STOP! 子ども虐待

2018年12月07日 (金)

サバイバー撮るカメラマン

「虐待サバイバー」写真で伝える思いとは


写真に映っているのはいずれも子どもの頃、虐待を受けてきた人たちです。つらい過去がありながらなぜ顔を出して写真に収まったのか。虐待を受けて育った「虐待サバイバー」と呼ばれる人たちの写真を撮り始めたカメラマンの思いを取材しました。

 

虐待サバイバーとは?


インターネットに公開されている写真。被写体になっているのは子どもの頃、虐待を受けて育った「虐待サバイバー」です。写真には、同じ体験をした人たちに向けたメッセージも添えられています。

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(メッセージ)
「あなたはもっと大事にされていい。・・もっと自由でいい。・・もっと愛されていい」

撮影した田中ハルさん(42歳)です。田中さん自身も、子どもの頃、虐待を受けていた「サバイバー」の1人です。

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虐待が始まったのは5歳のころ。両親から罵られたり、暴力を受けたりしていました。

田中ハルさん:「鼻が上手にかめないと言ってすごく怒られて、たたかれて、そのまま『こんな子はいらない』って外に放り出されて。小学校の時から、通学路に行くと、車にどうしても飛び込みたいという思いはありました」

20代で親元を離れ仕事を始めてからは、当時のことは胸にしまい込めていたと思っていた田中さん。しかし、親にふと電話したとき、昔よく言われた言葉を聞いてつらい記憶がよみがえりました。

田中ハルさん:「『最近調子に乗ってるんじゃねえだろうな』って。そのひと言がもう全部を引きずり出したっていうか。フラッシュバックが頻繁に起こるようになった」

 そんなとき読んだのが、虐待を受けていた人たちの手記を集めた本でした。

「過去を受け入れ、たくましく生きている人がこんなにいる」

そう感じた田中さんは、自分も一歩、踏み出すことにしました。これまで唯一、誰にも否定されなかった趣味の写真を通して、サバイバーたちの“いま”の姿を切り撮ることにしたのです。

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田中ハルさん:「なんとか本当にやっとのことで大人になって生きてこられた、それはすごく大きなことで、重要なことだと思う。写真に撮ってWEBで公開することで、同じサバイバーの人たちに勇気を与えてあげられるんじゃないかな」

 

誰かに手を差し伸べてほしかった


今年の春にホームページを開設すると、すぐに応募が寄せられ、半年ほどで10人を撮影することができました。

この日撮影したのは、30代の「あき」さん。母親から虐待を受けて傷つき、10代のときに自殺を図りました。誰かの力になればと、今回、応募しました。

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あきさん:「やっぱりけっこうつらい子ども時代があって、自分も何かできたらいいなと思った」

田中さんは、自然な表情やしぐさを撮るようにしています。虐待で自分を否定されてきた人に「ありのままでいい」と伝えたいからです。ただ、こだわっているポーズがひとつだけあります。

「いま虐待を受けている人」、「過去の記憶に苦しんでいる人」に1人じゃないと伝えるための手を差し伸べるポーズです。

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田中ハルさん:「自分が手を差し伸べてほしいときに、差し伸べてくれなかったときがどうしてもあった。そういうときすごく悲しかったので、絶対に手を差し伸べるポーズは入れたいなって思った」

 同じサバイバーだからこそ撮影できる1枚だと考えています。撮影の後に、ホームページに載ったあきさんのメッセージです。

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あきさん:「『殺したい』『死にたい』。もがき苦しんだ数年間が、私にもあります。生き延びた自分を誇りに思って欲しい。虐待されても、笑える日は来るし、未来を今より信じられる日が来るかもしれない。その時まで、諦めないで欲しい」

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田中ハルさん:「技術としてはとてもつたないものだと思うんですけども、撮るっていう気持ちと伝えたいって気持ちは絶対的には強いし、揺るがないもの。自分の中の芯だと思っています。サバイバーの人たちはもちろん、それ以外の方にも写真を見てもらって、1人じゃないよ、みんな手を差し伸べているからね、手をつなごうっていう風にメッセージを伝えたいです」


田中さんが撮影した虐待サバイバーの写真を掲載しているホームページ。
https://kojikoji.themedia.jp/

  


各地の児童相談所は、親からの相談も受け付けています。
番号は局番無しの「189」。「いちはやく」となっています。

「STOP子ども虐待」では今後も、虐待についてお伝えしていきます。

 

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