高校野球

2020年08月15日 (土)

魂が込められたノック

7分間でおよそ80球。福島の磐城高校の選手たちは、試合前に前監督から魂の込められたノックを受けて夢の舞台に挑みました。

 

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【甲子園が幻に、そして…】


磐城高校は、OBでもある木村保さんが5年前に監督に就任。『Play Hard』をスローガンにチームを率いてきました。ことしのセンバツ大会、21世紀枠で甲子園出場を果たすはずでしたが、新型コロナウイルスの影響で大会が中止となり、その直後、木村さんは人事異動で磐城高校を離れることになりました。大きな目標に加え、支えも失った選手たち。木村さんがかけたのは「今、まさしく忍耐のときです」ということばでした。選手たちは、そのことばを信じて、できる範囲での練習を続け、交流試合という形で、甲子園のグラウンドに立てることになりました。そして木村さんが、試合前にノッカーを務めることも特例で認められました。

【魂のノック】


迎えた試合前練習。木村さんは「選手たちが最高のパフォーマンスを出せるように1球1球、魂を込めた」と全力でノックをしました。与えられた時間はわずか7分。それでも「今まで生きてきた中で、経験したことがない時間だった」と終始、笑顔でした。はじめは、緊張していたという選手たちも、大きな声を出して打球を追いかけました。木村さんは、およそ80球のノックを終えると、いつものように感謝の気持ちを込めて、ホームベースの土を丁寧に手で払って一礼。前日に磐城高校のグラウンドでも、ノックをおこなっていましたが、教え子たちと一緒に甲子園のグラウンドに立ち、こみ上げる涙を抑えきれませんでした。

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【恩師の指導で選手も躍動】


「保先生の思いに応えよう」。国士舘高校との試合で、選手たちは見事なバックホームで相手の追加点を阻止するなど精いっぱいのプレーを見せました。1点差で敗れたものの、キャプテンの岩間涼星選手は「魂のノックで最高の準備ができ、感謝の気持ちでいっぱいでした。勝ちきれなかったですが、最後まで『Play Hard』を貫き、泥臭く、楽しくできました」と胸を張りました。木村さんも試合後、「苦しくても一生懸命やっていれば必ず光が見えてくる。ここで得た大きな宝物をこれからの人生に生かしてほしい」とエールを送りました。思い描いたどおりの形でなくても、夢の舞台に一緒に立ち、かけがえのない時間になったようです。

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(甲子園取材班 大島英吾記者)

      

 

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