連続テレビ小説「スカーレット」

特集記事

大野陽子役・財前直見さんインタビュー

2020年3月24日(火)

「大野家の皆さん」と呼ばれることが宝です
-物語の最初から最後まで登場された大野ご夫妻ですが、クランクアップ目前の今のご感想をお願いいたします。

「"朝ドラ"には何度か出演させていただいていますが、最初から最後までというのは『スカーレット』が初めてです。9歳だった喜美ちゃん(川島夕空)が大人になって、大野雑貨店がカフェSUNNYになって。ひとりの人生を年老いるまで演じさせていただけるドラマに出演することはめったにないと思うので、本当に貴重な体験をさせていただいたなと思っています。大野家って『大野さん』『陽子さん』ではなく、『大野家の皆さん』って呼ばれるんですよ。最近では百合ちゃん(福田麻由子)が『私、大野家の皆さんって呼ばれちゃいました。一緒くたにされました(笑)』ってうれしそうに話していて。『大野家の皆さん』と呼ばれることがすごく宝だなと思っています。皆さんが『大野家が癒やしだね、楽しくなるね』と言ってくださるのは、狙い通りなんですけど(笑)、すごくうれしいです」


顔やしぐさ、笑いの間まで似ているおもしろい夫婦になれました
-ご夫妻を演じた大野忠信役マギーさんとの思い出を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「マギーさんとの思い出のシーンはいっぱいあって、どこ、とは言えないぐらいです。マギーさんご自身は脚本も書かれるし、監督もされるし、役者もされていて、引いた目線にも作り手の目線にもなれるので、そういう点で皆がすごく頼りにしていました。常治さん(北村一輝)もマギーさんのことをとても尊敬されていて。『何かあったらマギーさん』という感じの、みんなのお父さん的な存在です。もちろん私も本当のお父さんみたいに頼っちゃって(笑)。マギーさんと夫婦役を演じたのは初めてなのですが、ずっと一緒にいると顔やしぐさまで似てきて、そういうのっておもしろいよね、という話をしました。そのうち、"間"みたいなものや、笑わせてやろうと思うポイントまで似てきて(笑)。その中でも疑問に思ったことや、こうした方がいいと思ったことはお互い言い合って、いい方向に持っていくためのディスカッションをすることができたんですよね。いわゆる似たもの夫婦的なおもしろい夫婦像を作ることができたかなと思っています」


遣都君は頭がいい!その感性がうらやましい!
-陽子さんの息子、大野信作役林遣都さんの印象を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「遣都君は何が飛び出してくるか分からない、おもちゃ箱みたいな人だなと思っています。あの感性がうらやましいですし、尊敬しています。何を考えているのか分からないようなことを突然やっても、ちゃんと芝居として成立しているんですよね。普通、役者に限らず人間は、自分をお利口さんに見せたいものだけど、間が抜けたように見せようというのは、本当に頭がよくないとできないと思うんですよね。この人はすごいな、頭がいいんだなと思って見ていました。『トンビがタカを生んじゃった』みたいな(笑)」

以前のインタビューで林さんは、財前さんとマギーさんがいらっしゃるから、コメディーシーンも安心してできるとおっしゃっていました。

「マギーさんが、このシーンよかったね、とか、ちゃんと表現できてたよ、ということをおっしゃってくれるんですよ。信作だけでなく、百合ちゃんにも喜美ちゃんにも。本当にみんなに安心感を与えてくださって、マギーさん様様ですよ」


百合ちゃんは本当にかわいくて、いい嫁、いい娘です
-大野家の嫁になった大野百合子役福田麻由子さんの印象を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「百合ちゃんはすごく感受性の強い子で、もともとはそんなに"はねる"子じゃないと思うのですが、大野家に感化されて、はねられるようになって(笑)。自己主張もできるようになりましたね。先輩たちに囲まれて何も言えない自分じゃなくて、言ってもいいんだ、ということを学んだんじゃないかと思います。百合ちゃんはきょうもすごくかわいかったんですよ。『長生きしてください』というセリフのあとに、『本当に元気でいてくださいね』って泣き始めちゃって(笑)。本当にかわいくて、いい嫁だな、いい娘だなと思っています」

以前のインタビューで福田さんは、「人への愛は絶対に画面に映るから」という財前さんのことばがとても響いたとおしゃっていました。

「そういう気持ちを持って演じているのと、ただセリフだから言うのとは、伝わり方がまったく違うので、そういう気持ちがあるなら、何も言わなくても、『あ』だけでも、伝わるものは伝わるから、その気持ちを大事にしてね、ということを話しました。自分の持っているものは必ず画面に表れるんですよね」


最後まで喜美ちゃんのことが大好きなお父ちゃんでした
-川原常治役北村一輝さんとの思い出を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「常治さんは、最後までお父ちゃんでしたね。本当に喜美子のことが大好きで、イコール、戸田(恵梨香)さんのことが大好きで、守ってあげたくて。何かあったらマギーさんと私に相談するんだよ、という道筋をちゃんと作って去って行かれました。チビ喜美子たちの面倒もすごくよく見ていて、絶対、怒らないんですよ。もうされるがままでしたね(笑)。常治さんは、そういうタイプでした。一方でマツさん(富田靖子)は『こうして、こうしてね』とちゃんと子どもたちに言っていて、それがとてもよいバランスで。この夫婦はすごいなと思いながら見ていました。
最初のころは、川原夫妻と私たち大野夫婦と四人でよく飲みに行っていたんですよ。常治さんが亡くなるシーンが近づくにつれて飲み会も多くなり(笑)、みんなの思いも高まって。『こういうふうにひと言付け加えてくれる?』とか『ここはもっとふくらむね』みたいな話をたくさんしました。そして、よい芝居にしたい、常治さんがいなくなるのがさみしい、というみんなの思いがひとつになったのが、あの常治さんが亡くなるシーンだったと思います」


マツさんは頭が下がるほどの努力家です
-川原マツ役富田靖子さんとの思い出を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「マツさんは真面目ですごい努力家です。頭が下がるぐらいです。マツさんも私も九州出身なんですが、マツさんは大阪ことばを話すのに納得がいくまで、ことば指導の先生のところに行って、ずっと勉強していました。あの姿勢は本当にすごいです。マツさんに比べたら私なんて、なんちゃって滋賀ことばだったなと(笑)。マツさんは本当に几帳面な方です」

以前のインタビューで富田さんは、劇中でも現場でも、ここぞというときに陽子さんがすっと現れて助けてくれた、とおっしゃっていました。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「喜美ちゃんと八郎さん(松下洸平)の婚約パーティーのシーンですよね。あれは、私自身がなんだか違和感があったんですよ。女の人はお料理やお酒を運ぶので、当初、喜美ちゃんもマツさんもみんな台所にいたんです。でもこのシーンは、八郎さんの受賞のお祝いと、喜美ちゃんと八郎さんの婚約のお祝い、両方を兼ねたパーティーだったので、喜美ちゃんが八郎さんと離れているのはなぜだろうかと疑問に思ったんです。それに、マツさんもそばにいてお祝いしてあげようよ、と。それで、率直に演出にお話ししたら、私たちの意見を取り入れてくださって。ほかにも子どもを持つおばちゃんの意見として黙っていられずにお話しさせてもらったことがありました(笑)。そういう役者の意見も柔軟に聞いてくれる、いい現場だったと思います」


洸平くんはとても器用で感性の塊のような人
-十代田八郎役松下洸平さんの印象を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「八郎さんは劇中ではSUNNYにちょこちょこっとやって来てくれるだけであまり接点はなかったんですけど、以前、別の作品で息子役だったんですよ。だからいまだに息子だと思っているところがあって(笑)、喜美ちゃんと一緒になって欲しいと一生懸命応援していました。洸平くんは本当に器用で、持って生まれた感性と、間合いのよさがあって。耳もいいし、リズム感もいいんだと思うのですが、みんなが大阪出身だと思ったくらい、八郎さんの大阪ことばにはなんの違和感もなく自然でしたよね。子どもたちにもすごく優しいしね。『感性の塊』という感じの人です」


喜美ちゃんはザ座長。うっとりするほど輝いていました
-ヒロイン・川原喜美子役戸田恵梨香さんの印象を教えてください。
大野陽子役・財前直見さんインタビュー 大野陽子役・財前直見さんインタビュー 「喜美ちゃんは『ザ座長』です。本当によく頑張ったと思います。本当に喜美ちゃんあっての『スカーレット』でした。脚本をきちんとかみ砕いて、セリフに書かれていない気持ちもきっちり演じているんですよね。それは洸平君もそうでした。喜美ちゃん、照ちゃん(大島優子)、信作の幼なじみ3人でうまくコミュニケーションを取って、八郎さんが加わってさらにコミュニケーションを重ねて。この個性の塊たちが調和できたのは、喜美ちゃんあってのことだと思います。頭がいいからいろんなことが目に入るでしょうが、それをかみ砕きながら、これだけの分量のセリフを覚えて、これだけの日にちを演じ続けるなんて、すごいとしか言いようがないです。宇宙人なんじゃないかと思うくらい(笑)。みんなでごはんを食べに行ったとき、喜美ちゃんが私の前の席だったんですよ。『こういうふうに芝居しようね』というような話をしていたんですけど、私は『全然メイクしてないのに、この子、きれいだわ~』ってうっとりしちゃって(笑)。それぐらいきれいで輝いていました」


ふんわりと日常に戻っていくような終わり方を期待しています
-最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

「残すところ数回、最後はどうなるんだろうと一番楽しみな時期ですよね。ひょっとしたら悲しい最終回なんじゃないかとか、いろんな想像をされると思いますが、物作り、ドラマ作り、人の人生というものはこういうことなんだろうなということが感じられて、ふんわりと日常に戻っていくような、そんな終わり方なんじゃないかと、私は思っています。どれだけ日常が貴重なのか、生きていることがどれだけ宝なのかということを、見ている方それぞれの胸の中で感じていただけたらいいなと思っています」