連続テレビ小説「スカーレット」

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さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー)

2019年11月 8日(金)

荒木荘での3年間の生活を終え、信楽に帰ることになった喜美子。個性的で心優しい荒木荘の人々を演じたみなさんに、思い出のシーンについてお聞きしました。


荒木荘を去るシーンは本当にさみしかったです
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) 酒田圭介役 溝端淳平さん

「僕がクランクインした日に喜美ちゃんと初めて会うシーンを撮影したのですが、戸田さんとは10年ぶりの共演なのに、お互い30歳を過ぎて演じるのが、15歳と20歳で。戸田さんはもんぺにセーラー服だし、僕は学生服だし、とっても不思議な気持ちになりました。そして圭介はにこにこしながら喜美ちゃんに向かって『かいらしなー』って言うんですよね。リハーサルの時は正直ちょっと恥ずかしかったのですが(笑)、本番はなんとか純朴な青年に見えるように、と必死で演じました。
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) 医学生で頭のいい圭介がひとたび恋に落ちると人が変わったように舞い上がってしまって『胸うずいてたまらん』『恋やと思うわ』なんてセリフを言ってしまうのがおもしろいですよね。勉強ばかりしてきた圭介にとってもこれが初恋なんだと思って演じていました。ここまで恋をして変わる人の役は初めてかもしれません。
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) 台本を読めば読むほど喜美ちゃんがすてきで、僕自身としては喜美ちゃんを応援したくなるのですが、圭介は喜美ちゃんの気持ちを知らないとはいえ、ひどいことを言ったりするので、心苦しかったです。
特に、喜美ちゃんが作ってくれた大好きなおはぎのことを、あき子(佐津川愛美)の前だからといって『せっかく作ってくれるから仕方なく食べてただけで...』というセリフは自分で言いながら胸が痛かったですね。
優しかった女性スタッフさんたちも、なんとなく冷たい雰囲気になって(笑)、現場にいづらかったですね。
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) 荒木荘を去るシーンでは、本当にさみしかったです。僕自身は『喜美ちゃんを選べばいいのに』と思っていましたから。喜美ちゃんだって医者の妻になれば、生活の心配もなく、のちのち陶芸をやることになっても、圭介なら『お金にならなくてもいいよ、好きなことやり』ぐらいのかい性はあるんじゃないかと(笑)。

とにかく、ふわーっとしたお嬢様のあき子と雑草魂の喜美ちゃんに挟まれて何も気づかない圭介を演じて、改めて男ってバカだなと思いました(笑)。
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) 大爆笑したのは、家賃を滞納している雄太郎さんが、フランス革命の漫画に出てきそうなカツラをかぶってふざけているのに、20歳くらい年下の喜美ちゃんに本気で怒られているシーン。モニターで見ながら、大笑いしていました。

雄太郎さんは着流しの中にジジシャツとジジパンをはいているのですが、それが真っ黄色で。こんな色のやつってある?と思って聞いたら、わざわざ作った物らしいです。そんなジジシャツジジパン姿で撮影所をうろうろしている雄太郎さんは『ちょっとおっちゃん、勝手に入ったらあかんで』的な雰囲気でした(笑)」


戸田さんの切ないオーラに自然と涙があふれました
田中雄太郎役 木本武宏さん

「家賃を滞納していることを喜美ちゃんに怒られるシーンは、まず台本がおもしろいですよね。初登場のシーンでいろんなカツラをかぶって長男や次男やと言っていた雄太郎。『毎日のようにあんなことやってんねんやろうな』と見ている方に印象づけてからの、このシーン。またカツラをかぶってごまかそうとしたのに、ごまかしがきかなくてそのまま連れて行かれるという(笑)。戸田さんは、笑う時は本気で笑うんです。こんな風にお芝居されるんやってびっくりしたぐらいに。本気で笑いはるから、一瞬にしてその設定に連れて行ってくれるんですよね。だから、怒られている時も一瞬にして怒られている人になれました。怒られているうちにだんだん本気でへこんでしまったくらいです(笑)。
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) カツラと言えば、喫茶さえずりで、角刈りのカツラをかぶって、その上にハットをかぶって、丸眼鏡をかけて、春日八郎さんの歌を歌うシーンもありましたね。戸田さんも水野美紀さん(庵堂ちや子役)も、ずっとあきずに笑ってくれるので、この時はお笑いのスイッチを思いっきりオンにしました。本気でおもしろがってくれたので、すごくやりやすかったです。撮り終わったあともずっと盛り上がっていてくれて、OKかかった瞬間素に戻る、みたいな勝手な女優さんのイメージが覆されました(笑)。

水野さんは、僕がちょこっとボケたりすることもパーンと受け止めてくれて、その空気をうまいこと生かしてくれるんです。大げさなお芝居になってしまうとみなさんの邪魔してしまうな、と思って控えめにしていると、『そこはもうちょっとオーバーにやっていいんじゃないですか』ってガイドしてくれるんですよね。しまいには、ちや子さんがいないとお母さんを探す子どもみたいな心境になりました(笑)。
さよなら荒木荘PART2(酒田圭介役 溝端淳平さん、田中雄太郎役 木本武宏さんインタビュー) いろんなシーンがありましたが、一番印象に残っているのはやはり、信楽に帰る決意をした喜美ちゃんを励まそうと下手くそなギターを弾きながら歌うシーンですね。初めてお芝居で泣くということをしました。ジワっと涙がにじむくらいでよかったのかもしれませんが、横にいる戸田さんがね、横顔しか見えないのに、切ない悲しい空気をふわっと発するんですよ。これからまた信楽に帰って頑張る喜美ちゃんという役、"朝ドラ"のヒロインを演じる戸田さんの挑戦、その両方を考えると勝手にボロボロ涙が出てきました。

その状況からの歌ですよ。まさにカオスでしたね(笑)。僕のイメージでは"泣き笑い"だったのですが、喜美ちゃん、さださん(羽野晶紀)、大久保さん(三林京子)のヤジがおもしろすぎて。戸田さんは『その歌、ずっとサビなんですか?』(笑)とか、いろんなことを言うんですよ。そこまでは放送されていませんが、その時の空気感は画面に現れていたと思います。なんとぜいたくなことをやらせてもらってるんだと改めて思って、一生忘れられないシーンになりました」


※庵堂ちや子役水野美紀さんの単独インタビューは後日掲載予定です。お楽しみに!