映し出していたそうです。
この投影機は当時、アジアでは大阪の1台しかありません。
「昼でも、雨でも星が見える!」と、連日、多くの人が訪れました。
大阪市立科学館が作った電気科学館の開館70年記念誌には、当時の観客たちが、星空の美しさや、投影機の迫力に驚いていた様子が記されています。
(当時・小学校高学年)
「夜空の美しき事、七十過ぎた今でも脳裏に浮かび忘れる事が出来ない」
(当時・小学校高学年)
「黒くて大きな機械がダイナミックに動いて、あまりの迫力に感動」
(当時・園児)
「巨大な怪獣が立っていた。人間に気持ちいい幻覚を見せ、その間に食べてしまおうと思っている怪獣のように思えて、走って会場から逃げていた」
電気科学館が閉館するまでの52年間で、のべ1100万人の観客が訪れたということです。
プラネタリウムはその後、大阪・中之島にある「大阪市立科学館」に引き継がれ、現在は4代目の投影機が活躍しています。
“幸せの星”はどこに?
こちらは4代目の投影機が映し出した星空です。
ドームには、大阪市内の街の明かりを消すと見ることができる、3000~4000の星々が映し出されます。
いま、秋の夜空で目立つ星の一つが「土星」。
午後8時頃、南の方角で、黄色っぽい、落ち着いた輝きを放っています。
この「土星」を囲むようにあるのが「みずがめ座」。
実はこのみずがめ座は幸せいっぱいの星座なんです。
水がめを持った男性の右肩にある「α星」は“王様の幸せ”、左肩の「β星」は“幸せの中の幸せ”という名がついています。
プラネタリウムではもちろん、街明かりの少ない郊外でもキレイに見えるそうです。
誕生から100年での変化
プラネタリウムの誕生から、ことしで100年。
この1世紀で技術革新も進み、地球上以外の場所から見た星空も映し出すことができるようになり、ほかの惑星や、銀河にいくなど“宇宙旅行”が簡単にできるようになりました。
こちらの画像は大阪市立科学館で上映するプログラムのひとつ「土星~白い氷が彩る世界」。
大きな土星と共に、多くの細かい粒が、まるで自分に迫ってくるような映像が体験できます。
この粒の正体について、大阪市立科学館の嘉数次人学芸員に聞きました。
(大阪市立科学館 学芸員 嘉数次人さん)
「“わっか”の氷です。遠くから見ると“わっか”は板のように見えるんですが、近くに行ってみると、実は、たくさんの氷の粒ということが分かります。プラネタリウムでは、ふだんは手に届かない遠い星を身近に感じられるので、これからも、宇宙を知る喜び・幸せを皆さんにお届けしたいと思っています。ここからは、宇宙のどこへでも行けますよ!」
この秋は、100年前に思いをはせながら、プラネタリウムでお目当ての星を探したり、宇宙旅行を楽しんだり、幸せのひと時を過ごしてみてはいかがでしょうか。
土星の周りで輝く“幸せの星”を見つけることも、お忘れなく!
(大阪市立科学館は2023年11月6日から2024年夏まで、リニューアル工事などのため全館休館します)