かんさい深掘り

2021年08月02日 (月)

コロナ禍の五輪-感染症医は何を考える?

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世界各国から大勢の関係者が集まる東京オリンピック。
そこで、どう感染対策が進められていくのか、関心を持って見守っている人がいます。
奈良県立医科大学附属病院感染症センター笠原敬センター長
感染症対策のエキスパートとして、奈良県で新型コロナ対応の最前線を担っています。

(NHK奈良放送局 記者 金子晃久)

 

感染対策の“要諦”は


感染した患者の治療のかたわら、各地で開かれる行事の感染対策の相談に乗っている笠原医師。
私たちは笠原さんの姿を、よく「現場」で見かけました。

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感染対策を考える要素である「人・場所・時間」。
しかしイベントの動線やマニュアルは、そもそも感染対策ではなく、効率の向上などを主眼としてつくられています。
笠原さんは、病院を飛び出して現場の人たちと話し合う理由について、こう言います。
「人の動きやスケジュールを把握してきちんと監修する人がいなければ、感染対策は『絵に描いた餅』になってしまうから。」

行事や催しの感染対策は誰かがするものではなく、本人がするものですから、結局は参加者自身が理解しなければ機能しません。
いろいろな国から人がやってくるオリンピックではなおさらです。

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主催者側が求める感染対策を実際どのように行ったのか、感染対策の「公式プレイブック」というのはおおまかな指針ですから、それを各競技のプロセスの中に落とし込み、現場で対策が行われているかきちんとチェックするところまでが感染対策だと、笠原さんは指摘します。
その考えは、笠原さん自身の経験に裏打ちされたものでもあります。

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東大寺の伝統行事「修二会」から学ぶこと


東大寺では毎年、僧侶がおよそ1か月の合宿生活をしながら法要を行う伝統行事「修二会」が実施されます。
笠原さんは、半年ほど前から人の動きや手順を現場で細かく把握して、感染対策を監修するなど、アドバイスをしてきました。

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感染者が1人でも出れば、そこから集団生活を続けることは「医学的な見地からはあり得ないこと」という笠原さん。
しかし、関係者は当初、法要に参加している僧侶が濃厚接触者になっても、行事は続けられると思っていたそうです。
その後、どこに感染のリスクがあるかということを洗い出し、感染対策を共に考えて関係者と共有し、無事、伝統行事を終えた笠原さんは、オリンピックでもアスリートやスタッフなどに、感染対策に対する共通認識を持ってもらうことの必要性を訴えています。

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しかし、オリンピックはアスリートのほかにもボランティアやメディアなどさまざまな人が関わっているうえに、全期間にわたって関わる人もいれば、一時的にしか関わらない人もいます。
大規模イベントで感染対策を全員に落とし込むのが難しいのが現実の中で、笠原さんが大事だと思うのが「何人感染したか」という結果でなく「感染対策が守られたのかどうか」というプロセスです。

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笠原さんは語ります。

「『こうしてください、ああしてしてください』と言ったことが、きちんと守られていたのか。次に同じようなイベントで指導するときのためにも、それを検証することが大事です。成功と失敗の明確な基準がない中で、私たちの観点から成功や失敗を考えるとすれば、そこだと思います。」



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