かんさい深掘り

2021年07月26日 (月)

出場目前で消えたオリンピック  41年後の選手たちへ

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開催するかどうか揺れた東京オリンピック。
大阪の聖火リレーのアンカーを務めた女性は、かつてオリンピック出場目前で、その道を奪われた元水泳選手でした
新型コロナの影響で、厳しい視線も向けられている今回のオリンピック。
自らの経験を踏まえ、選手達に伝えたいこととは・・・。

(NHK大阪放送局 カメラマン 藤田大樹)

 

日本水泳 期待のホープ


元競泳バタフライのトップ選手島津眞理さん(58)。
1980年、当時17歳だった島津さんはモスクワオリンピック代表の有力候補でした。
15歳でナショナルチーム入りし、日本水泳期待のホープでした。

fukabori210726_2.jpg選手当時の島津さん

 

日本がオリンピック参加をボイコット


しかし最終選考会の直前、思いもよらないニュースが飛び込んできました。
日本がモスクワオリンピックへの参加をボイコットしたのです
当時は米ソ冷戦のさなか。
ソビエトによるアフガニスタン侵攻に反発したアメリカがボイコットを呼びかけ、日本など60か国以上が参加を取りやめました。

島津眞理さん
「ボイコットしたときは悲しかったし、つらい思いをしました。それまでいろいろ犠牲にしてきて何だったんだろうという感じです。あのときはみんな泣いていました」

開催されるかどうか揺れた今回の東京オリンピック・パラリンピック。
島津さんは、今の選手たちが当時の自分と重なって感じているといいます。

島津眞理さん
「きっと選手たちはどこを目標にすればいいのかわからず、モチベーションを高め、維持していくことはすごく大変だったと思います。何も決まらない中、自分はどうしたらいいんだと思いながら練習し、気持ちが揺れ動いたら競技への影響もあると思います」

 

水泳と向き合えなくなった


オリンピック出場の夢を絶たれた島津さんは、18歳で競技生活を引退。
大好きだった水泳からも距離をおきました。

島津眞理さん
「当時は水泳から離れたいという思いでした。自分も泳ぎたくなかったし、水泳も見たくありませんでした。全くオリンピックにも水泳にも興味がありませんでした」

その後開かれたロサンゼルスオリンピック(1984年)やソウルオリンピック(1988年)を見ることができなかったといいます。

 

子どもたちが教えてくれた大切なこと


0721_3.jpgあれからおよそ40年。
島津さんは子育てを終え、社会貢献をしたいと4年前から障害がある子どもたちに水泳を教えています。

「子どもたちが笑顔でプールに入っているのは、見ている私たちも笑顔になれますし元気をもらいます」

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ひたむきに練習する子どもたちと接する中で、島津さんは夢をあきらめないことの大切さに気づかされたといいます。

もう一度、夢の舞台に挑戦したい。
島津さんは聖火ランナーとして東京オリンピックに参加することが新たな目標になりました。
聖火ランナーへの応募理由には、島津さんのオリンピックへの思いがつづられています。

「私は水泳の日本代表としてナショナルチームに参加していました。オリンピックの目標があったのですが、最終選考会の直前に政治的理由で日本はボイコットし、夢は叶いませんでした。あれから40年。私の中のオリンピックへの思いが再び燃えてきています。今度こそ参加したい。形は違うけれども、オリンピックに参加できたという喜びを味わいたいと願っています」

 

41年ごしのオリンピック


聖火ランナーに選ばれ、オリンピックへ参加することになった島津さん。
4月に大阪の最終ランナーとして聖火をつなぎました
出場を夢見ていたモスクワオリンピックから41年が経っていました。

オリンピック開幕直前の7月18日に島津さんを取材すると、聖火が、国立競技場の聖火台にともされる瞬間を心待ちにしていました

fukabori210726_5.jpg2021年4月14日 大阪吹田市 万博記念公園

「私がつなげた火が一つ一つつながれて、いよいよ国立競技場にまもなくつくんだと思うと感慨深い」

 

今回の選手たちへ


コロナに翻弄され、1年延期でいよいよ東京大会が開幕。
しかし開会式をはじめ、ほとんどの競技が無観客で行われることに。
選手に与える影響を心配しつつも、島津さんからは前向きな言葉

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島津眞理さん

「『これはこれ』と思って。こういうオリンピックは二度と無いから、逆にこんなオリンピックに出られたんやという気持ちでやってもらいたいと思います。」

「逆境の中みんながんばってきたので、その選手たちがいろんな記録を出していくことを私自身楽しみにしているし、私だけではなくたくさんの人が励みになり元気づけられると思います。努力は無駄にならないよってことを子どもたちに感じてもらいたいです」

それぞれの思いを持って見るコロナ禍の五輪。
島津さんは夢の舞台に立つ選手たちに思いを寄せて声援を送ります。



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