かんさい深掘り

2022年12月15日 (木)

ボタン電池、飲み込むと1時間でキケン!

bd00.jpg

体温計やおもちゃなど、身の回りのいろいろなものに使われている「ボタン電池」

このボタン電池、誤って飲み込んでしまったら命を落とすこともあるんです。

電池を飲むなんてめったにないことだ、と思い込んでいませんか?

毎年100件以上が報告される、身近で危険な誤飲なんです。

(大阪放送局 記者 中本史)

体内に穴があく!

“1歳の子どもが自分で電気器具の電池のふたをあけてボタン電池を取り出し、いつのまにか飲み込んでいた。病院に連れて行ったが気管と食道に穴が空いてしまっていた。2か月も入院することになった”

消費者庁に寄せられた実際の事故です。

ボタン電池で体内に穴?

どういうことでしょうか。

bd01.jpg

これは国民生活センターによる実験です。

生理食塩水に漬けた鶏肉の上にボタン電池を置くと、肉が溶けていきます。

電気分解で強いアルカリ性の液体が作られて、たんぱく質を溶かしてしまうのです。

bd02.jpg

20分後、電池をとってみると、くっきりと穴があいていました。

人の体内に入った場合は、1時間以内に食道や胃などの粘膜を傷つけ、時間がたつほど傷も大きくなっていきます。

中でも注意が必要なのは、食道での引っかかりです。

小さな体に全身麻酔

子どもの事故防止に取り組んでいる佐久医療センター小児科の坂本昌彦医師は、子どもの食道は狭いので少し大きめのボタン電池になるとひっかかってしまい、重大な結果を招くと指摘しています。

bd03.jpg

佐久医療センター小児科 坂本昌彦医師
「食道の壁は非常に薄く、その奥には心臓や肺など大事な臓器もあります。そういったところが損傷して穴があいてしまうと、結果として命に関わるような大きな事態になり得る。非常に危険です」

日本中毒情報センターに寄せられる5歳以下の子どもの誤飲・誤飲の疑いの通報件数は年間100件を超えています。

病院で全身麻酔をかけて取り除かなければならず、小さな体には負担がかかります。


アメリカをはじめ海外では死亡事故も起きていて、ボタン電池の誤飲の危険性は世界中で啓発されているのです。

症状が出ない親は気付かない!

そんな危ないボタン電池の誤飲。

小さい子どもの場合、目を離したすきに飲んでしまうかもしれません。

また、飲んでしまったと自分で訴えることもできません。

周りの大人がすぐに気付くことが重要ですが、わかるものなのでしょうか。

坂本医師は、食道に何か詰まっている場合はいつもよりよだれを垂らしたり、繰り返し吐いたりすると言います。

一方で、症状が出ない場合もあり、誤飲の4割ぐらいは、親が気付いていないケースがあるということです。

坂本医師
「すぐに症状が出るとはかぎりません。飲んだとはっきりしなくても、あやしいな、と思ったらすぐ病院へ。休日や夜中でも、休日夜間受付の病院にちゅうちょせず連れて行ってください」

bd04.jpg

また、子どもが飲んだところを見た場合、焦って吐かせようとしてしまいますが、坂本医師は家庭では無理に吐かせないほうがいいと指摘します。

おう吐したものが気管に逆流して窒息する原因にもなるので、ボタン電池を飲んだ場合はすみやかに病院を受診してほしいと話しています。

放置していないから大丈夫?

「うちは大丈夫」「ボタン電池を放置することなんかない」そう思っていませんか?消費者庁が意外なデータをまとめています。

放置されていたものを飲み込んでしまったケースは4分の1程度なんです。

誤飲する直前の、ボタン電池の使用状況の内訳です。


▽キッチンタイマーや補聴器などの日用品…35%
▽保管や放置されていたケース     …27%
▽おもちゃ              …25%
(医療機関ネットワークに寄せられた事例248件・消費者庁)

bd05.jpg

身の回りのさまざまな製品にボタン電池が使われていて、子どもがさわっているうちに、電池のフタがあいてしまうのです。

事故の報告の多い順番ではキッチンタイマー、補聴器、ライト、体温計、電卓、時計となっています。

また、おもちゃの中にも、子どもの力で電池のフタが簡単にあいてしまうものがあります。

昔の育児より高まるリスク

さらに、坂本医師は“リチウムボタン電池”の普及が、危険性を高めたと指摘します。

bd06.jpg

坂本医師
「特にこの20年間、リチウムボタン電池が登場してリスクが高くなったと言われています。それまでのアルカリボタン電池と比べて電圧が3ボルトと非常に高く、それだけ粘膜を傷つけてしまう力が非常に強いんです。直径も大きいので、子どもの食道に引っ掛かりやすく、とどまると、より傷つけやすくなります」

祖父母世代が昔、育児をしていた時代は、電池の誤飲はそこまで問題視されていませんでした。

年末年始などに小さな孫が遊びに来るおじいちゃんおばあちゃんもぜひ注意してください。

防ぐには?

誤飲を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

bd07.jpg

●おもちゃに関しては、安全基準を満たしている製品には「STマーク」が付いています。
 ネジが付いているなど電池のフタが簡単にあかないようになっています。
 おもちゃは「STマーク」を目安に選ぶと安全です。

●自宅にあるもののうち、どの製品にボタン電池が使われているかチェックし、フタが簡単にあくものはテープで巻いてください。

bd08.jpg

●交換後、古い電池をつい放置してしまいがちですが、すぐに保管場所へ。
 子どもの手の届かないところに、しまいましょう。

●電池を交換する時は子どもにその様子を見せないように。
 大人のまねをしてフタをあけようとしまいます。


小さい子どもがいる場所では、周りの大人たちがボタン電池に細心の注意を払い、誤って飲み込むことがないように気をつけてください。