かんさい深掘り

2021年08月13日 (金)

フランス柔道の父 親族の思い

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「柔道の父」と言えば神戸市出身の嘉納治五郎。

 同じ兵庫県には「フランス柔道の父」と呼ばれた男性もいます。

 国宝・姫路城にほど近い場所にある造り酒屋に生まれた川石酒造之助です。

 海を渡って独自の指導法で柔道の普及にあたり、柔道大国フランスの基礎を築いた酒造之助。

 その親族の男性が東京オリンピックを見つめました。

                    (NHK神戸放送局姫路支局 記者 福本充雅)

 

フランス柔道の父 川石酒造之助

 「フランス柔道の父」。

 こう呼ばれるのは、明治32年に現在の兵庫県姫路市の造り酒屋に生まれた川石酒造之助です。

 小学3年生のときに柔道を始めて昭和10年にはフランス・パリに小さな道場を開き、第2次大戦後にはフランスの柔道連盟の設立に関わるなど、昭和44年に亡くなるまで柔道の普及に取り組みました。

 パリ郊外にある墓には柔道関係者のお参りが今でも絶えず、パリ市内の道場のなかには肖像写真を飾っているところもあるということです。

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 フランス柔道チームが事前合宿に

 こうしたつながりから姫路市で7月11日から27日まで、東京オリンピックのフランス柔道チームが事前合宿を行いました。

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 記者会見でチームの監督は「川石酒造之助先生の出身地、姫路に戻ってくることができてうれしいです」と述べたほか、選手からも「フランス柔道の原点である姫路から力をもらい試合で勝ちたい」と決意を示しました。

 酒造之助の功績を伝えたい

 そのチームを特別な思いで見つめたのは、酒造之助の兄の孫にあたる川石雅也さん(75)です。

 川石さんは、酒造之助の功績を伝えようと、3年前、経営する酒造会社の敷地に遺品や集めた資料およそ30点を展示するスペースを設けました。

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 展示からは▽フランス人に受け入れてもらえるよう白帯と黒帯に青や黄などカラフルな帯を加えあわせて7色で上達の程度をわかりやすくして意欲を高めたほか、▽外国人にはわかりにくい技を分類し、「足技1号」「腰技1号」などと番号をつけて整理して、理解しやすいよう工夫していたことなどが、見て取れます。

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 団体戦の金メダルはフランスに

 7月17日の公開練習を見学した川石さん。

 選手たちが練習の前後に礼儀作法を重んじる様子を見て、勝ち負けだけに一喜一憂せず、「礼に始まり礼に終わる」という酒造之助が伝えようとした柔道の精神を受け継いでいるととてもうれしく感じたということです。

 そして、7月31日、団体戦で金メダルを獲得したのはフランスチームでした。

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 テレビでチームの活躍を見守った川石さんは「今回フランスの成績は非常にうれしい。酒造之助はフランスから帰らず指導に当たったが、それが何世代にもわたって受け継がれたことは非常に喜ばしい。今後も日本とフランスが切磋琢磨して高めあっていってもらいたい」と話していました。