〝番記者〟のつぶやき

2023年10月17日 (火)

虎番のつぶやき「そのひと言で頑張れる 木浪聖也選手」

「大丈夫、できる」
「もうひとふんばりしてみよう」

上司や先輩のちょっとしたひと言で気持ちが楽になったり、頑張れたりすることってありませんか?
スポーツを職業にしているプロ野球の世界にも、そのひと言で周りの人たちを前向きにしてくれる選手がいました。
仕事や勉強で悩んでいるあなた。
そのことばの数々で、少しの間、ホッとしてみませんか。

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【頻繁にマウンドへ】

阪神で人気の木浪聖也選手
高校・大学と強豪の野球部に所属していましたが、甲子園に出場したことはなく、社会人野球を経て、24歳でプロ入りしました。
青森出身で平成生まれの29歳は、プロ5年目にしてようやくショートのレギュラーをつかみました。守りの際、ピンチの場面で頻繁にマウンドに駆け寄ります

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『全然、気にするな』
『次切り替えていこうな』
『ここ気合い入れろ』
『1球目気をつけろ』

ピッチャーを安心させることばから、気持ちを高めるためのひと言まで。
こうした声かけはプロ入り前から大事にしてきたと言います
絶妙なタイミングでマウンドに駆け寄り、ことばをかける木浪選手に今シーズンから本格的に1軍で登板している村上頌樹投手など多くのピッチャーが救われています。
さらに1つ年上で投手陣の柱、青柳晃洋投手にはリラックスさせるために一風変わった声かけも…。

木浪聖也選手
「青柳さんにはピンチの時に『チャンス』って言っています。そしたらヤギさんも笑って『チャンス』って言う」

 

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青柳晃洋投手
「最初にちゃんとした話をしたあと、別れ際に『チャンス』と言ってくれて一瞬、和むことができます。先週は言ってくれなかったです(笑)」
(※7月22日 青柳投手は5回5失点で負け投手に)

 

木浪聖也選手
「ちょっと行き過ぎかなって自分でも正直思うんですけど。自分のひと言で変わるなら行ったほうがいいなって思って行っています」

 

【ドラフト1位 ルーキーへ】

声をかけるのは投手陣に対してだけではありません。
ドラフト1位のルーキーで外野手の森下翔太選手はオープン戦で結果を残し、開幕レギュラーをつかみました。
しかし、その後、不調に陥り、1軍と2軍を行き来する日々。
そんな時、木浪選手が森下選手へ言ったのは…。
『翔太、もっと生き生きしてやってた時のほうがよかったぞ』
森下選手はその後、復調し、3番で起用されるまでになりました。

 

森下翔太選手
「気持ちを吹っ切るのは自分で結果を残して最終的に自分で解決するしかないと思うんですけど、そういうことばをかけてくれたのは、気持ちが楽になるための1つのものであったかなと思います」

 

【みずからの経験が生きて】

なぜ、木浪選手は、ピッチャーへの声かけや後輩への気配りを大切にするのか
そこには苦しみを味わい、乗り越えた経験がありました。

2019年にドラフト3位で阪神に入団した木浪選手。
2018年の入団会見 背番号「0」が木浪選手。
1年目のオープン戦でチームトップの打率をマークし、開幕戦にショートで先発出場しました。
その年は113試合に出場して打率2割6分2厘をマーク。
自分でも「頑張った」と言えるルーキーイヤーを過ごしました。

しかし2年目は、満足のいく結果を残せず、3年目は新たに入団した中野拓夢選手にポジションを奪われ、出場機会が減少。
4年目の昨シーズンはけがもあって、キャリア最少の41試合の出場にとどまりました。
試合に出られない悔しさ、結果を残せないもどかしさを嫌というほど味わいました。

絶対にいつか見返してやる
そんな思いで汗を流し続けた木浪選手。
強い覚悟を持って臨んだ今シーズン、中野選手がセカンドにコンバートするなか、秋のキャンプで岡田彰布監督の目に留まり、春のキャンプでも猛アピール。
激しいレギュラー争いを制し、開幕直後にレギュラーをつかみました。

 

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木浪聖也選手
「出られる時も出られない時もあったなかで、その時にチームのために『自分じゃなきゃできないことって何かな』と考えた結果がピッチャーの声かけですし、後輩への気配りも自分はその思いがわかるから。やっぱり出られないって悔しいですよ。頻繁に2軍行きする、結果を残せないもどかしさやケガもありました。そういうことがあって今の自分はある。ずっと『いつか見返してやる』と思ってやって乗り越えて来られました」


理想に近づけたこと、苦しみを味わったこと、そして、乗り越えたこと
そういった経験があったなかで自分にしかできないことは何かを考えた結果が声かけであり、後輩への気配りでした。

 

【プロ2年目の20歳に…】

7月28日の広島戦。
期待の若手が“プロの壁”に阻まれました。 

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前川右京選手。

奈良の智弁学園で1年生の夏に4番を任されるなど、甲子園には2020年の交流試合を含めて4回出場し、3年生の夏の甲子園では準優勝。
去年ドラフト4位で入団し、将来の阪神を背負うスラッガー候補として期待されています。
ことし1軍に初めて昇格した売り出し中の20歳は、この試合、3打席連続三振
3打席目の三振後、ベンチで悔しさをこらえることができず、思わず涙を流しました

 

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そこに駆け寄ったのが木浪選手
『きょうだけじゃないし、次やり返したらいいじゃん』
木浪選手のことばをうなずきながら聞いていた前川選手。
翌日も6番・ライトで先発起用され、第2打席でレフト前にヒットを打って悔しさを晴らしました

 

前川右京選手
「声をかけてくれて本当にありがたかったです。まだ1軍での試合が1年目なので、いろいろと気遣って教えてもらってることがいっぱいあります。マジで頼もしいっす」

 

木浪聖也選手
「単純な優しさというより『次にやり返す』という気持ちを持ってほしかった。次の日にヒットを打ったことが、それがめっちゃうれしくて。やっぱり、それでやり返したっていう自信がつくから」

 

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【これからも“普通”に】

「僕みたいな先輩はいっぱいいるでしょ」と、いつもどおりの謙虚な姿勢をことばにした木浪選手。
18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神の強さの秘密の1つなのかもしれません。

木浪聖也選手
「自分の心に従って。自分が行くと思ったら行くし。気配りとか、自分は普通だと思ってやってるんで。そういうことが普通にできたらいいかなと思います」

 

 

 

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(虎番記者:中村拓斗)

 

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