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八津弘幸さん「『おちょやん』を見て、みんながちょっと優しい気持ちになれば」

インタビュー

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数々の人気ドラマを生み出してきた脚本家・八津弘幸さん。「おちょやん」で初の連続テレビ小説を手がける八津さんが語る、作品に込めた思いとは?

杉咲さんの、根っからの明るさを見せたい

今から15年ほど前、まだあまり実績のない頃に「日本でドラマの脚本を書くなら、いずれは連続テレビ小説や大河ドラマを書きたいですね」と言ったことがありまして。今、それが実現できて感無量ではあるのですが、少しずつ怖さも感じています(笑)。

 

「おちょやん」は女優・浪花千栄子さんをモデルにした物語です。自叙伝などを読むと浪花さんは大変苦労されていて、表では喜劇というお芝居をする一方で、実生活では孤独であったり、裏切りに遭ったりしているんです。本作の主人公である竹井千代も傷つくことはありますが、そればかりではない極力明るい竹井千代を、全力で書きたいと思っています。

 

竹井千代を演じる杉咲花さんは、とにかくお芝居がうまい方。うまいからこそ、作り手もより深い面を見せたくなるのか、これまでは表向きは明るいけれど影もあるような役が多かったように感じます。でも、「おちょやん」では杉咲さんの、根っからの明るさを見せていきたいですね。泣くシーンもたくさんありますが、そういうものもすべてはねのけるような、明るさや強さのある杉咲さんの魅力が出るといいなと思っています。

 

本当におもしろくて、本当に見たい作品に!

 

「おちょやん」は喜劇というファクターが外せない作品です。では喜劇とは何かというと、落語もそうですが、人間のだめな部分や滑稽さを描いて、でも最後はほろっと泣けて笑えて優しくなれる、というようなことだと思うんです。

 

 

今、SNSをはじめとして、世の中全体がとげとげしい時代、寒々しい時代になっているように感じます。個人的にはそれが嫌で、そんなに完璧な人ばかりではないし、だめな人もたくさんいて、それでも一生懸命頑張って生きている。竹井千代の周りにいるのも、だめな人ばかりですが、「おちょやん」を見て、そういう人を許してあげられるような、みんながちょっと優しい気持ちになれるといいなと思っています。

 

 

毎日、密度の濃い1話を楽しんでいただいて、さらに1週間通しても楽しんでもらえる作品にしたいですね。連続テレビ小説って、見る習慣ができている視聴者の方が多いかもしれませんが、本当におもしろくて、本当に見たくて、テレビにかぶりついて見てしまうような、そんな作品をお届けできればと思っています。

 

プロフィール

1999年に脚本家としてデビュー。大胆な構成力とエンターテインメント性をベースにした重厚な人間ドラマだけでなく、笑って、泣ける人情ドラマを手がける。主な作品に、土曜ドラマスペシャル「1942年のプレイボール」ドラマ10「ミス・ジコチョー~天才・天ノ教授の調査ファイル~」(NHK)、「半沢直樹」「陸王」「下町ロケット」「ルーズヴェルト・ゲーム」(以上、原作・池井戸潤)(TBS)、「家政夫のミタゾノ」(テレビ朝日)など。