高校野球

2020年08月14日 (金)

履正社の注目 小深田選手の決意

全国屈指の強豪校となった大阪の履正社高校が15日の第1試合に登場します。対戦相手は石川の星稜高校で、去年夏の決勝の再戦となりました。注目は、履正社で初めて1年生から中軸を任されてきた左の強打者、小深田大地(こぶかた・だいち)選手です。

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【プロに進んだOBも手にしなかった】


「左手で押し込むことを意識している」「ピッチャーライナーでもいいから強い打球を打ちたい」。小深田選手はふだん口数は少なめですが、バッティングの話題になると饒舌になります。履正社では、入学直後5月の練習試合から5番に抜てきされ、夏の地方大会では背番号5を与えられました。ヤクルトの山田哲人選手やロッテの安田尚憲選手など、プロ野球で活躍するOBも手にすることができなかった1年生の夏でのひと桁背番号でした。岡田龍生監督は「バッティングには光るものがあったし、十分レギュラーで使えると思った。何より選手間で投票してみんなが小深田を選んだ」と振り返ります。

【これがうちの5番】


小深田選手を語る上でぜひ紹介したいエピソードがあります。それは、おととし100回の記念大会となる夏の甲子園をかけた北大阪大会の開会式。式の直前に、1年生の小深田選手は、3年生の先輩に、宿敵・大阪桐蔭高校の選手の集まる場所へ連れて行かれました。そして「これがうちの5番」と紹介されたということです。この年の大阪桐蔭と言えば、甲子園で春夏連覇を果たし、藤原恭大選手や根尾昂選手、柿木蓮投手などプロに進んだ選手がずらりと顔をそろえていました。柿木投手からは「うちの試合では打つなよ」と声を掛けられたそうです。小深田選手にとっては、履正社の中心選手として力をつけるという覚悟を決めた夏でした。

【全国制覇も納得できず】


 履正社は去年の夏の大会で初優勝を果たしました。この大会、小深田選手は3番で出場し、3割6分の高打率を残しましたが、納得できませんでした。お互いに中軸を任され、せっさたくましてきた1学年上の4番・井上広大選手が、勝負どころで長打を打つのに対して、小深田選手はホームランを打ちたいと気持ちが焦り、本来のバッティングができませんでした。「納得するヒットは1本もなかった」と振り返ります。

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【高校野球をやりきりたい】


 次こそは甲子園で納得いくバッティングがしたい。小深田選手はその一心で練習を積んできました。しかし、新型コロナウイルスの影響で、去年夏に続く優勝を目指したセンバツ大会は中止となり、夏の大会もなくなりました。学校も休校となり、1か月半ほど下宿先から兵庫県姫路市の自宅に戻りました。思うように練習ができない日々が続きましたが「高校野球をやりきって、プロに行きたい」と気持ちを切らすことはありませんでした。バッティングを一から見直し、右肩が上がる癖を修正しました。母親の美子さんは「腐ることなく、淡々と自主練習や学校の課題に取り組んでいた。彼は1年生からレギュラー、2年生で甲子園優勝とうまくいきすぎていたので、冷静に自分と向き合うにはいい時間になったかも知れない」と話しました。

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【最後の一戦への決意】


 チームの練習が再開後、小深田選手は、練習試合と大阪府の独自大会で、5試合連続でホームランを打ち、高校通算34本まで積み上げました。岡田監督は「最近は1球でしとめられるようになってきた。集中力が身につけばもっとよくなる」とその成長を認めています。

 残すは交流試合のみ。小深田選手は特別な1戦を前に「勝ちにこだわってチームバッティングに徹したい。自分のためのホームランは狙わないが、チームのために1本打てたらうれしい」と決意を話しました。1年生から大きな期待を受けてきた選手が、さまざまな経験を糧にどう成長を遂げたのか、高校野球を締めくくる試合が注目されます。

担当:今村亜由美(甲子園取材班)

 

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