高校野球

2019年08月18日 (日)

背番号「16」がかけた言葉と思い

夏の全国高校野球、大会12日目の準々決勝第1試合で敗れた八戸学院光星高校(青森)。地方大会までエースの背番号「1」を背負っていた「16」番の選手が、大舞台でプレーする仲間たちにかけた言葉、そして、夏を終えた思いは。


センバツに導いた小さなエース


後藤丈海投手は1メートル70センチと小柄ながら、コントロールを武器に打たせて取るピッチングが持ち味です。去年秋の東北大会では背番号「1」をつけて3試合に登板し、安定したピッチングでチームを優勝へと導きました。センバツ大会では初戦で敗れたものの完投し、2失点の内容。試合後は「どの球種でもストライクを取れるようにレベルアップして、夏にはチームを勝たせられるピッチャーになって帰ってきたい」と気持ちを新たにしていました。

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突然のアクシデント


そんな後藤投手を突然のアクシデントが襲います。夏の甲子園に向けた地方大会のわずか1週間前、右ひじを痛めてしまったのです。背番号「1」の後藤投手は、初戦に登板しましたが、痛みに耐えることができず1イニングで降板。以降、後藤投手の出番はありませんでした。チームは全国への切符をつかみ、迎えた甲子園。後藤投手の背番号は「1」から「16」に変わりました。大切な時期に、なぜ右ひじを痛めてしまったのか。後藤投手は大きな後悔をしたと言います。


甲子園初戦、先発で登板


8月6日、甲子園の初戦。右ひじの痛みが回復しつつあった後藤投手は、センバツで好投した実績を買われ、先発を任せられました。「県大会で投げられなかった自分がマウンドに上がっていいのか」。心に迷いもありましたが「1番でも16番でも自分の仕事を全うするだけ」と気持ちを切り替えて、マウンドに上がりました。持ち味のコントロールを発揮し、5回を投げて1安打無四球で無得点に抑え、チームは初戦を突破します。

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ピッチング以外でチームに貢献を


しかし後藤投手の右ひじの調子は簡単には戻りませんでした。その後も痛みが出て、別メニューでの調整を余儀なくされ、2回戦、3回戦では登板の機会はありませんでした。それでも違う立場でチームに貢献しようと、3回戦では、同点の9回裏、打席に立った下山選手がかたくなっていることに気づき、声をかけました。「ここで打ったらヒーローだ、思い切っていけ」。この後、下山選手がサヨナラの一打を打ちました。

準々決勝 この夏、最後のマウンドへ


準々決勝の明石商業(兵庫)戦。後藤投手は先発から外れましたが、仲井監督からブルペンで投球練習をするよう指示されました。試合序盤からブルペンで練習を始めましたが、痛みがあり、「バッターを1人も打ち取れないかもしれない」と投げることを止めました。試合は1点を争う展開となり、6対6の同点で迎えた8回裏。ワンアウト二塁三塁のピンチ。後藤投手は伝令としてマウンドに上がりました。この夏、最後のマウンドで、仲間たちの緊張を和らげようと「1点あげてもいいから全員で守り切れ」と声をかけました。

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競り負けた試合後、相手の校歌を聞きながら涙を流した後藤投手。
「試合に出ていた仲間はもっと悔しいと思うから泣いてはいけないと思ったが、堪えられなかった。」と、その時の思いを語りました「この仲間と日本一を目指した時間はかけがえのない時間だった。最高の夏でした」。

「16」番は笑顔で甲子園を去りました。

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【甲子園取材班:桑原健史カメラマン】

 

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NHK甲子園 特設HP

 

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