高校野球

2020年08月10日 (月)

大分商~離島の先生との絆~

 離島の先生との絆】

交流試合1日目の第1試合、大分商業の試合前練習で選手たちにノックをした深田信平さん(39)。

奄美群島の南西部に位置する鹿児島県の離島、沖永良部島の高校に勤務しています。
なぜ離島で教師を務める深田さんが甲子園で大分商業のノッカーをしたのか。
そこには、チームとの深い絆がありました。

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【思いもよらぬ甲子園】

試合直前、甲子園球場の外野で勢いよく選手たちにノックをした深田さん。

2018年、県どうしの人事交流で鹿児島県から大分県に派遣され、県立の大分商業でことし3月末まで野球部長を務めていました。

2年の任期が終わる直前に開催されるはずだったことし春のセンバツでは深田さんも部長としてベンチに入る予定でした。
しかし、新型コロナウイルスで大会が中止となって甲子園に行くことはかなわず、4月から故郷の鹿児島に戻ったのです。

「『正直コロナがなければ』と悔しい思いがありました」と打ち明けた深田さん。

その後、開催が決まった交流試合で、思いもよらない形で甲子園に行けることになりました。

深田さんを信頼していた生徒や保護者から希望が出て高野連からも認められ、特例でノッカーとして参加できることになったのです。

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「声をかけてもらっていなければ 甲子園に立つことはできませんでした。本当に感謝しかないですし、実際に舞台に立って

 素晴らしい球場だなと思いました」。

 

【生徒とともに甲子園へ】
深田さんが着任するまで、大分商業は春夏合わせて20回、甲子園に出場していましたが、2013年の夏が最後。
センバツは20年以上出場がありませんでした。鹿児島で高校球児だった深田さんは着任後、長く甲子園から遠ざかっている野球部に関わるようになり、去年3月には野球部長に就任。バッティングに悩んでいる生徒には根気よく声をかけながら指導し、成長を見守りました。

チームは夏の大分大会は準優勝とあと一歩で甲子園を逃しましたが、秋の九州大会で準優勝し、23年ぶり6回目のセンバツの切符を手に入れました。

沖永良部島から9日に甲子園に入った深田さん。10日に行われた埼玉・花咲徳栄高校との交流試合の直前、みずからも初めて入る甲子園の土を踏みしめながら、「最後の試合、思う存分やってほしい」という思いを込めてノックバットを振りました。


1試合限りの甲子園での試合でセンターを守った渡邊温人選手は「交流試合で深田先生と一緒にできると聞いて、チームみんな大喜びでした」と自分たちを鍛えてくれた先生からノックを受けて最後の試合に臨める喜びを語り、ライトの井田航太選手は「センバツがなくなって、
深田先生も鹿児島に戻ってショックだったんですけど、交流試合で また一緒に野球ができて うれしかったです」と笑顔を見せました。
試合は埼玉の花咲徳栄高校に1対3で敗れましたが、選手たちははつらつとしたプレーを甲子園で見せました。

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試合後、宿舎に戻った深田さんは大会中止という予想外の事態に見舞われながらも野球を続けてきた生徒たちに、「どん底に落とされても
 乗り越えてきたみんななら、必ずこれからも乗り越えられる」と語りかけて、その心の強さをたたえ、今後の人生へのエールを送りました。

今は沖永良部高校の野球部長となっている深田さん。
「交流試合を終えた気持ちは?」という質問に、「私自身も、もやもやした気持ちに踏ん切りがつきました」と明るく答えました。
今月11日に沖永良部島に戻って、今度は島の球児にノックバットを振ります。

(甲子園取材班 舟木卓也記者)

 

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