まんぷく特集記事

2019年02月16日 (土)

裏萬平さんが語る! "失敗"まんぷくラーメン開発秘話

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 (麺担当スタッフ)チーフ:泉並敬眞/佐原裕貴・小川公一・岡本剛毅

 

ついに完成した福ちゃんと萬平さんの「まんぷくラーメン」。3週間に渡って放送したラーメン開発シーンには、数々の失敗作が登場しましたが、視聴者に伝わりやすい「上手な失敗作」を作るため、まさに萬平さんのごとく試行錯誤を繰り返したスタッフたちがいました。

今回はそんな「裏萬平さん」たちに、「失敗まんぷくラーメン」の開発秘話を聞きました。

blog_ramen_fig.jpg自伝に書かれたわずか10ページの記述を膨らませる努力

萬平さんのモデルでもある即席ラーメンの開発者・安藤百福さんの自伝の中で、ラーメン開発にさかれたページはわずか10ページほど。「お湯をかけただけで食べられるラーメン」を目指したこと、奥様が天ぷらを揚げているのを見て、麺を揚げることを思いついたこと、は明記されていますが、麺作りに関する記述や資料はほとんど残っていないそうです。

記述や資料には残っていないものの、おそらくあったであろう試行錯誤の部分を探るため、麺作り担当スタッフと脚本家の福田先生が、某食品メーカーの研究所を訪れたのは2018年8月のこと。

そこで、麺にいろいろな物を練り込むと麺線(麺が線状になること)ができないこと、風で乾かしただけの麺ではお湯をかけても完全には元に戻らないこと、揚げ油の温度が低いと中まで火が通らないこと、などを実際に目で見て、実食したといいます。

このような生の体験から得た発想を福田先生が台本に起こされたのが、放送開始直後の10月。

その台本を元にスタッフたちの「失敗をカタチにする戦い」が始まりました。

【スープエキス練り込み麺編】 うまくできすぎてしまうという失敗

安藤百福さんの自伝によると、百福さんもまずはチキンスープやほうれんそうなどを麺に練り込んでみたのだそう。しかし「なかなか麺にならなくてやめた」と。なぜやめたのか。どんな失敗があったのか。ここからが『まんぷく』オリジナルのストーリーです。

麺作りにあたっては、製麺指導の方に事前に作ったものを動画で送ってもらい、かつ現場でも指導を仰ぎました。

 

[失敗1] 第18週102回 鈴さんと3人で初めて製麺機にかけた麺

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小麦粉にごま油を加えた練り水、卵と卵の殻、スープエキスを加えて練り込んだ麺を初めて製麺機にかけるシーンでは、福ちゃんが生地を製麺機に入れ、鈴さんがハンドルを回し、萬平さんがハサミで切ろうとすると、ハサミで切る前に麺がボソボソと切れていきます。

「やってみると案外、ボソボソと落ちずに麺がつながっているんです。麺に塩分などよけいな物を加えるとグルテンの結合が弱くなり、落ちてくるはずなんですが…。スープエキス練り込み麺は保存がきかないので、撮影当日に作るのですが、撮影に時間がかかると、結果的に『麺を寝かせた』状態になり、グルテンの結合力が強まってしまったのが原因ではないかと考えました。そこで、泥だんご状の生地をいくつか作ってくっつけ、ひとつの生地の状態にして製麺機にかけると、うまくボソボソと切れた麺にすることができました」。 

 

[失敗2] 第18週102回 山芋をつなぎにした麺

blog_ramen_photo_02.jpg山芋をつなぎにした麺は、生地は裂けないものの麺線にならずにベトベトにくっついてしまいます。

「山芋だけではベトベト感が足らず、水を足しました。しかし、ベトベトすぎると製麺機を通らないんです。製麺機を通る程度に水分量を減らすと、麺線ができてしまう。ですから、これは本当に裏話なんですが、製麺機を通す生地とぐちゃぐちゃにひっついた麺は別のものを使いました」。

 

[失敗3] 第18週103回 塩やかん水の量を調節したキレイなスープ練り込み麺

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blog_ramen_photo_05.jpg萬平さんは麺にするために適した塩の量、かん水の量をつきとめ、その限界値を超えないギリギリの分量でスープエキスを練り込み、きれいな麺を作ることに成功します。ところが、この麺をゆでてみるとまったくコシがなく味も抜けている状態。以後、萬平さんは麺によけいな麺を練り込むことをやめ、麺までは普通に作ることにします。

「研究所のミキサーで混ぜ、機械で何トンもの圧力をかけて力業でグルテンを結合させると、よけいな物を練り込んでいてもきれいな麺ができるんです。ところが、現場では萬平さんのように手で混ぜるので、なかなかうまくいきません。ある程度の物はできても、近くで見てまったくひびが入っていない麺を作るのは本当に難しくて。何がよくないのか分からない、本当に萬平さん状態になりました(笑)。この麺に関しては、どうやって作ったのか、試行錯誤としか言いようがありません」。

 

【保存法編】 もっともまずかったのは塩漬け麺

麺の常温保存法に関しても、自伝には「ありとあらゆる保存法を試した」とあるだけ。そこで、保存と言えばどういうものがあるか列挙し、その一覧を元に福田先生がいくつかの保存法をチョイスされたのだそう。

 

[実証1] 第19週105回 麺の塩漬け

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保存法として最初に試した塩漬け。塩にスープエキスまで吸い取られ、ゆでてもどうしようもなく塩辛い麺になりました。

「丸一日、塩につけた麺は膨れ上がるんです。水分が吸い取られるかと思いきや、なぜか膨れ上がってびっくりしました。実際に塩をさっと払ってゆでた麺を食べたのですが、それはそれは塩辛くて、もはや塩を食べているような状態。映像上の福ちゃんと萬平さんの『塩っ辛い』というリアクションそのものですね。本当にまずかったです(笑)。あまりにまずかったので、撮影時には一度お湯で戻して塩分を薄めたものを使いました」。

 

[実証2] 第19週106回 陰干し麺

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麺を天日で干すと外側だけ先に乾いてしまうことが分かり、陰干しすることに。陰干しは1時間、2時間、3時間と時間を変えても水分が抜けきらず、「それ以上おくと麺が傷んでくる。そのうち、中にカビが生えてくるだろう」と萬平さんは予想しました。

「実際に研究所で3、4日、麺を陰干ししてもらったら中にカビが生えたんです。これはダメだなと実感しました」。

 

[工夫1]  第19週106回 天日干し麺、陰干し麺

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blog_ramen_photo_09.jpg天日干しした麺と陰干しした麺。製麺指導の方によると「実際にはあまり見た目は変わらない」そうなのですが、視聴者に伝わりやすくするため、ある工夫をしました。

「天日干し麺はカラメルソースをかけて少し焦げた感じを出し、陰干し麺は時間ごとに色を変えるため、卵麺という黄色い麺と白い麺を混ぜて、それぞれの色を表現しました」。

 

【スープエキスかけ麺編】 スープにとろみをつけて分かりやすく!

スープエキスに浸すのではなく、かけた方が水分量が少なく乾くのが早くなると気づいた萬平さんは、スプーンを使ってスープエキスをかけていきます。ところがそれではムラになってしまうため、福ちゃんがジョウロでかけることを思いつきます。ジョウロでスープエキスをかける方法は安藤百福さんも実践していた方法です。 

 

[工夫1]  第19週108回スープエキスかけ麺(スプーン&ジョウロ)

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「スープエキスそのままの状態だと色がうすく、すのこの下に落ちてしまうんです。照明などの技術スタッフから『スープがかかっているのかどうか分からない』という意見が出て、それならもっと見た目にわかりやすくしようと、しょうゆを少しまぜて色を濃くし、かたくり粉をまぜてとろみをつけました」。

 

【揚げ麺編】 麺を揚げる作業はまるで生き物との戦い!

福ちゃんが天ぷらを揚げている様子を見て、麺を揚げて水分を飛ばす方法を思いついた萬平さん。安藤百福さんの発明物語の中でも有名な逸話です。しかし「揚げて完成」しないのが“ものづくり”にこだわる「まんぷく流」。第20週の110話から113話まで、油で揚げて戻した時に一番おいしい麺にするための試行錯誤が続きます。

 

[工夫1] 第20週111回 金枠に入れて揚げる

blog_ramen_photo_11.jpgblog_ramen_photo_12.jpg麺をそのまま揚げると広がってしまうため、萬平さんは四角い形の金枠を作り、その中に麺を入れて揚げることにします。

「鉄製の金枠を美術スタッフと一緒に制作しました。金枠を使って揚げてみると、水分が蒸発する時の泡の勢いで浮き上がってくるんです。それをお玉で上から抑えて鍋の底につけると接地面が焦げてしまいました。そこで、金枠の底に足をつけ、その足の部分に鉄のワイヤーを巻き付けて重りにしました」。

 

[失敗1] 油の熱で金枠が縮んだ

ドラマの中にはなかった失敗ですが、金枠を高温の油に何度もつけていると、縮んでしまい、揚がった状態の麺が入らない事態に!

「撮影の都合上、揚がった状態の麺をいくつも用意しているのですが、金枠が縮んでしまい、揚げ麺が入らないという不測の事態に。製麺指導の方が『揚げた状態の麺を蒸し直して、ぎゅっと手で縮めてからもう一度揚げたら入る』と言うので、驚きつつも言われた通りにやってみたら、縮んだ金枠にすっぽり入ったんです。さすがの知識に感服しました」。

 

[実証1] 第20週111回 180度・130度・160度の油で揚げる

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blog_ramen_photo_15.jpg最適な油の温度をさぐる萬平さん。180度で揚げると外は黒焦げ、中だけきつね色の麺ができ、130度の油で揚げると焦げ色がつかず、160度が最適な温度だということにたどり着きます。

「外は黒焦げで中だけきつね色の麺を現場で作ることは不可能なので、この麺は研究所に依頼しました。油で揚げる時の泡は、炭酸ガスの入浴剤などで代用できないか考えたのですが、泡の状態が全然違うんですよね。180度、130度、160度、それぞれで揚げた時の泡の状態は、実際にその温度の油でしか出せない物なんです。ですから、リアリティーを追求するため、しっかりと安全対策を取った上で実際の油を使って撮影しました。麺を油で揚げる作業をやっている間は、まるで生き物と戦っているような気持ちになりました」。

最後に「一番難しかったのは上手に失敗すること。失敗しながらも成功への階段を一歩ずつ上がっていく過程を見せるという台本のおもしろさを再現できるように試行錯誤しました」と語った麺担当スタッフ。

その努力は、まさに「裏萬平さん」と呼ぶにふさわしいものでした。

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