2018年11月08日 (木)
「旬の人・時の人」 ジャズプロデューサー 澤野 由明さん
澤野さんは、大阪・新世界の通天閣のすぐ近くにある老舗下駄屋の4代目のご主人です。下駄が並ぶ店先の上を見てください。「澤野工房」という文字が掲げられています。これは澤野さん自ら立ち上げたジャズレーベルの名前です。
レーベルは今年20周年を迎えました。これまで紹介したアーティストは150人、アルバムは200枚にもなります。澤野さんは才能がありながらあまり知られていないヨーロッパのミュージシャンを中心に、フランスに住む弟の稔さんと一緒に見出しアルバムに結実させてきました。
立ち上げた最初の3年は、リリースしたアルバムもなかなか売れなかったそうです。そんな時知ったのが、フィンランドに住むウラジミール・シャフラノフ。アルバムを出したいと交渉したところ、日本の小さなレーベルが自分の音楽を見つけてくれたと驚いたそうです。CDは予想以上に売れ、澤野さんは「いいと思うものには必ず共感してくれる人がいる」という思いを強くしたそうです。その後もドイツやエストニアなどヨーロッパ各国のアーティストの発掘は続きました。噂を聞き大阪・新世界の店を訪ねてくるアーティストも現れたそうです。
澤野さんのアルバム作りには3つのこだわりがあります。
① 広告をしない。
② ストリーミング、ダウンロードはしない。
③ ベスト盤は作らない。
アルバムは形のあるものとして残したい、ベスト盤を作らないのは1枚で綴られる音楽の物語を聴いてほしいからだそうです。「今の時代には逆行しているかも」と言いながらも、こだわりを持ってこれからもアルバム作りを続けたいということです。
ジャズへの熱い想いを込めて、庶民の街、大阪・新世界から世界に向けての挑戦が続きます。
インターネットでも放送と同時に番組を聞けます。