2021年07月16日 (金)
オリ番のつぶやき～粘る男・福田周平選手 ２５年ぶりの優勝へ導く～
今シーズン、７年ぶりに前半戦を首位で折り返したオリックスを引っ張るのが、リーグトップクラスとも言われる「粘る男」です。
打席で驚異の粘りをみせる１番バッター・福田周平選手が、チームを２５年ぶりのリーグ制覇に導けるか。
（成績は７月１２日時点）
【出塁への強い執念】
身長１メートル６７センチとチームでも小柄で、決してパワーがあるわけではない。
そんな福田選手の最大の持ち味が、塁に出ることに対する執念です。
《福田選手》
「とにかく塁に出ることを追求する。自分が塁に出て、ホームベースを踏むことが勝利につながる。『いやなバッター』と相手に思われるように、嫌らしいことでも何でもしてやって塁に出ていきたい」
出塁するために、打席で徹底的に粘る福田選手。
その粘りを可能にしているのが、体が斜めになるほど、軸足に重心を乗せるバッティングフォームです。
ギリギリまでボールを引き寄せて打つため、このフォームにたどりついたといいます。
たとえ追い込まれても簡単にはアウトになりません。
握りこぶし１つ分、バットを短く持ってシャープなスイングをして、きわどいボールをファウルにします。
粘りに粘ってチャンスを待つのが福田のスタイルです。
【１打席で１６球も】
今シーズン、最も粘ったのが６月６日の中日戦。
中日・先発の福谷浩司投手と対戦した第２打席でした。
３球でツーストライクと追い込まれながら、その後、７球連続でファウル。
さらに粘り続けて、なんと１６球目に、甘いストレートをタイムリーヒットにしとめました。
リードを３点に広げて、勝利を引き寄せる一打となりました。
《福田選手》
「必死に食らいついていて、１６球も投げさせたのは覚えていない。厳しいコースのボールが続いていたので、負けないように粘りながら、いつか甘い球がくると信じて、逃さないように意識していた」
【交流戦優勝の立役者】
この日の勝利から、オリックスは引き分けを挟んで１１連勝。
前身の阪急時代以来、３７年ぶりの快進撃を果たし、チームは５位から首位に駆け上がりました。
交流戦で、福田は１８試合中１７試合に１番で先発出場。
交流戦の出塁率は５割ちょうどと、１２球団トップの成績をマークしました。
１番・福田選手の活躍で、オリックスは交流戦優勝を果たすとともに、７年ぶりに首位に立ちました。
【背中を押した監督のことば】
実は４年目の今シーズン、決して順風満帆のスタートではありませんでした。
ことしのキャンプで、福田選手は出場機会を増やすため、本来のセカンドから、未経験のセンターへのコンバートを決断しました。
ことし３月の開幕は１軍で迎えたものの、わすか２試合で２軍落ち。
それから１か月半、１軍昇格のチャンスは巡ってきませんでしたが、福田選手はくさることなく、闘争心を燃やし続けてきました。
背中を押したのが中嶋聡監督のひと言だったといいます。
《福田選手》
「開幕後に１軍を抹消になったとき、監督室に呼ばれて、中嶋監督から『いつかおまえの力が必要なときがくるから、そこまでしっかり準備をしてくれ』と言われて、そのことばを思い出すことでネガティブにならなかった。中嶋監督は調子が悪い選手にすぐに声をかけ、１人にしない。それに選手たちも勇気づけられている」
【２５年ぶり 悲願の優勝へ】
１２球団で最も優勝から遠ざかっているオリックスは、平成８年以来、２５年ぶりのパ・リーグ制覇を目指しています。
昨シーズンまで２年連続最下位のチームにとっては大きな挑戦ですが、中嶋監督の気配りのもと、選手にはこれまでのような悲壮感はありません。
悲願の優勝を手にするために、「何が必要か」と福田選手に質問すると、力強い答えが返ってきました。
《福田選手》
「今までよりもチームとして明るいし、みんなも迷いなくバットを振れている。自分自身もしっかり準備をして試合に臨むことで、落ち着いてボールを見ることができていて、それがいい結果につながっている。まずは気負わないことを心がけたい」
（オリ番記者：伊東健）