かんさい深掘り

2018年03月08日 (木)

予期せぬ妊娠 孤立を防げ

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子供産みたいけどお金がありません」「相談できる人もいない

大阪のある医療機関に寄せられたこれらのメール。いずれも“予期せずに妊娠した”という女性たちからの相談です。こうした相談は、年間1300件以上寄せられているといいます。そして孤立の結果、痛ましい事件が起きることもあります。

ことし1月に、大阪・箕面市では自宅で出産した赤ちゃんの遺体を放置した19歳の少女が逮捕されました。少女は「妊娠を誰にも相談できなかった」と供述していました。

予期しない妊娠に悩む女性たちをどう支えていくのか。大阪で進められている独自の対策を、NHK大阪放送局の近藤優美子記者が取材しました。

 

誰にも相談できない!


東大阪市に住む32歳の女性は、去年12月、男の子を出産しました。女性が妊娠に気づいたのは、去年5月ごろでしたが、当時、結婚は考えていませんでした。誰にも相談できず、何か月も悩み続けたといいます。

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「子どもは全然欲しくないと思っていたけど、おなかの中にいると思うと、どうしようってなりました」(32歳女性)。

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NPO法人「児童虐待防止協会」の津崎哲郎理事長は、周りに相談できないために状況が悪化してしまうケースが多いと指摘します。

「助けてくれる人がいない、相談する人がいないという状況によって、ますます自分が追い詰められていく形になることが多い」(津崎理事長)。

 

独自の対策 鍵は匿名相談


孤立する女性たちをどう支援するのか。

大阪の医療機関、大阪母子医療センターには、「にんしんSOS」という相談窓口があります。相談は電話やメールで受け付けていますが、大きな特徴は、匿名でも相談できることです。

センターが全国に先駆けて始めた取り組みで、予期しない妊娠に悩む女性にどのような支援が可能なのか、専門知識を持った保健師や助産師がアドバイスしてくれます。そしてサポートが必要と判断した場合、女性が匿名のままであっても、それぞれの自治体の保健師を紹介します。

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「にんしんSOS」の佐藤拓代医師は次のように話します。

「妊娠したことを知られたくない女性が、自分で産んだ赤ちゃんを自分で殺してしまうケースもある。そんな悲劇を防ぐために、匿名で相談できる窓口をつくりました。悩んでいる女性たちが、自分を受け止めてくれる人がいるということを知ってもらうだけでも意味があります」(佐藤医師)。

 

「早く相談すればよかった」


男の子を出産した東大阪市の女性も「にんしんSOS」に相談することで救われました。

女性は経済的な不安を抱えながらも出産すると決めて、妊娠6か月の時に、産婦人科を受診しようとしました。しかし、それまで1度も受診したことがなかったことを理由に、病院から断られ続けていたといいます。

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「いっぱいですとか、経過がわからないと診ることはできないとか言われ、ぼう然としました」(32歳女性)。

そして、すがるような思いで「にんしんSOS」に連絡したところ、保健師が受け入れてくれる病院を探してくれ、さらに出産費用の補助制度があることも教えてくれました。不安を取り除いて出産に臨み、去年12月、無事に男の子を出産しました。紹介してもらった保健師は定期的に自宅を訪問し、育児の相談に乗っています。

「保健師さんは育児に関する相談に乗ってくれるので助かっています。もっと早く連絡すればよかったと思っています」(32歳女性)。

 

あなたも直面するかもしれない“予期せぬ妊娠”


「にんしんSOS」に相談した女性の中には、出産した場合のさまざまな事情を考慮して人工中絶を選んだり、出産したうえで養子縁組を選択したりするケースもあります。

「にんしんSOS」の佐藤医師は“予期せぬ妊娠”は誰もが直面する可能性のある問題で、大切なのは「出産する」「しない」ではなく、まずは予期しない妊娠で悩む女性を孤立させないことだと指摘します。

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「たとえ結婚していても、お金があったとしても、思いがけない妊娠は誰にでも起こる可能性があります。相談することで、人の手助けを受けてもいいんだと思ってもらうこと、そこから実際の支援につなげることが大事です」(佐藤医師)。

「にんしんSOS」では、匿名で相談を受けていますが、実際に自治体で健診を受けたり、出産費用の補助制度を利用したりする段階では、実名を名乗る必要があります。

かけがえのない命。予期せずに妊娠したという方は、1人で抱え込まずに、まずは声を上げてほしいと思います。


「にんしんSOS」
▼電話は、0725-51-7778(平日午前10時~午後4時)
▼メールは、「にんしんSOS」の ホームページ内のメールフォームから送ることができます。http://www.ninshinsos.com/

 

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