高校野球

2021年03月26日 (金)

#ユニフォームに思いを込めて

センバツ高校野球は、大会6日目の第1試合で1回戦を終え、出場32校の選手たちが甲子園の土を踏みました。今回初めて大会の取材を経験するなかで、印象に残ったのは、各学校の個性的なユニフォームです。そこには、さまざまな思いが込められていました。

大リーグのチームとそっくり!?


ピンストライプを基調とし、胸にはアルファベットの「N」と「H」をあしらったロゴマーク。ユニフォームが、大リーグの名門、ニューヨーク・ヤンキースにそっくりだったのは、21世紀枠で甲子園初出場を果たした八戸西高校(青森)です。

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八戸西高校は21世紀枠で甲子園初出場

SNSなどでも「ヤンキースみたい!」「かっこいい!」などと話題になりました。このユニフォーム、部員たちの圧倒的な支持を受けて、2年前に採用されたということです。

ヤンキースのライバル、ボストン・レッドソックスにそっくりなユニフォームだったのは、聖カタリナ学園(愛媛)です。目を引いたのは、胸の部分に赤色で書かれた「CATALINA」の文字。字体やラインなどもレッドソックスに似せたということです。創部から5年で甲子園の切符を手にした若いチームのキャプテン、小澤武門選手は「赤の文字には相手に打ち勝つという意味が込められている。このユニフォームで新しい伝統を築いていきたい」と話していました。

katarina3.jpg聖カタリナ学園も甲子園初出場 

原点回帰を目指す伝統校も


斬新なデザインを選ぶ学校がある一方で、今回で32回目の出場となる中京大中京高校(愛知)は、2年前に、伝統の立ち襟ユニフォームを復活させました。白地に紺というシンプルな配色で、胸元にはやや控えめに「CHUKYO」の文字。令和という節目を迎え、もう一度「原点回帰」しようという思いを込めたということです。

chuukyo.jpg中京大中京は伝統のユニフォーム

唯一無二のデザインで


私が最も気になったのは上田西高校(長野)のユニフォームです。胸の部分にある「上田西」の3文字を一本の線でつなげた独特なデザインが特徴です。地元出身のデザイナー、馬場雄二さんが制作しました。民放のロゴマークもつくった売れっ子で、83歳になったいまも現役です。

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馬場雄二さん 

上田西高校のユニフォームのデザインを手がけたきっかけは、野球部関係者からの熱烈なオファーだったそうです。高校で美術部に入るまでは、野球部だったという馬場さんは「地元への恩返しになる」と快諾したと言います。上田西高校が現在のユニフォームになったのは平成8年。それから四半世紀、伝統のユニフォームとして受け継がれてきました。

馬場雄二さん
「当時としてはかなり奇抜なデザインだったので受け入れられるか心配でしたが、こうして長い間着ていただいてうれしく思っています。甲子園という晴れの舞台で、自分がデザインしたユニフォームを着て選手たちが戦ってくれることには感無量です」。

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「上田西」の3文字の真ん中を1本の線が貫いているのは、仲間との団結を一番にして欲しいという馬場さんの願いからです。さらにスピード感あふれる右肩上がりの文字は、高校生のみなぎる若さとチームの飛躍を表しています。選手たちもそうした思いを受け止めていました。

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上田西高校 柳澤樹主将
「上田西の野球部に入りたいと思った理由の1つが、このユニフォームを着たいというあこがれでした。ユニフォームを着るといつも以上に気合いが入ります」

上田西は1回戦で、広島新庄高校に延長12回の接戦のすえ、0対1で敗れましたが、ユニフォームの文字のように夏に向けた飛躍を十分に感じさせるプレーを見せました。ユニフォームに込められた思いにも注目して、残りの戦いを見ていきたいと思います。

(センバツ取材班 金子晃久記者)
          

 

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