かんさい深掘り

2021年10月13日 (水)

コロナ禍で増える不登校 子どもに何が?

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子どもの不登校について、文部科学省は13日、コロナ禍で行った調査結果を発表しました。

その数、関西の小中学校で昨年度、3万3594人。

過去10年で最も多くなっていることがわかりました。

コロナ禍の子どもに何が起きているのでしょうか。

(大阪放送局 記者 奥村凌・ディレクター 川上慈尚)

 

「学校に行きづらい」

大阪・吹田市にあるNPO法人が運営するフリースクール。

不登校の子どもたちの学習支援を行っていて、現在、小学生から高校生まで50人が利用しています。

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子どもたちからの相談は新型コロナの感染が初めて広がった去年の春以降、増え続けているといいます。

 

『休校明けから学校に行きづらい』

『授業のペースが早い』

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休校やオンライン授業などコロナで一変した学校生活にうまくなじめず、中には、不登校につながる子どももいるといいます。

 

フリースクールここ 三科元明代表

「子どもから直接電話がかかってきて、『外で遊ぶこともできず、家庭でもしんどい』と。子どもはストレスをどう発散していいか分からないため、相談はどんどん増えています」

 

つまずきは一斉休校明け

去年、春の一斉休校のあと、学校に行けなくなったという中学3年の男子生徒です。

もともと勉強が苦手で学校も休みがちでしたが、休校が終わり3か月ぶりに再開された授業にとまどったといいます。

休校の遅れを取り戻すため授業が急に早くなり、ついていけなくなったというのです。

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中学3年の男子生徒

「授業が早くなって勉強が難しくなって、授業についていけなくなった」

 

 生徒はいま、フリースクールに通いながら勉強を続けています。

 

中学3年の男子生徒

「フリースクールは学校と違って、焦って勉強する必要もなく、楽しく過ごせるようになった。居場所ができて、仲良くしてくれる子がたくさんいて楽しい」

 

フリースクール代表の三科さんは、学校現場がコロナへの対応に追われる中、つまずきやすい子どもたちへのケアが手薄になっていると感じています。コロナ禍の子どもを学校現場だけで支えるのは不十分だと訴えています。

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フリースクールここ 三科元明代表

「これまで先生の頑張りでできていたサポートやケアが、コロナで忙しくなり、思うようにできなくなっている。ギリギリ、学校に通えていた子が結果的に通えなくなってきている」

 「まず、学校自体がいまキャパオーバーでパンクしていることを社会が受け止めるべきだ。子どもたちを大人たち全員で支えていくというメッセージと仕組みを作っていくことが大切だと思う」

 

関西の不登校 各地の状況は

文部科学省によると、コロナ禍の昨年度、不登校の子どもは関西の小中学校で3万3594人。過去10年で最も多くなっています。

 

府県別では

▽大阪が1万4325人と最も多く、

次いで

▽兵庫が9547人

▽京都が3810人

▽奈良が2349人

▽滋賀が2271人

▽和歌山が1292人でした。

府県別でもいずれも過去10年で最多です。

 

一人で抱え込まないで!

国は、不登校などの悩み相談に電話で応じるため専用の窓口を設けています。

電話番号は0120-0-78310で24時間受け付けています。

また、インターネットでも相談を受け付けています。

内閣官房のHPにある「18歳以下のみなさんへ」というサイトです。

https://notalone-cas.go.jp/

 

 

大阪拠点放送局 ディレクター
川上 慈尚
大阪拠点放送局 記者
奥村 凌