STOP! 子ども虐待

2019年01月09日 (水)

虐待された私がアイドルになって 戦慄かなのさんのメッセージ

 幼いころ、母親から激しい虐待を受けていた大阪出身のアイドル「戦慄かなの」さん(20)。今、虐待の傷を抱えた当事者として、メッセージを発信しています。

 

お尻にはいつもミミズ腫れ


戦慄かなのさんは、東京を中心に、各地でライブ活動を行い、ツイッターのフォロワーは8万人に上ります。

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かなのさんは、幼い頃から虐待を受けてきました。物心ついたときには、両親のいさかいを目にしてきました。小学1年生の時に両親が離婚すると、母親の暴力はかなのさんと妹に向けられました。

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かなのさん:「お尻を殴る専用の木の菜箸とかしゃもじとかがあって、お母さんはいつもそれを外でも持ち歩いているんです。気にくわないことがあるとトイレに連れて行かれてお尻をたたかれて、いつもお尻にミミズ腫れがありました」

 

妹と水だけで過ごしたことも


小学3年生の夏、母親は当時交際していた男性と旅行に出かけ、妹と2人だけで放置されました。 

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かなのさん:「お母さんが帰ってこないのはもしかしたら事故にあっているかもとか、そういう不安しかありませんでした。食べ物はなかったので水道水で過ごして、1週間後ぐらいにお母さんが帰って来ました」

お風呂にも入れず、毎日同じ服で学校に通っていましたが、誰も手を差し伸べてはくれませんでした。 

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かなのさん:「気付いてほしかった大人にも、誰にも気付いてもらえなくて。もう私の味方はいないんだってずっと思っていました」

 

16歳で少年院に


孤独感を深めて非行に走るようになったかなのさん。女子高校生を集めて下着を男性に売ることまで始めていました。そして、16歳のときに少年院へ送られました。

stop_12-5.jpg当初は反抗的な態度をとっていたというかなのさんは、「誰も信用できなかったし、全員敵だと思っていました。先生に暴言吐いたりとか傷つけるようなことをわざと言ったりとかしてたんですよ」と当時を振り返ります。

しかし、少年院の法務教官は真剣に向き合い続けてくれました。 

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かなのさん:「先生と言い合いになって壁にコップを投げつけたんです。普通の先生だったらその時点で非常ベルを押すのにその先生は私にいすを投げようとしたんです。『私はかなのと1対1で向き合いたいから、非常ベルは絶対に押さない』と言って。本気でぶつかってくる先生を見て大人が信用できるようになりました」

  

虐待のつらさ 忘れさせてくれたアイドルに


信じられる大人に出会い前を向けるようになったかなのさん。少年院を出たあと、アイドルへの道に踏み出します。幼いころ、虐待のつらさを忘れさせてくれたのが、テレビに映るアイドルでした。憧れていた存在に挑戦したいと思ったのです。

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ファンとの交流を重ねるうち、そのままの自分を知ってもらいたいと、虐待を受けていたことを公表しました。再び過去の虐待と向き合う中、同じような経験をしている子どもたちを助けたいと思うようになりました。

かなのさんの立ち上げたホームページには、次々と相談や応援のことばが寄せられています。

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先生たちに伝える思い


こうした活動が注目され、かなのさんに講演の依頼が舞い込みました。依頼したのは、小中学校の教師たちです。

講演では、「私は小学生の頃から母親に虐待と育児放棄を受けて育ち、その後非行に走った結果、少年院に2年間入りました」と自分の経験を語りました。

stop_12-9.jpgそして、自分がSOSを出せなかった経験から大人が手を差し伸べることの大切さを訴えました。

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かなのさん:「何かあったら電話していいよみたいなカードをよく学校で配られます。私はよくそれを財布にストックしていました。でも1回も電話をかけられたことがないです。子どもにとって自分からSOSを発するのはかなりハードルが高いことだと思っていて、日頃の会話からSOSをくみ取るというのはすごく大事だと思います」

講演を聞いた教師の1人は、「子どもたちに向き合えていたかというと、自分はどこか向き合えていなかったという反省の気持ちが出てきました」と話していました。

また、別の教師は「アンテナをしっかりはって教師に気付いてほしいというメッセージを感じとれるようにしなければいけないと思いました」と話していました。

 

自分だからこそ伝えられることがある


虐待を公表した異色のアイドル、戦慄かなのさんは、自分だからこそ多くの人に伝えられるメッセージがあると感じています。

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かなのさん:「アイドルにならなかったらこんなに活動の規模とかも大きくなってないし、やっぱり公表してよかったなと思います。自分がそれに対して傷ついているからこそ、傷ついている子の気持ちがすごくすごくわかるから、私と同じような思いをするような子どもが増えてほしくないと思ってます」

 かなのさんは、虐待の後遺症で、不安感が募ると突然倒れる「パニック症」を今も患っていると公表しています。こうした傷を乗り越えようと、虐待防止のNPOを立ち上げるための準備を進めているということです。

  


各地の児童相談所は、親からの相談も受け付けています。
番号は局番無しの「189」。「いちはやく」となっています。

「STOP子ども虐待」では今後も、虐待についてお伝えしていきます。

 

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