〝番記者〟のつぶやき

2020年12月07日 (月)

虎番のつぶやき~ "最後の火の玉ストレート" 藤川球児投手

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「すぐにかなってしまう夢は夢じゃない。」

ことし11月10日、22年のプロ野球人生を締めくくる引退試合に臨んだ藤川球児投手
甲子園球場に集まった今シーズン最多の2万1000人のファンの前でかなえたい夢がありました。

「引退試合で150キロを出す」

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藤川投手は「火の球ストレート」とも呼ばれる浮き上がるような速球を持ち味に、最多セーブのタイトルを2回獲得するなど、球界を代表するストッパーとして活躍しました。
しかし、年齢とともに球速は落ち、40歳を迎えたことし、150キロを超えることはありませんでした。

ストレートが輝きを失う中、今シーズンはサヨナラホームランを打たれるなど、抑え投手としての役割を果たせない試合が続きました。

「うまくいってほしいと思って投げているが、そこにボールがいかない。自分の思う体の動きが全然できていない。」

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このとき、藤川投手の体はすでに限界に達していたのです。
大リーグ時代に痛めた右ひじは5か所以上の手術が必要と診断されていた。
ひじをかばうために肩にも負担がかかり、鋭い痛みに襲われていました。
「1年間を通して体の準備が整わないのはプロ失格」という藤川投手は、今シーズンかぎりで引退することを決断しました。

それでも引退試合で今シーズン、1度も出ていない150キロをマークしたい。

「球児」と言う名前を持ち、ストレートの真っ向勝負を22年間貫いてきた最後の責任だと感じていました。

「135キロで投げて抑えられるような選手になろうと思えば、変われるかもしれないが、自分に憧れた選手や子どもたちがいる。“藤川球児”という選手の印象を変えることなく終わりたい。」

しかし、引退試合まで残り1か月を切っても、満足に練習できない日々が続きました。10月下旬、およそ2か月ぶりの1軍戦の登板直後にも肩に痛みが走りました。

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翌日、藤川の姿は地元の整形外科医院にありました。ベットに横たわって肩に局所麻酔を注射。その後、医師が肩の可動域を広げる治療を行いました。医師によれば、シーズン中のプロ野球選手はリスクがあるため、こうした治療はほとんど行わないといいます。
藤川投手はそれほどプロ野球人生最後の瞬間にすべてをかけていました

迎えた引退試合。相手は「負けたくない」と常々、語ってきた宿敵の巨人
藤川投手は最後の9回にマウンドに上がり、150キロの壁に挑みました。マウンドに上がる前、藤川投手は「しびれるような試合は結構やってきたけど、自分を表現するピッチングをしたことはほとんどない。少しでも楽しめればいいな」と話していました。

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藤川投手は最初から持てる力を振り絞りました。
最初のバッター、坂本勇人選手への初球は148キロ。その後、3球連続で148キロのストレートを投げ込み、空振り三振を奪いました。

続く中島宏之の初球、この試合の5球目でした。今シーズン最速に並ぶ149キロをマークし、スタンドからどよめきが起きます。

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期待が高まる中、藤川投手はストレートで押しましたが、150キロに届きません。この試合の8球目、「自分にチャレンジする」と藤川投手は腕を大きく振りかぶりました。ふだんはみせないワインドアップを試したのです。

しかし、球速は147キロ

この日投じた12球はすべてストレートでしたが、150キロにはあと1キロ届きませんでした。それでも、藤川投手の表情は現役の最後まで挑戦し続けた達成感に満ちていました

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「すぐかなってしまう夢は夢じゃない。できないからこそチャレンジしたくなる。辛かったし、きつかったし、感情的に難しい場面もあったが、ぎりぎり届かないから人生は面白い。次の人生でも目標のぎりぎりのところまでいきたい。」

 

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(虎番記者:足立隆門)

 

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