2023年05月11日 (木)
虎番のつぶやき「阪神・村上頌樹投手」~3年目の飛躍 好投の裏に~
開幕から31イニング連続無失点でセ・リーグ記録に並び、3月と4月のセ・リーグの月間MVPに選ばれるなど好投を続ける阪神の村上頌樹投手。
昨シーズンまで1軍の登板は2試合だった村上投手が大きく飛躍した理由とは…。
【村上頌樹投手とは】
村上投手は兵庫県南あわじ市出身の24歳。
高校時代は奈良の智弁学園で甲子園に3回出場し、3年生で臨んだセンバツ高校野球ではエースとして全5試合を1人で投げ抜いて初優勝に導きました。
その後、東洋大を経て、おととし、ドラフト5位で阪神に入団。
入団後2年間はほとんどを2軍で過ごし、1軍での勝利はありませんでした。
【圧倒的なピッチング】
開幕1軍をつかみとった3年目の今シーズン。
初先発となった4月12日の巨人戦で、7回までランナーを1人も出さないパーフェクトピッチングを見せた村上投手。
その10日後の中日戦では2安打無失点でプロ初勝利を完封で飾りました。
4月は2勝0敗、任された25イニングすべて無失点と圧倒的な成績を残し、3月と4月のセ・リーグの月間MVPに選ばれました。
(村上頌樹投手)
「3年目にしてやっと勝利できたので本当にうれしかった。誰もがここまでできると思っていなかったと思うし、自分でもここまでできるとは想像もしていなかった」
【球威抜群のストレート】
躍進を支えているのはストレートです。
身長は1メートル75センチと選手として決して大きくはない村上投手。
ストレートの平均球速は145キロです。
それでも、抜群の球威で相手を押し込み、4月に奪った23個の三振のうち、6割を超える15個をストレートで奪いました。
(村上頌樹投手)
「前までは球が垂れて(伸びを欠いて)ボールになっていたのが低めでも伸びるおかげでストライクになってバッターも見逃してくれる。そこは本当にいい成長をしたと思う」
昨シーズンまで2軍の投手コーチを務め、村上投手を1年目から指導してきた安藤優也コーチはストレートの成長をこう評価します。
(安藤優也投手コーチ)
「ことしはストレートの球威とスピードが去年以上にある。結構甘いボールもあるが、それでも押し込めている。それがこの活躍につながっている大きな要因なのではないかと思う」
【下半身の“ため”を意識】
球威を増したストレート。
そのために村上投手が意識していることがあります。
それは“足を着いてから投げる”ことです。
(村上頌樹投手)
「悪い時は左足が着いた時に上半身が前に向いている。でも、今は着いた時に上半身を残しているというイメージ。着いてから上半身を動かす」
左足を踏み出した瞬間はまだ、上半身はバッターの方向には向かず、下半身でためを作ってから腕を振る意識。
この意識で投げることで、全身の力を効率よくボールに伝えることができるようになりました。
(村上頌樹投手)
「タイミングがバチっとはまったら力をしっかり伝えられるし、8割ぐらいの感覚で投げても10割に近いような、本当に質のいい球が投げられる」
ためを作ってから投げる意識は、1月の自主トレーニングでチームの大黒柱の青柳晃洋投手から教わったことでした。
青柳投手から指導を受けながら何度も繰り返し、体にすり込ませてきました。
【ストレートに手応え】
その手応えをつかんだのはパーフェクトピッチングを見せた巨人戦。
リーグを代表するバッター、4番の岡本和真選手から真ん中付近のストレートで空振り三振を奪いました。
(村上頌樹投手)
「『この意識で投げればいける。空振りをとれる』という感覚でいけた。あそこで自信がついた」
【さらなる飛躍を】
5月9日のヤクルト戦で6回まで無失点に抑え、セ・リーグの開幕からの連続イニング無失点記録に並んだ村上投手。
自信をつかんだストレートで輝き始めた右腕は18年ぶりの優勝に貢献すべく、さらなる飛躍を誓います。
(村上頌樹投手)
「今ローテーションに入らせてもらっているので1年間守りたいし、二けた勝利できるように頑張っていきたい」
(虎番記者:中村拓斗)