2019年02月06日 (水)
【井上あさひ】銅鐸から読み解くニッポンのあけぼの
銅鐸ってどんなモノ?
今夜のヒストリアは「まぼろしの王国 銅鐸から読み解くニッポンのあけぼの」をお届けいたしました。銅鐸(どうたく)というと、教科書で見たことのあるあの形は思い出せるのですが、それが一体どんな意味を持つものだったのかはさっぱり思い出せませんでした。
それもそのはず、そもそも銅鐸がどのように使用されたかは謎。かつては、釣り鐘みたいな形だから鳴らすモノなのかな、という推測しかできていなかったといいます。
銅鐸の音色
今夜の放送では、画期的な銅鐸の音色の再現が行われました。銅鐸を鳴らした「舌(ぜつ)」や、舌や銅鐸を吊したした「ひも」の結び方など、正確な再現を目指して工夫をしていく様子が放送され、皆さんもあのなんとも不思議な、それでいて心地よい音色を耳にされたことでしょう。
銅鐸の「鐸」という字には、一字で「鈴」という意味があるそうです。現代でも鈴や風鈴などの音色に“癒やし”を感じる方は多いと思いますが、紀元前4世紀という途方もない昔から「鐸」の音色が日本人の生活に密着していたのだとしたら、再現された音色に心地よさを感じるのもうなずける気がします。
銅鐸に込められた願い
兵庫県神戸市で見つかった銅鐸には、側面に繊細な絵が刻まれていました。絵の意味には諸説あるようですが、ヒストリアではH型の器具を持つ人の絵をきっかけに、水田を中心に暮らす弥生人の歳時記を表していると読み解きました。
自然と共に水田で命を育むことで生活を営む弥生人の豊穣への願いは、現代の私たちにも通じるものがあるような気がしました。そしてその営みの内側に、きっと日常的に銅鐸の音色があったのだろうと思います。
銅鐸消滅の軌跡
番組では600年近く作られ続けた銅鐸が、こつ然と姿を消してしまう歴史にも迫りました。集落にとって日常的なものだった銅鐸がやがて権威の象徴となり、その技術が集約されて2グループになり、それが一つとなって最後には生産をやめるという選択がなされる。弥生人達の勢力争いが、銅鐸の歴史から透けて見える気がします。そこに女王・卑弥呼の名前が登場するので、この話はなお面白く感じられます。
銅鐸だけでこんなに面白い
授業では銅鏡などほかの銅製品とワンセットになって覚えられがちな銅鐸ですが、深く探っていけばこんなにも面白いというところが“ヒストリアマジック”ですよね。
とはいえ、まだまだ謎の深い分野ですので、これからの研究、新発見に大いに期待したいところです。