おはよう関西

2020年12月24日 (木)

学生も社会人も コロナ禍で目指すスキルアップ

新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、雇用情勢は徐々に悪化しています。来年春に卒業予定の大学生の就職内定率は10月1日時点で69.8%となり、去年の同じ時期より7ポイント低くなっています。また大手企業の中には早期退職を募るところやボーナスカットを行うところもあります。こうしたなか、資格を取得したり新たなスキルを獲得したりして自らの価値を高めたいとスキルアップに挑む人々が増えています。その最前線を取材しました。

取材:國村恵ディレクター(NHK大阪)

 

コロナ禍での就職活動 不安を抱える大学生

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大学3年生の迫田美月さんは、就職活動が本格的に始まるのを前に、不安を抱いていました。

近畿大学国際学部 3年生 迫田美月さん 

「コロナウイルスの影響で採用枠が減ってしまうので、就職ができるかどうかがすごく不安です」

就職活動で少しでも有利になるのではないかと、秘書検定準一級の取得を目指しています。ビジネスマナーの知識が問われる秘書検定。取得すればどんな職種でも役立つと考えたのです。大学の資格講座を受講し、1日2、3時間勉強してきた迫田さん。すでに筆記試験は合格し、来年1月に面接試験が控えています。

「(エントリーシートに)書ける資格がなくて、就職活動に向けて書けるものができたらいいなと資格を取得しようと考えました」

 

資格講座の受講が増える近畿大学

近畿大学では今、資格講座を受講する学生が増えています。公務員を目指すある学生は、コロナ禍で公務員試験の倍率が高くなっていると感じており、民間企業の採用試験も視野に入れて秘書検定準一級の取得に挑んでいます。

近畿大学で就職活動を支援するキャリアセンターの坂野裕一さんは、将来への不安の中、学生たちが今自分にできることを真剣に考えた結果、資格熱が高まっているといいます。

近畿大学キャリアセンター 坂野裕一さん

「スキルアップの講座に関しては(昨年と比べ)2割ぐらい増えている。家にいる時間が増えたので、そのあいだに何か自分ができることを考えたことが1番大きい」

 

社会人のあいだでも広がる不安

雇用への不安は、すでに社会に出て働いている人の間でも高まっています。10月に実施された日本生産性本部による調査では、サラリーマンの半数以上が今後の雇用に不安を感じていると答えました。7月と比較して7ポイント近く増加しています。

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新型コロナの感染拡大による経済の落ち込みによって、会社と社員の関係が大きく変化していると指摘する専門家もいます。組織論を研究する同志社大学の太田肇教授です。

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同志社大学 政策学部 太田肇教授

「就職すれば会社が守ってくれるだろうという暗黙の前提のようなものがあった。それがコロナでそれがどうも怪しいと。会社に寄りかかってはいられないのだと真剣に考え始めたのだと思います」

 

これからの需要に期待!? プログラミング学習が人気

こうしたなか、今後企業からの需要が期待できるスキルとして、プログラミングを学ぶ社会人も増えています。大阪や東京に教室を構えるプログラミングスクールでは、新型コロナを機に申し込みの相談件数が過去最多となりました。

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プログラミングスクール 三尾剛さん

「これからの就業、雇用状態に危機感を感じられて、これから転職に生かしていこうとか。お仕事の幅を広げるという形で勉強されたいという方が増えてきております」

 9月からプログラミングスクールに通う男性です。メーカーで営業の仕事をしています。プログラミング学習を始めたきっかけは、4月に会社から2か月間の自宅待機を命じられたことです。同僚の中には、自宅待機とならず業務を任された人もいました。待遇の違いに男性は危機感を抱くようになったといいます。

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「仕事がある人とない人がいる 自分ってなんなんだろうなあみたいな。結構そこで きましたね、気持ち的には 」

 現在30半ばの男性。新たなスキルを身につけ、仕事人生の後半戦に備えたいと考えています。

 「自分をアピールできるものがある人の方が仕事を任される。自分から行動した人としていない人の差ってかなり大きいなって思っていて、なんとか行動した人の方に残りたいなって思ってやっています」

 

今、求められる力とは

先行きが見通せない中、将来への漠然とした不安が漂う現代。私たちは、どのような「備え」が必要なのか。同志社大学の太田教授は、変化のスピードが速い現代社会では、必要とされるスキルをみずから考え常に学び続ける姿勢が大切だと指摘します。

同志社大学 政策学部 太田肇教授

「自分で考える力を身につけるとか、あるいは専門の勉強でも、ただ受け身で学ぶだけではなくて、それを自分のものにして、現実にある問題を解決できるような能力を身につけていくとか。こうした総合力としての力。それはこれから特に重要となってきていると思います」