歴史秘話ヒストリア

2019年12月11日 (水)

特攻 なぜ若者は飛び立ったのか

特攻隊の一人だった青年は、あらがいようのない状況の中、国家のために命をかける決断をしました。もし自分がその状況に立たされたら…。当事者として直面した時、みなさんの心には、どんな言葉が浮かんでくるでしょうか。今回、特攻隊・上原良司の手記を朗読した岩田剛典さんは、繊細に、しかし芯が通った表現で、若者の揺れ動く心情を伝えてくださいました。

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 特攻隊・上原良司は、「我らは国家のため 喜んで戦地に向かう」と陸軍のパイロットを目指しながら、軍隊内で理不尽な仕打ち、暴力を受け「特攻」という逃れられない任務につくことになります。極限に立たされた人間しか分からない感情や言葉に、私は、胸が締め付けられました。「決死奉公、悠久の大義に生きるのみである。」と迫られた中、上原は死と生について苦悩しながら自問自答。やがて、「悠久の大義に生きるとかそんなことはどうでも良い。あくまで日本を愛する。祖国のために 独立自由のため、闘うのだ。」と、自分を奮い立たせたのです。

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以前、元特攻隊員の方にお話を伺う機会がありました。なぜ特攻に志願したのか。その方は「身近な者が安泰に暮らせるのなら、自分がまず犠牲になろうと。」「突っ込んでいく時なんかも、いつもの調子で笑顔で出ていきますから。特攻隊員一人一人が色々な気持ちをもって飛んでいったと思う。」とおっしゃっていました。特攻のことを知る人が少なくなっていく中、一年でも長くこの話を伝えていきたいと語っていたその方は、この番組の放送直前に、お亡くなりになりました。太平洋戦争を伝え続けてほしい。大事なバトンが、今、自分の手に渡されたように感じます。

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最後に、出撃前夜の上原の言葉を記します。

「強いて考うれば、自殺者とでもいいましょうか。精神の国、日本においてのみ見られる事だと思います。」「明日は自由主義者が一人この世から去って行きます。彼の後ろ姿はさびしいですが、心中満足で一杯です。言いたい事を言いたいだけ言いました無礼をお許しください。ではこの辺で。」

1945(昭和20)年5月11日早朝。上原は、鹿児島の知覧から、沖縄へ向け離陸しました。22歳でした。上原良司の最期を「悲劇」や「運命」という、美化された言葉で終わらせてはならないと、私は思います。多くの若者を、このような極限状態に追い込んだのは何なのか。二度と起こさないためには、何ができるのか。歴史番組に携わる一人として、これからも考え続け、向き合い続け、次の世代に届くよう発信していきたいと思います。

歴史秘話ヒストリア@NHKオンデマンド 

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■ コメント(3)
  • なお

    2019年12月21日 12時09分

    番組拝見しました。観終わってからもしばらく涙がとまりませんでした。今こうして平和な世界で生きている事に改めて感謝しつつ妹さんがおっしゃってたとおり今の日本を特攻に行かれた方々に見せることができたらと思いました。素晴らしい番組をありがとうございました。

  • TN

    2019年12月27日 00時08分

    本日の特攻のエピソードに共感しました。
    私の亡くなった叔父は、第2次大戦時に大学の学徒出陣にて、特攻要員となり、特攻隊員として出撃しました。しかし、出撃飛行中にエンジン故障で海に不不時着水し、米海軍の捕虜となり戦後に保釈されて生還しました。これは実話です。

  • サスケ

    2020年01月17日 21時57分

    初めて投稿します。特攻の回知らない事が多く戦中の日本陸軍の狂人的な考えに驚愕の連続でした。ほんとにあんな事があったと思うと胸が苦しくなりました。岩田剛典さんの朗読も心地よく耳に入り物語に集中できたと思います。
    スタッフの皆様これからもこういう良作を期待してます。