2022年02月09日 (水)
虎番のつぶやき~阪神・キャンプ便り 10年目藤浪 "CHANGE" を "CHANCE" に~
「少し変わる勇気を持った人にチャンスは訪れる」
キャンプの朝の声出しでチームメートにこう呼びかけた阪神の藤浪晋太郎投手。
ここ数年、低迷に苦しむ10年目はこのことばを自身にも言い聞かせ、同じ日に行われた紅白戦である“変化”を遂げて、再起へのきっかけをつかみました。
【先発にこだわる】
今シーズン10年目を迎えた藤浪投手。
大阪桐蔭高校からドラフト1位で阪神に入団し、新人から3年連続でふた桁勝利をマーク。
3年目には最多奪三振のタイトルを獲得しました。
しかし、ここ数年は課題のコントロールに苦しんで、先発ローテーションに定着できずに低迷。
中継ぎでの起用も増える中、本人は「自分のエゴを通したい」と、強く希望する先発で再起を目指しています。
【“CHANGE” から “CHANCE” に】
その藤浪投手は、沖縄キャンプ第2クール初日の2月5日、朝の声出しを任されました。
声出しでは一人一人が座右の銘を紹介する中、藤浪投手は「変革」と手書きしたシャツを着て登場。
ボードを持って「CHANGE」をひと文字変えれば「CHANCE」に変わることを説明。
現状に少し“変化”を加えるだけで“チャンス”が生まれると訴えました。
(藤浪投手)
「変わるのをやめたとき、それは現状維持に見せかけた退化です。変革というと大げさに聞こえるかもしれないですが、少し変わる勇気を持っただけで、チャンスは訪れる」
【紅白戦で自身も“変革”】
その直後、藤浪投手自身に“変革”の機会が訪れました。午後の紅白戦で先発した藤浪投手。
2回ツーアウトを奪った場面。ツーストライクと追い込み、キャッチャーの梅野選手が要求したのはカーブ。
梅野選手は「カウントが有利だったし、ちょっと遊んでやろう」とサインを出したと言います。
しかし、藤浪投手にとってカーブは「余裕がなくてここ数年投げていなかった」という変化球です。
それでも「ブルペンではいいボールがいっている」と覚悟を決めてサインにうなづきました。
投じたカーブはストライクゾーンからインコースに大きく曲がり、ストレートと50キロ近くある緩急の差も相まって相手のバットは空を切り三振を奪いました。
このカーブには首脳陣も納得。
福原投手コーチは「良かった部分、得たものが多い。カーブをゾーンに投げられたのは収穫」と高く評価しました。
速球派の藤浪投手は、カーブがあるとバッターに思わせることができればピッチングの幅が広がる、と再起へのきっかけをつかみました。
この“小さな変革”で“チャンス”をものにすることができるのか。
長い低迷を抜けだし、先発ローテーション定着を目指します。
(虎番記者:足立隆門)