2023年04月11日 (火)
虎番のつぶやき「大竹耕太郎投手が現役ドラフトの一番星に」
昨シーズンのオフに初めて行われた現役ドラフトで、阪神に加入した大竹耕太郎投手。
４月８日のヤクルト戦に先発し、およそ２年半ぶりの勝ち星をあげました。
日本を世界一に導いたある選手の動画が、好投につながった要因となりました。
大竹耕太郎投手
【現役ドラフトで加入】
大竹投手は熊本県出身の２７歳。
地元の済々黌高校から早稲田大学に進み、２０１８年に育成選手としてソフトバンクに入団し、その年に支配下登録されました。
左投げの技巧派のピッチャーとして、２０１９年には先発で１７試合に登板して５勝をあげる活躍を見せましたが、その翌年の１０月を最後に勝ち星はありませんでした。
そして、出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させることで、新たな活躍の場を与えようと昨シーズンのオフに初めて行われた「現役ドラフト」で阪神に加入しました。
《大竹耕太郎投手》
「ここ数年、結果は出ていないが培ってきたものはある。『アレ（優勝）』に貢献するために１年間１軍で投げられるように覚悟を決めて懸命に取り組みたい」
【およそ２年半ぶりの白星】
大竹投手は、春のキャンプから精力的にアピールし、岡田彰布監督からＭＶＰに選ばれるなどして、開幕ローテーション入りを果たしました。
移籍後、初先発となった４月８日のヤクルト戦ではキレのあるストレートに得意のチェンジアップをうまく織り交ぜ、ヤクルトの主軸、山田哲人選手や村上宗隆選手をノーヒットに抑えるなど６回を投げて無失点。
およそ２年半ぶりの白星をあげ、「現役ドラフト」で移籍したピッチャーの中で最初の勝利投手となりました。
【ある動画をきっかけに】
大竹投手、勝利投手になれた要因の１つに、ある動画に巡り会ったことをあげています。
ソフトバンクに在籍していた時は一度打たれてしまうと２軍に落とされるというような環境で投げていたと振り返る大竹投手。
「１点もやれない」「打たれてはだめだ」と心に余裕がなく、この２年間の課題は、２軍の試合でできるピッチングが１軍でできないことでした。
そんな中で迎えた阪神での登板の前日。
何か支えになるものはないかと動画を検索していたところ、大リーグで活躍するダルビッシュ有投手が、メンタルの保ち方について話している動画にたどりついたそうです。
ダルビッシュ有投手
《大竹耕太郎投手》
「試合中に『ここで打たれたら怖いな』とか、『ここで打たれたら２軍に落ちるかもしれない』とか、過去の悪い記憶がフラッシュバックしてくるが、それを自分の声だと思わないという話をされていた。自分の声に似せた人が自分に向けて言っているという第三者的な目で見られれば、それをポジティブな自分がはねのけることができる。きょうもそういうのが何回も頭に出てきたが、そこでそのまま投げてしまうのが昨シーズンだった。きょうは『あー、はいはい、わかったわかった』と俯瞰（ふかん）できた」
試合後、大竹投手は、ネガティブな記憶がよぎった時に俯瞰（ふかん）して考えることで弱気にならずに投げられたことが、攻めのピッチングにつながったと振り返りました。
《大竹耕太郎投手》
「“メンタルはスキル”ということば、受け流すのも技術だという話を聞いたら気が楽になった。きょうは１対０で勝っていたが、『別に１本ホームランを打たれても１対１じゃん』と思って山田選手や村上選手と勝負できた。『点をあげてもいいや』くらいの感覚で投げられるとしっかりゾーンで勝負できると思った」
【新天地での躍動を誓う】
ＷＢＣ＝ワールド・ベースボール・クラシックで優勝した日本代表の投手陣もまとめていたダルビッシュ投手のことばに背中を押されて、最高の再スタートを切った大竹投手。
１８年ぶりのリーグ優勝に貢献するため、新天地での躍動を誓います。
《大竹耕太郎投手》
「これからチームの戦力になれるように精いっぱい頑張りますのでよろしくお願いします」
（虎番記者：中村拓斗）