高校野球

2020年08月16日 (日)

豪雨とコロナ それでも野球ができる

野球ができる。その喜びを誰よりも感じて、最初で最後の甲子園の舞台に立った選手がいます。15日の第3試合に登場した倉敷商業のキャプテン、原田将多選手です。

haradasyouta.jpeg《写真:原田将多選手》

【西日本豪雨で被災】

入学直後のおととし7月。西日本豪雨で倉敷市真備町は甚大な被害を受け、原田選手の自宅も2階まで浸水して全壊しました。野球道具はなんとか浸水を免れましたが、避難生活が続き「野球をやっていていいのか」と感じていました。

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《写真:被災した自宅》

【父親が原田選手の夢を後押し】

その背中を押したのは父の浩司さんでした。倉敷商業の野球部OBで、甲子園の出場経験もあります。原田選手にも甲子園という夢を全力で追いかけて欲しいと声をかけたといいます。

「大好きな野球を思い切りやらせてあげたい。家のことは気にしなくていいから、一生懸命頑張れ」。

 

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 《写真:父親の原田浩司さん》

【新型コロナウイルスの影響も】

野球ができるありがたさを痛感した原田選手はチームの中心選手に成長。キャプテンとなり、この春のセンバツの切符をつかみました。ところが、今度は新型コロナウイルスによって道が閉ざされました。夏の甲子園も中止となり、大きな目標を失った原田選手は、一時は部屋にこもりがちになり、練習にも身が入りませんでした。そうした中で開催が決まった甲子園での交流試合。また野球ができる。原田選手は「苦しい時こそ自分が試される」と3年生全員に励ましの電話をかけ、再開された練習では笑顔で先頭に立ちました。その思いに仲間も応えました。練習場の外に「原田世代」と書いたプレートを立て、3年生全員が最後の夏への思いを書き込みました。原田選手も「世界一のチーム」という言葉を書きました。

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【選手宣誓に込めた思い】

7月、岡山県の独自大会。選手宣誓を任された原田選手は、野球ができる喜びを込めました。「最高の仲間と野球ができること、本当に幸せです。こんなにも野球ができることがありがたいと思ったことはありません」。チームは存分に力を発揮して勝ち上がり、優勝を果たしました。

【交流試合で勝利!】

迎えた交流試合。倉敷商業は秋の東北大会を制した仙台育英高校と対戦しました。4回に先制され、ピンチが続いた場面でショートの原田選手は外野手と見事な中継プレーでランナーの進塁を阻止。最少失点でとどめて直後の同点、勝ち越しにつなげ、6対1で勝利しました。スタンドで見守った浩司さんは「甲子園でプレーする息子は最高にかっこよかった。すばらしい仲間に囲まれて野球ができて本当に幸せだと思います」と話していました。

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《写真 原田将多選手》

 原田選手も試合後、「父への最高のプレゼントができた」と勝利を喜びました。そして、これまでの3年間を振り返り、「やってきたことはすべて出せた。本当にいいチームで最後に甲子園で野球ができた。言葉では表せないほど幸せです」と晴れ晴れとした笑顔で憧れの舞台を後にしました。

(甲子園取材班 太田直希 記者)

 

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