高校野球

2021年03月23日 (火)

センバツで新しい歴史を

 

ことしのセンバツ大会には、独自の歩みを進めてきた学校も出場しています。24日に初戦を迎える京都国際高校は、前身が京都韓国学園。夢の舞台をつかんだ野球部を創部から見守ってきた副理事長は「子どもたちが積み上げてきたものを、思う存分発揮しれくれたら、勝つチャンスはあると思う」と期待しています。

在日コリアンの学びの場として開校


京都国際高校の野球部創部は、京都韓国学園時代の平成11年。学校法人の副理事長、金安一(キム・アンイル)さん「放課後の子どもたちの居場所を作ろう」と呼びかけました。当初、集まったのは13人。そのほとんどが野球経験がなく、金さんは「打ったら三塁に向かって走る選手もいた」と振り返ります。

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初の公式戦は34点差の大敗


その年、外国人学校として、高野連=日本高校野球連盟に加盟し、夏の京都大会では、初めての公式戦に臨みました。相手は、前年夏の甲子園で準優勝した強豪の京都成章。0対34、5回コールド負けでした。

金安一さん
「うちの攻撃が5分、相手の攻撃が30分みたいな感じでした。私たちの応援に来てくれている人が『なにしてるん、ピッチャーかえんか』って言うんですけど、ピッチャーはその子しかいなかったんです」

チームに転機


チームの転機は創部から5年後の平成16年。学校は現在の京都国際高校となり、在日コリアン以外の生徒も多く入学するようになりました。そして、その4年後の平成20年、現在も指揮する小牧憲継監督が就任しました。

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実は小牧監督、34点差で敗れた試合に、相手チームの選手として出場していました。

小牧憲継監督
「ほとんど経験者がいないようなチームで、野球は下手でしたけど、最後までボールを追いかけたり、一生懸命頑張ったりするようなイメージが残っています」。

小牧監督は部員ひとりひとりの個性を伸ばす指導でチームをつくっていきました。力のある選手も集まるようになり、去年秋の近畿大会はベストフォー。着実に力をつけて、創部22年目で甲子園初出場を決めました。

目指したのは守りの野球


今のチームが目指しているのは守りの野球。中心は、この春2年生になる左右の2人の投手です。左投げの森下瑠大投手は鋭い変化球が持ち味。右投げの平野順大投手は、伸びのあるストレートを強みにしています。同い年の2人は、お互いを一番のライバルとして成長してきました。

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森下瑠大投手
「バッティングでもピッチングでも負けたくない、ライバルです」

平野順大投手
「プレーの面でいろいろ教えあっています」

 つかんだ甲子園の切符


創部から野球部を見守ってきた金さんは「最初は甲子園なんて考えてもいなかったし、手が届くようなもんではないと思っていました。子ども達が積み上げてきたものを、思う存分発揮しれくれたら、勝つチャンスはあると思う」と期待しています。

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外国人学校として13人からスタートした京都国際高校の野球部。センバツで、新たな歴史を刻みます。

(担当:センバツ取材班 中村りお記者)           

 

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